徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

遠征最終日はダルビッシュ仏にジブリ展と鉄斎展

遠征最終日の朝

 翌朝は7時半に目覚ましで起こされる形になる。さすがに二日続けての1万5千歩越えは私のキャパを超えているようで、身体のあちこちがギシギシ言っているような怠さがある。とりあえずシャワーで身体を温めると共にほぐして何とか動けるようにする。

 さて今日の予定だが、昨日回ることが出来なかった美術館を拾っていって終了である。チケットを手配済みの「金曜ロードショーとジブリ展」に近代美術館での「富岡鉄斎展」があるが、それ以外にも昨日は休館だった龍谷ミュージアムに立ち寄る予定。

 とりあえず荷物をまとめてチェックアウトすると、昨日に続いてホテル向かいのドトールで朝食。今日はレタスドックとアイスコーヒーを頂く。意外に美味い。ドトールでの朝食ってのも結構ありだな。

レタスドッグとアイスコーヒーの朝食

 朝食を終えると一旦京都駅に移動して、ロッカーにキャリーを放り込んでおく。最近は京都駅でのロッカー難民が話題だが、まだ時間が早めなのが幸いしたかロッカーは難なく確保出来る。

 身軽になったところで京都駅からバスで西本願寺に向かうことにする。龍谷ミュージアムは西本願寺系の大学である龍谷大学が運営する仏教系博物館である。ちょうど西本願寺の向かいにある。

西本願寺山門

龍谷ミュージアムはその向かい

 博物館到着時にはまだ開館時刻の10時より10分ほど早かったので、地下のホールでしばし待つことにする。どうもこういうことをしてると、まるで私はかなり気合いの入った浄土真宗門徒のように思われそうだが、私の家は確かに一応浄土真宗門徒ではあるが、私個人はバリバリの無神論者で科学技術の使徒である。

エントランスホールは地下一階

 

 

「バーミヤン大仏の太陽神と弥勒信仰 ガンダーラから日本へ」龍谷ミュージアムで6/16まで

端正なガンダーラ仏

 アフガニスタンのバーミヤン遺跡は、文明の十字路と呼ばれていた地域で2体の大仏が掘られていたことで有名である。現在、惜しむらくことにその大仏はイスラム原理主義狂信者であるタリバーン達に破壊されてしまったが、それ以前に日本の調査隊などが多くの写真や調査資料などを集めており、それらを元に壁画の描き起こし図などが作成されている。そのような貴重な資料を展示、この地域の太陽神信仰とそれが弥勒信仰に結びついて日本に広がっていった過程などを紹介とのこと。

 この辺りの地域はそもそも山深い地(シアターでドローン映像を見て絶句した)であり、拝火教で知られるゾロアスター経の遺跡などもあるという。その太陽神信仰が仏教の弥勒信仰に結びついていったのだという。また濃いイケメン仏像で知られるガンダーラ仏(私は個人的にダルビッシュ仏と呼んでいるが)などはやはりヨーロッパのギリシア神話などの影響も入っていることが感じられた。そういう点ではどうもやはり大陸の信仰はキリスト教を始めとして、イスラム教から仏教まですべて同祖の流れを汲んでいることが感じられる。

 展示最初にはこの地に仏教の探索のために訪れた玄奘三蔵の姿なども展示されている。思いの外にマッチョな印象で僧と言うよりも探検家の風貌であるが、彼の成し遂げた冒険を考えるとまあこの方が正しいのだろう。どう考えても夏目雅子の優美なイメージにつながる方が無理がある(笑)。

 3階展示室にはトルファンのベゼクリク石窟寺院の回廊を再現展示した施設もある。なお本当の通路はもう少し狭いようだが、そこはさすがに安全を考えて若干広めに再現したとか。なかなかの圧迫感から圧倒される感じがあり、ここを参拝する者は何を感じたのだろうなどと考える。

再現されたベゼクリク石窟寺院の回廊

文明の十字路らしく、様々な顔立ちの人々が

 ちなみに中央が仏陀であり、周りは転生して仏陀を目指す釈迦だそうな。そして仏陀の足下を汚さないように泥沼に自ら髪を投げ出したのが次の仏陀になる人物とのこと。

この髪を投げ出している人物が次に仏陀に転生するのだとか

 2階展示室は日本の仏像中心になるが、ここに来ると仏像の顔が急にのっぺりとして、いわゆる「ありがたい顔」になるのが印象的。私個人としてはあの彫りの深いダルビッシュ仏が、どのようにこのような平たい顔に変化したのか(多分中国辺りが鍵か)という辺りに昔から興味のあるところなんだが、そこのところを解説してくれる展覧会はないものなんだろうか。

 バーミヤン遺跡の復元の細かさにはつくづく感心する次第。やはり考古学をする人間には緻密なスケッチをする忍耐力と画力が必要なようで、フリーハンドで直線を引くことさえ難しい私には到底不可能な作業である。

 それにしてもつくづくあのタリバーンの狂信者共には腹が立つ次第。世界人類に対する犯罪者として万死に値すると私は考えているが、そもそも彼らが信じるイスラムの神とも同祖に当たるような信仰の神々だけに、いずれ彼らは自らが信じるイスラムの神々によって呪われるだろうと私は期待している。

 

 

昼食は京都駅地下で

 一旦京都駅に戻るために雨の中をバス停まで歩いたが、そうやって歩いているうちに後停留所2、3個なら歩いていくことも可能だと思いついて、結局はそのまま京都駅まで徒歩でたどり着く。

 次は東山に移動だが、ジブリ展の予約時間の12時半までに京都の地下で若干早めの昼食を取っておくことにする。何となくそばの気分だったことから「京そば田ごと」に入店する。

京都駅地下の「京そば田ごと」

 注文したのはざるそばに天ぷらと寿司が組み合わさった「さつき(1540円)」。まあ場所柄最初からCPは捨ててかかっているが、そば、寿司、天ぷらの全てが「普通」。まあまずくなければそれで良しと言うところか。場所柄それ以上を期待しても贅沢か。

さつき

 とりあえず昼食を終えると地下鉄で東山に移動する。京セラ美術館にたどり着いた時には12時20分ぐらいで、もう既に入場が始まっていた。

 

 

「金曜ロードショーとジブリ展」京セラ美術館で6/29まで

 金曜ロードショーの放送が始まったのは1985年で、それは「風の谷のナウシカ」が劇場公開された翌年で、スタジオジブリが出来た年だという。金曜ロードショーではジブリ作品を次々と放送して好評を博してきた。そのような金曜ロードショーの歩みとスタジオジブリの歴史を振り返りつつ、昭和から平成、令和へと至る時代の世相について振り返る・・・とのことなのだが、最初はジブリ作品と金曜ロードショーに関しての歴史を説明するパネル展示に、当時の流行した事物などを展示するという地味展示に始まる。作品の絵コンテなども展示されていたりするが、所詮はこれはマニアにしか興味のないところで、しかもマニアだったら物量的に不満だろう。

入口風景

 しばらくこの調子だったので、これで終わったらいくら何でも入場料ボッタクリではないかと思っていたのだが、本番は後半だったようである。次にいきなり登場するのはジブリ作品を壁に映し出すジブリの幻燈楼が登場。音楽と影絵で幻想の世界に引き込む仕掛け。思わず場内の椅子に座ってマッタリとジブリワールドに浸ってしまう。

ジブリの幻燈楼

影絵の装置

このオッサンには見覚えがあるな

 

 

八面ステンドの「となりのトトロ」

「千と千尋」

「ラピュタ」

再び「トトロ」

「もののけ姫」

これも「もののけ姫」

そして「ラピュタ」

「千と千尋」

影絵の世界

猫バスが走る

これはハウルの動く城か

パズーとシータにポニョも

キキが飛んでいる

 

 

 次のコーナーはジブリ作品の有名シーンの中に入って記念写真が撮れるコーナー。まあ細かい小道具などが泣けるところだが、オッサンがこんな記念写真を撮ったところでキモいだけなのでパスする。

大賑わいの記念写真コーナー

あったな、こういう小物

見慣れたパン屋のカウンター

こちらは千と千尋

 

 

 その次がラストコーナーになるが、いきなり王蟲が登場したと思えば、その後は唐突に巨大な腐海が再現されている。本当の腐海はマスクなしだとすぐに肺が腐るそうだが、まあここの空気は清浄なので問題なしである(笑)。巨大な王蟲や蟲達が闊歩しており、観客は大撮影大会と化している。なるほどこりゃ時間帯決めて入場制限が必要なはずだと妙に納得。

いきなり王蟲が登場する

そして腐海の世界

王蟲の目の色が変わる

 なお会場が薄暗いので、ストロボ禁止下でのスマホでの撮影は結構大変。実際に私も後で確認してみたら、半分以上の写真がぶれていて中には何が映っているのかも不明な写真が複数。なおバーチャル体験出来るアプリなんかも配布されていたようだが、私はこれは体験せず。

怪しげな菌糸がニョキニョキ生えている

腐海のジオラマ

 最後に腐海のジオラマがあって、そこを過ぎるとお約束の巨大な物販コーナーがあって終了。特に土産物を買う気のない(買う金がない?)私はさっさと会場を後にする。

物販コーナーは当然のように大充実していた

 まあさすがにパネル展示だけだったら金返せの世界だったが、後半の方がなかなかに楽しめたのでマズマズか。


 京セラ美術館を後にすると、最後の目的地である向かいの近代美術館に立ち寄ることにする。

 

 

「没後100年 富岡鉄斎展」京都国立近代美術館で5/26まで

近代美術館は今日は開館

 「最後の文人画家」とも言われる富岡鉄斎の作品を展示した回顧展。幕末の京都に生まれ、多様な学問と多様な流派の絵画を独学して習得した鉄斎は、その学識と諸国を旅して目にした風景などから独自の理想の山水画を描いた。

 鉄斎の作品の特徴はその自由でのびのびとした大胆な線使いにある。理想の山水とあるように、どう考えても現実に存在しそうにない無茶な風景なども登場するのであるが、それはそれで説得力があると言うか楽しげと言うか、とにかく自由な精神に満ちた作品群である。

 鉄斎は「癖の多い人」とされていたというが、これは別に変人という意味ではなく、文人的に多芸であったという意味のようである。また収集癖があったのか、膨大な量の印章を用いていたようで、それらも展示されていた。要するに万事「自由な人」だったのだろうと思われる。

 その精神性が反映した伸びやかな絵画はまさに仙境を目指すかのような心持ちがある。眺めているうちに、こちらも現世を離れて高邁なる地に心遊びような浮き浮きとした感覚。この辺りがこの人物の作品の面白さではある。

 

 

最後はやっぱり宇治金時ドーピング

 これで本遠征の展覧会の予定はすべて終了である。後は帰宅するのみだが、正直なところかなり疲労が溜まっている。やはり帰宅する前にお茶ぐらいしていきたい。

 結局は東山の駅までの途中にある「茶ろん 瑞庵」に立ち寄ることにする。何を注文するか迷ったが、どうやら既にかき氷がある模様。今日はやや肌寒い感があるが、それでも実際のところ私の身体には結構熱が溜まっている。「宇治金時(880円)」を注文することにする。

東山の「茶ろん 瑞庵」

 抹茶はサッパリとしてやや苦味のある結構本格的なもの。そこで甘さを補うためか練乳をかけてあるのがバランスとしては正解。小豆はたっぷりと載っておりこれも美味い。と言うわけで氷をガツガツと頂いたのである。

宇治金時ドーピングで生き返る

 身体がスッキリとしたところで帰途につくことにする。GWの最中ということで電車の混雑を警戒したが、まだ早い時間帯(15時頃)ということが幸いしてか新快速の中もさほど異常な混雑ではなく、座って帰宅することが出来たのである。

 

 

この遠征の前日の記事

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