教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

1/9 NHK あしたが変わるトリセツショー「知らぬと損する!尿酸値★痛風・心臓・高血圧」

高尿酸血症の恐怖

 尿酸値と言われてもピンとこない人が多いようだが、この尿酸値は7.0を超えると高尿酸血症となり、それを放置すると痛風を患うことになる。風が吹いても痛いと言われる病気であるのだが、どうも「痛みが出るまでは大丈夫」と軽く考えている人が多い。しかし高尿酸状態は糖尿病や腎臓病、さらには心筋梗塞や脳梗塞のリスクをも上昇させることが分かっている。高尿酸状態が続くと知らない間に体中の血管が傷つくという。そこで今回は高尿酸状態を解消する方法について紹介。

足の関節などに激痛が走るのが痛風

 

 

痛風のメカニズムと高尿酸の影響

 そもそも尿酸とは抗酸化作用を持つ物質であり、体内にこれがあることが人間の長寿の秘密ともされている。しかし過ぎたるは及ばざるが如し、これが7を超えると逆に牙を剥くことになる。血液中の尿酸濃度が増すことで尿酸塩の結晶が関節などに析出してしまうのである。なおこの尿酸塩の結晶が鋭い針状結晶なので、昔の本などでは「この析出した結晶が関節周囲の組織に刺さって痛みを発する」なんて書いてあったりするものがあるがそれは間違い。実際は析出した結晶が剥離した時に、異物と認識されて白血球が攻撃、それによって激しい炎症が起こるというのが痛みの理由である。

 高尿酸が原因で痛風以外の病気を発症した人もいる。ある患者は痛風を発症して治療を受けたが、治療によって尿酸値が7.0以下になって痛風が治まると治療を辞めてしまい、また痛風になると治療を受けるという状態でいたらしい。それがある時、身体の麻痺などを発症し、救急車で運ばれたところ脳梗塞を発症していた。尿酸の結晶は実は関節だけでなく、心臓の冠動脈などの血管内にも析出することがあり、それが血栓を作ってしまうのだという。しかも最新の研究によると、尿酸の結晶は血管壁の細胞を死滅させる作用があることが分かったという。この作用がさらに血栓の生成を促すことになる。高尿酸血症は慢性腎臓病のリスクを2~3倍、糖尿病の発症リスクを1.6倍にするという。

 

 

プリン体を減らせと良く言われるが・・・

 しかし関節に析出した尿酸の結晶も、尿酸値が低下すると溶解してなくすことができるという。尿酸値の目標は6以下。このための方法はまずは投薬。そして生活習慣の改善である。

 痛風の原因になるのはプリン体だと言われている。プリン体が肝臓に達すると分解されて尿酸が生成する。しかし実は食事のプリン体をなくしただけでは尿酸の生成はなくならないという。それは食品からのプリン体は実は2割程度に過ぎず、後は身体の細胞の新陳代謝でプリン体が生成しているからである。だからポイントは出口のコントロール。つまり尿酸の排出を促すことが重要であるのだという。尿酸の排出が悪くなる原因はインスリンと乳酸、これらが増えると尿酸の排出が抑制されてしまう。そしてこれらを生むのが内臓脂肪とアルコールである。つまりは太りすぎや飲み過ぎを避けるのが尿酸値を下げるポイントになる。

酒の飲み過ぎは高尿酸血症の原因となる

 

 

尿酸値を下げる方法

 で、そのコントロールの方法だが、まずは3%ダイエットだという。これは2ヶ月かけて現在の体重の3%減らす方法。たった3%と言っても侮れない量の内臓脂肪を減らすことになり、尿酸値は低下するという。ただダイエットはとかく失敗しやすい。無理なくダイエットするための方法は1日300kcal減らすこと。そこで100kcalカードなるものを用いて、これを3枚分毎日減らすのだという。なおこのカードは例によって番組HPで配布とのこと。

 呑兵衛についてはアルパ飲みを推奨している。このアルパとはコスパや最近流行のタイパのパでアルコールパフォーマンスの意。要はアルコールによって酔いが回るのに30分かかるので、一杯目を30分かけて飲むというもの。すると酔いが回ってくることで自然に飲む量が減少するという。

 最後に尿酸値対策に効果がある食品として牛乳を紹介している。牛乳のたんぱく質であるカゼインが、体内で分解してアラニンが生成、これが尿酸の排泄を助けるのだという。1日1杯の牛乳で痛風の確率が43%減少するとのこと・・・ですが、残念ながら私の場合は1杯の牛乳で100%の確率で下痢を起こします。


 以上、尿酸値について。私は尿酸値については特に指摘されたことがないです。やっぱり酒を全く飲まないからだろうか。ただ足の親指がとんでもない激痛を発したことが何度かあり、痛風を疑ったのだがしばらくしたら痛みが消失するということがあった。これは一体何の症状だったんだろう?

 

 

忙しい方のための今回の要点

・高尿酸血症が続くと痛風を発症することになるが、実は高尿酸は痛風だけでなく、心筋梗塞や脳梗塞の危険も増すことが分かった。
・痛風は尿酸の結晶が関節に析出することで発症するが、これらの血症は血管内でも析出することがあり、それが血栓の生成につながる。
・痛風の治療には尿酸値を6以下に下げることが必要で、それには投薬と共に生活習慣の改善が必要である。
・プリン体が尿酸の原料となるが、実は食物由来のプリン体は2割に過ぎず、後は体内で生成している。そこで尿酸値を下げるには尿酸の排出を促すことが重要となる。
・尿酸の排出を抑制してしまう原因はインスリンと乳酸。そしてこれらの原因となるのは脂肪細胞とアルコール。そこで減量と酒を減らすことが必要となる。
・減量については体重を2ヶ月で3%減らすダイエットを、酒については一杯目を30分かけて飲むことで酒量が自然に減少するアルパ飲みを推奨している。
・なお牛乳が尿酸値を下げることも分かっている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・痛風って相当に痛いらしいですね。番組に登場した経験者も「痛くて布団を掛けることも出来なかった」と言っています。
・痛風以外で痛いことで知られている病気と言えば結石でしょうか。こちらは脂っこい食事が原因となって発症したりします。やっぱり食生活て基本中の基本だな。
・私の食生活の場合、最大の問題点は炭水化物が多すぎること。これが全てなんだよな。

次回のトリセツショー

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