A1 | Freedom at Midnight | B1 | Morning Sojourn |
A2 | Along the Milky Way | B2 | Tropical Breeze |
A3 | Kei's Song | B3 | Passion Walk |
A4 | The Man With the Panama Hat | B4 | Del Sasser |
A5 | Pieces of Time |
どえらいタイトルです。"Freedom at Midnight"という曲名を閃いた時点で、デヴィッド・ベノワはきっと「勝った!」(珠代さん風に)と叫んだに違いない。
インスト曲だからこそ、物語を想像させるタイトルをつけないとね…そんなようなことをかつて、何かのインタビューでベノワは語っていました。
ベノワ本人がいかなる物語を託したのか、言葉のないインスト曲は答えてくれません。
しかし聴く人それぞれが「真夜中の自由」を意味するそれはそれは素敵な、とびきり胸躍るタイトルから、勝手に物語をアタマの中で膨らませます。誰にだって真夜中の自由について、誰かに語りたくなるようなおもろ話のひとつやふたつ、きっとあるでしょう。
100人いれば100通り。10,000人なら10,000通り。まるで膨張する宇宙空間のように、リスナーの物語が果てしなく広がってゆくのです。たとえすべての物語をみなで共有できなかったとしても、真夜中の自由がもたらした束の間の解放感が、楽しかったり、あるいは切なかったり、そういう思いが人類普遍であることに気付いて、世の中そんなに非情なものでもないんじゃないか、と少しだけ、ホンのちょっとだけ、胸の奥がほんのり熱くなって明日を生きる燃料になったりするわけ。
このタイトルにしてこのサウンド。A1は80年代ピアノ・フュージョンの金字塔です。イントロ聴いただけでカウパー漏れちゃいそう。
育ちのいいおぼっちゃまが、おしゃれして夜遊びに出かける、そんなジャケット写真のイメージそのままに、ベノワのピアノは端正でありながら、遊び心も忘れません。
まるで執事のように、おぼっちゃまのピアノに付き従ったダン・ハフのリズム・ギターは縁の下の美学を貫き、ひたすら主君を立てました。まさに忠義の臣。
さすがにA1ほどの衝撃には及ばないものの、それ以外の曲もみな、キラキラ、ギラギラしています。
それまでずっとマイナー・レーベルで日陰の道を歩いてきたベノワが、メジャー・デビューの本作で一世一代の勝負に出ました。持っているカードをありったけ使って、このアルバム作りに賭けたのです。そりゃみなぎっているわけだ。
ピアノ・フュージョンのプレーヤーはたいがい、ジャズ・ピアニスト崩れです。だからストレート・アヘッドなジャズも当然「やろうと思えば、できる」のでしょう。
できるからといって、ではやればいいのかというと、それは別の話。TPOってものがあるだろうと。しかしベノワは、オーラスのB4でやってしまいました。
手札をぜーんぶ使い切ったる!という心意気は買いますし、このアルバムが良作であることを認めるのに、やぶさかではありません。ジャズ・ピアノの腕前だって、見事なものです。
それでもやっぱり、B4は蛇足だと思うんだ。これぞピアノ・フュージョン、という曲でアルバムを〆てほしかったなあ。
インスト曲だからこそ、物語を想像させるタイトルをつけないとね…そんなようなことをかつて、何かのインタビューでベノワは語っていました。
ベノワ本人がいかなる物語を託したのか、言葉のないインスト曲は答えてくれません。
しかし聴く人それぞれが「真夜中の自由」を意味するそれはそれは素敵な、とびきり胸躍るタイトルから、勝手に物語をアタマの中で膨らませます。誰にだって真夜中の自由について、誰かに語りたくなるようなおもろ話のひとつやふたつ、きっとあるでしょう。
100人いれば100通り。10,000人なら10,000通り。まるで膨張する宇宙空間のように、リスナーの物語が果てしなく広がってゆくのです。たとえすべての物語をみなで共有できなかったとしても、真夜中の自由がもたらした束の間の解放感が、楽しかったり、あるいは切なかったり、そういう思いが人類普遍であることに気付いて、世の中そんなに非情なものでもないんじゃないか、と少しだけ、ホンのちょっとだけ、胸の奥がほんのり熱くなって明日を生きる燃料になったりするわけ。
このタイトルにしてこのサウンド。A1は80年代ピアノ・フュージョンの金字塔です。イントロ聴いただけでカウパー漏れちゃいそう。
育ちのいいおぼっちゃまが、おしゃれして夜遊びに出かける、そんなジャケット写真のイメージそのままに、ベノワのピアノは端正でありながら、遊び心も忘れません。
まるで執事のように、おぼっちゃまのピアノに付き従ったダン・ハフのリズム・ギターは縁の下の美学を貫き、ひたすら主君を立てました。まさに忠義の臣。
さすがにA1ほどの衝撃には及ばないものの、それ以外の曲もみな、キラキラ、ギラギラしています。
それまでずっとマイナー・レーベルで日陰の道を歩いてきたベノワが、メジャー・デビューの本作で一世一代の勝負に出ました。持っているカードをありったけ使って、このアルバム作りに賭けたのです。そりゃみなぎっているわけだ。
ピアノ・フュージョンのプレーヤーはたいがい、ジャズ・ピアニスト崩れです。だからストレート・アヘッドなジャズも当然「やろうと思えば、できる」のでしょう。
できるからといって、ではやればいいのかというと、それは別の話。TPOってものがあるだろうと。しかしベノワは、オーラスのB4でやってしまいました。
手札をぜーんぶ使い切ったる!という心意気は買いますし、このアルバムが良作であることを認めるのに、やぶさかではありません。ジャズ・ピアノの腕前だって、見事なものです。
それでもやっぱり、B4は蛇足だと思うんだ。これぞピアノ・フュージョン、という曲でアルバムを〆てほしかったなあ。
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Produced by Jeffrey Weber
Co-Produced by Seth Marshall
Executive Producers: Dave Grusin and Larry Rosen
Engineered by Bob Loftus & Allen Sides
Additional Engineering: Steve MacMillan
Recorded at Ocean Way Recording, Hollywood, CA
Assistant Engineers: Joe Schiff, Tommy Kane, Dave Ahlert & Tony Chiappa
Mastered by Bernie Grundman, Bernie Grundman Mastering, Hollywood, CA
Production Coordinator: Suzie Katayama
Production Assistance: Tim Olsen
Score Supervision: Jerold Weber
JVC Digital Equipment: CMS Digital, John "Bronco" Cadenhead, Fred Mitchell, Gene Shiveley
Nakamichi Digital Equipment: Rene Besne, Threshold Corp.
Otari Digital Equipment: Paul Svenson, Everything Audio & CMS Digital
Digital Assembly: Gene Shiveley & Bill Giolando
Front & Back Cover Photos: Glen Wexler
Album Cover Design: Andy Baltimore, Dan Serrano & David Gibb
GRP Records Creative Director: Andy Baltimore
Orchestra
Conductor: Suzie Katayama
Concertmaster: Sid Page
Violin: Sid Page, Doug Cameron, Clayton Haslop, Pavel Farkas, Bruce Dukov, Arthur Zadinsky, William H. Henderson, Pam Henderson, Becky Barr, Gina Kronstadt
Viola: Jimbo Ross, Cynthia Morrow
Cello: Doug Davis, Larry Corbett
Double Bass: Arni Egilsson, Tim Barr
Saxophone: Gary Herbig, Ray Pizzi
Trumpet: Walt Johnson, John Madrid
French Horn: Rick Todd, Joe Meyer
Co-Produced by Seth Marshall
Executive Producers: Dave Grusin and Larry Rosen
Engineered by Bob Loftus & Allen Sides
Additional Engineering: Steve MacMillan
Recorded at Ocean Way Recording, Hollywood, CA
Assistant Engineers: Joe Schiff, Tommy Kane, Dave Ahlert & Tony Chiappa
Mastered by Bernie Grundman, Bernie Grundman Mastering, Hollywood, CA
Production Coordinator: Suzie Katayama
Production Assistance: Tim Olsen
Score Supervision: Jerold Weber
JVC Digital Equipment: CMS Digital, John "Bronco" Cadenhead, Fred Mitchell, Gene Shiveley
Nakamichi Digital Equipment: Rene Besne, Threshold Corp.
Otari Digital Equipment: Paul Svenson, Everything Audio & CMS Digital
Digital Assembly: Gene Shiveley & Bill Giolando
Front & Back Cover Photos: Glen Wexler
Album Cover Design: Andy Baltimore, Dan Serrano & David Gibb
GRP Records Creative Director: Andy Baltimore
Orchestra
Conductor: Suzie Katayama
Concertmaster: Sid Page
Violin: Sid Page, Doug Cameron, Clayton Haslop, Pavel Farkas, Bruce Dukov, Arthur Zadinsky, William H. Henderson, Pam Henderson, Becky Barr, Gina Kronstadt
Viola: Jimbo Ross, Cynthia Morrow
Cello: Doug Davis, Larry Corbett
Double Bass: Arni Egilsson, Tim Barr
Saxophone: Gary Herbig, Ray Pizzi
Trumpet: Walt Johnson, John Madrid
French Horn: Rick Todd, Joe Meyer
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