【スリープウォーカー マンチェスター市警 エイダン・ウェイツ】題名長し、けど内容は魅力開眼、大爆発

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スリープウォーカー マンチェスター市警 エイダン・ウェイツは新潮文庫2021/8/30ジョセフ・ノックス著,池田 真紀子翻訳

「スリープウォーカー マンチェスター市警 エイダン・ウェイツ」ジョセフ・ノックス :著 新潮社

ストーリー

シリーズ三部作の完結篇。

10年以上前の家族惨殺事件の犯人マーティン・ウィック(スリープウォーカー)が、余命わずかの状態で刑務所から病院に移送される。

エイダンと相棒サティマーティンの警護役として配置される。

しかし、何者かによる火事襲撃を受けスリープウォーカーは殺害、サティは重傷の火傷を負い、見張りの同僚も殺され、たまたま居合わせなかったエイダンだけが無傷で生き残る。

エイダンを常に操るパーズ警視の命令により、現場で目撃されたジャンキーの女を手がかりに事件を追いかけるが、

警察組織の思惑、エイダンの暗い過去、新しい相棒のナオミ、手がかりは空振りで、闇が深まるばかり。

エイダンは正気を保てず、夢と狂気、事件が交錯する渦に飲み込まれていくのだった。

警察ミステリを超えたノワール小説の誕生。




プラス情報

堕落刑事 マンチェスター市警 エイダン・ウエィツ 2019
笑う死体 マンチェスター市警 エイダン・ウェイツ 2020
スリープウォーカー マンチェスター市警 エイダン・ウェイツ 2021



読むネコポイント

だんだんと盛り上がっていくシリーズものっていいですね。

運営者のきょまタローは、確かに「堕落刑事」「笑う死体」も読んだはず、、

でもあんまり覚えていないのです。

「笑う死体」は口を切り裂いて笑っているような死体、というのをなんとなく覚えているんですが

訳が悪いの? 私の読解力が?? とにかく読みにくくてなかなか進まなかった記憶があるだけです。

シチェーションは興味深く、結末にどうにか持っていく感じは感心したのです(すごいな、おいっ てっ感じ)。

この三部作は各作品で、だいぶん様相を呈しています。



堕落刑事はハードボイルです。ギャング小説の要素も強めです。

笑う死体は相棒サティの魅力が爆発、個性派の警察小説でエイダンの暗い面が目立った1作目よりも

サティとエイダンのペアに親近感が湧いてくるので読みやすいです。

そして本作スリープウォーカーですが・・・

個人的には魅力開眼、大爆発、といういう印象です。

エイダンの精神性や、現代の闇、夢なのか現実なのかの境界が実に魅力的な作品です。

正直ノワール小説がこれまでグッときた経験がなかったのですが

大好きなちょっと影のある警察官小説との融合が見事で、読後感に不思議な感覚に包まれました。




残念ながらこちらはこれが完結編ということで、エイダンのシリーズは終了です。

ですがBBCが権利を得てドラマ化が進行しているそうで、そうなると小説も復活するやも。

エイダン、サティ役は誰なんだろ〜と楽しみ。

とりあえず、著者ジョセフ・ノックスは伸び代がまだまだ期待される作者です。

大化けする可能性を秘めているかと。