【 プロジェクト・ヘイル・メアリー 】は2022上半期No.1で決まりのSF小説

プロジェクト・ヘイル・メアリー 上下単行本2021/12/16アンディ・ウィアー著,鷲尾直広イラスト

「プロジェクト・ヘイル・メアリー 上下」アンディ・ウィアー:著 早川書房

ストーリー

科学の教師グレースが目を覚ますと、記憶は朧げ、更にそこは全く覚えのない場所だった。

試行錯誤の末彼は、宇宙船(ヘイル・メアリー号)の中で断片的な記憶を頼りに、少しづつ真実を導き出していく。

未知の生物アストロファージによって地球は滅亡の危機を迎えていた。

このペドロヴァ問題の解決の糸を探るべき旅、九光年先のタウ・セチへ向かう計画が「プロジェクト・ヘイル・メアリー」

しかし彼には解決するべく難問がいくつも待ち構えていた。

グレースの目覚めた部屋には2つの死体が?!

・宇宙飛行士でもなく、学術の専門家でもない自分がなぜ宇宙船に?

・そもそもアストロファージとはなんなのか?!

難題とプレッシャーに潰されそうになりながら、更に異星生物との遭遇ではてさてグレースはどうなる。

深刻で難解なSF小説でありながら、コミカルな登場人物と二転三転する内容で、最後まで全く飽きさせないストーリー。




プラス情報

1972年6月16日、カリフォルニアに素粒子物理学者でエンジニアの息子として生まれた。宇宙開発に強い関心を寄せ、作家志望だったウィアーが初めて書いた小説が『火星の人』(ハヤカワ文庫刊)である。まず自らのウェブサイトに公開された『火星の人』は、その後Kindle版、紙版が発売され、世界的なベストセラーとなった。2015年、マット・デイモン主演で映画化され、世界中で大ヒットを記録した(映画化名「オデッセイ」)。本書『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、ウィアーの第3長篇にあたり、2021年アメリカで刊行されるとすぐにベストセラーになった。MGM製作、ライアン・ゴズリング主演で映画化が進行している。

引用: 出版本より

アンディ・ウィアー著作
2011年『火星の人』は「オデッセイ」として映画化↓
2017年『アルテミス』
2022年『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は映画化決定

マット・デイモン主演オデッセイ

映画「オデッセイ(吹替版)」
主演:マット・デイモン

 

読むネコポイント

もともとファンタジーやSFを理解する脳みそを持たない管理人きょまタロー(詳しくはプロフィールで)ですが

こちらの「プロジェクト・ヘイル・メアリー」は面白かった、抜群に読みやすかったです。

内容がすごくシンプルに書かれていたからだと思います。

ロケット図なんかもすごくスッキリまとまって載ってます。登場人物紹介ないですし w

これは著者の力量が半端じゃないってことでしょう。

超理系のお家出身で文才もあるなんてアンディー・ウィアーさん、すごいエンターテイナーでクリエイターですね。



主人公のクラークはジタバタします。だって軽い記憶喪失になっているし、隣のベッドで誰か死んじゃっているし w

身の回りのことはロボットアームがやってくれるので問題ないけれど

操縦機器を見てもぼんやりとしか分からない、なんとなくだけど地球を背負っての旅であることは宇宙船のクオリティから窺える。

で、俺は何したらいいんだーー  そんな器じゃないんだよーーー 、と。

そう言いながらも小さなミッションを少しづつこなし、ストラット(プロジェクト・ヘイル・メアリーの総括責任者)との

嘘みたいなやりとりを思い出していきます。

そしてそして、出会っちゃうんですね、異星の宇宙船と。

ここからはネタバレになります!!



初対面のエイリアンを「エリディアン星のロッキー」とクラークは名付けます。

ロッキーは岩みたいな甲羅を持つ大きめのタランチュラに似た姿形の、知的生物。

硫黄濃度の高い200度で気圧の高い、全く日光が届かないほぼほぼ煙が覆っている星に住み

視力ではなく、聴力(音波)でものを把握します。

クラークロッキーは自分らで互いの翻訳辞書を作り上げ、意思疎通をはかっていき

更には、技術者のロッキーはなんでもすぐに作れるので、クラークの宇宙船の中に導線を制作し

力を合わせてアストロファージ研究を行うことに。

しかし、うまく行っては失敗を繰り返し、限られた時間の中で焦るクラーク

なぜなら、彼は片道切符でこの旅に出ておりタイムリミットがあったからです。




二人の試行錯誤しながらのコミュニケーション、これがなんとも可愛らしいやりとりなんです。

ロッキーの話し言葉はカタコトに訳されているので、

嬉しい時に「よい。よい。とてもよい。」 とか

何かを尋ねる際に「これは悪い、質問?」

びっくりしたら「驚き。」だし

「機械が壊れる。ぼくに見せる。ぼくが直す。」 などなど

なんか小さなエイリアンが一生懸命頑張っている感じが伝わってきて、メチャクチャ感情移入してしまうんです。

ロッキー推しです、管理人きょまタロー w

映画化も決定しているそうなので、ロッキーがどんな風に描かれるのかがすごく楽しみ。

上半期でもうすでに面白かった本1位決定です。

上巻読んでいる最中から、下巻のことが気になって気になって仕方がないなんて久しぶりで

本当に「よい。とてもよい。」作品でした。大満足です。