「健康な脂肪細胞と不健康な脂肪細胞」
以前、こうした内容についてお伝えしました。
※参考:『ヤセない理由は過食と運動不足が原因なの?自然派痩身法の奥義に迫る!』
健康な脂肪細胞の特徴をズバリ!いえば、サイズが小さい。
小さな1つ1つの細胞がブクブクの泡であるかのように、そこかしこにたくさん作られている。
そしてその1つ1つの細胞の中に、少量の脂肪が入っている。このような特徴が見られるそうなのです。
一方、不健康な脂肪細胞の方は、1つ1つの細胞のサイズが大きい。いわば肥大化しているような姿をしていて、数が少ない。
そしてその細胞の中には、大量の脂肪分が詰め込まれている。
前者はヤセている人・後者は太っている人。両者の間には、このような違いが見られるそうなのです。
ベルギーのルーヴァン・カトリック大学で栄養代謝学のパトリス・カニ教授は、不健康な脂肪細胞は、
“炎症”
を起こしている姿であると解説しています。
どうして脂肪細胞に炎症が起きてしまうのか?といえば、それは血液中の“リポ多糖”。
この糖分が高濃度で存在しているから。リポ多糖は食べもの由来の糖分ではなく、
『腸内細菌』
由来の糖分。腸内環境と肥満症との関係は、密接不可分!カニ教授はこのように解説しているのです。
■漏れちゃうのは?
腸内細菌は、かつては100種類・100兆匹くらい生息している・・・。
このように考えられていたのですが、最近の研究では500~1000種・1000兆匹いることが分かってきたといわれています。
リポ多糖は腸内細菌の中の『陰性細菌』とよばれる菌の皮膚部分に相当するもの。
菌も私たちと同じで、新しい皮膚と古い皮膚とを入れ替えているのですが、その際にリポ多糖が腸の中に剥がれ落ちていく。
この糖分は腸内細菌の新陳代謝の産物であり、老廃物。こういうことになるのです。
とはいえ、腸内環境が健康に保たれていれば、どれだけリポ多糖が腸の中にあっても問題は起こらない。なぜなら小腸の壁には、日本語に訳すと、
“粘液好き”
こんな名前の「アッカーマンシア・ムシニフィラ」と呼ばれる門番のような細菌が立ちはだかっているから。
この粘液好きのムシニフィラが腸壁の粘液層を厚く強くしてくれている。カニ教授は観察からこの事実を突き止めました。
ムシニフィラが多いほど、腸壁は厚く強く保たれる。実際にこの菌は腸壁細胞に対して、より多くの粘液を“分泌するように!”と働きかけているそうなのです。
ムシニフィラが健全に活動している限り、分子量の大きなリポ多糖などが腸壁をスリ抜け、血液中に入ってしまうような事態は起こり得ない。
実際にヤセた人の腸内にはこのムシニフィラが豊富に存在し、充分な量の粘液と分厚い腸壁。この2つを備えていることが分かっているのです。
粘液と分厚い腸壁とが、リポ多糖が血管に流れ込むことを阻止してくれている。
反対に肥満症の人の腸内にはこのムシニフィラの数が少なく、よって粘液量も少ない。腸壁も薄くなることから、血液中にリポ多糖などが流れ込みやすくなってしまう。いわば
『腸漏れ』
リーキーガットを起こしやすくなるというわけです。
実際にカニ教授は、太ったマウスにこのムニシフィラを加えた食事を与えてみたところ、体内のリポ多糖の濃度は下がっていったそうです。
そして新たに健全な脂肪細胞が作られ始め、マウスの体重と食欲はみるみる内に減少していった。
こうした観察結果を公表しているのです。
■決意と覚悟!
抗生物質を投与すると、粘液好きのムシニフィラの数。この数が減少していくことが分かっています。
畜産業・養殖業においては、古くから抗生物質が濫用されることが問題になっていますが、なぜ畜産業などで、抗生物質が使われているのか?といえば、その理由は、ムシニフィラを
「殺すため!」
この粘液細菌さえ殺してしまえば、家畜や魚を速く・大きく太らせることができるようになる。
腸内のリポ多糖を血液中に垂れ流すことで、脂肪細胞を大きく病的に肥大化させ、丸々とした肥満状態を素早く作り出せるようになる。
それは家畜のみならず、人体においても全く同じ。腸内細菌を破壊し、肥満細胞を病的に太らせる原因は、
“抗生物質や殺菌剤”
などの薬剤の乱用。ココにこそ原因があるというわけです。
抗生物質は病原菌を退治する目的で使われますが、それは健康で体にとって必要な菌までをも同時に攻撃してしまいます。
先進各国で広がる過体重と肥満症の蔓延の理由は、『薬剤!』。抗生物質、殺菌剤、防腐剤、保存料・・・。
こうした種々の薬品類によって生み出されているとカニ教授を始めとした研究者たちは警告しているのです。
健康で美しい痩身を保ちたいのなら、抗生物質や殺菌系の薬剤の使用を今スグやめること。肉も魚も
『抗生物質不使用』
のものを選ぶことが大切。加工品では防腐剤や保存料が使われているものは極力、買わない!
こうした決意と覚悟とが必要になると思うのですが、いかがでしょうか?
■宝の持ち腐れ・・・
これとよく似た話が、大豆や小豆などの豆類に含まれる
「イソフラボン」
になります。イソフラボンはサプリメントなどにもなっていますが、その効能を列挙してみると、
・更年期症状の緩和
・骨粗しょう症の予防
・乳ガン子宮ガン、前立腺ガンのリスク低下
さらには、お肌のハリや若々しさ、瑞々しさをサポートしてくれる。そんなありがたい物質であるとして、注目を集め続けているのです。
特に、味噌・醤油・豆腐・納豆などの大豆由来食品群は、乳ガンリスクを3割~4割も低下させてくれる。
これらは大規模調査の結果から、明らかにされていることなのです。こう聞くと、美容と健康とを大切に考える私たちは、今スグ
“大豆を!”
こんな気持ちになってしまいがちなのですが、そうは問屋が卸しません。
イソフラボンを美容と健康に役立たせるためには、腸内細菌の存在が不可欠。腸内細菌の中でも、別名”若返り菌”とも呼ばれている
「エクオール産生菌」
この菌にしっかりと働いてもらう必要があるからです。
いくら大豆製品を食べてみたところで、イソフラボン単体では望む結果は得られない。イソフラボンは腸の中のエクオール産生菌に食べてもらうことで、その代謝物の
『エクオール』
この物質に変換されることによって、初めてその効力を発揮していく。イソフラボンではなく、エクオールに変換されない限り意味がない。
カギは腸内細菌にあり!こうしたことが分かっているのです。
※参考:『腸内細菌とイソフラボン』
日本人の約97%は腸の中にエクオール産生菌を保有しているといわれていますが、でも実際にエクオールを産生できている人はたったの
”20%程度”
全体の2割しか、若返り菌の恩恵を受けていないとのこと。全く以って、宝の持ち腐れ・・・。
このような惨状に陥っているそうなのです。
■普段の努力
どうしてエクオール産生菌を保有しているにも関わらず、肝心のエクオールは産生されないのか?
その理由は、抗生物質の服用はもとより、殺菌剤、保存料、防腐剤などに代表されるような薬剤や合成添加物。
ファーストフードやコンビニ食、デパ地下総菜食なども、腸内細菌の活動にストップをかけていることがいわれています。
いつまでも健康で若々しくあり続けたいのなら、なるべく医者には近づかず、普段から無投薬を心がけること。
そして食材は可能な限り、無農薬・無添加を心がけること。
このことが大切になるのではないかと思うのですが、あなたはいかが思われるでしょうか?
■参考文献
■無肥料無農薬米・自然栽培と天然菌の味噌・発酵食品の通販&店舗リスト
■自然食業界キャリア15年のOBが綴る