世界史をヒモ解けば・・・、
覇権を握る集団や国々。そこには、それ相応のツールというものが存在しています。
関東武士なら、台地開墾のための牛馬。スペインやポルトガルなら宗教的情熱と大型船舶。
オランダならば、高速でバルト海を移動する安定した小型高性能船舶。
そしてジャパンアズナンバーワンといわれた戦後ニッポンならば、
「自動車」
こういうことになるのだろうと思います。
産業革命以来、大英帝国の時代が続き、第二次世界大戦後の世界は、アメリカの時代。
このようにいわれるように、米国が世界の覇権を握り続けてきました。
ドルと安い石油の両輪で、作り上げられたそのサマは、「軍産複合体」と呼ばれたりもするのです。
軍部、民間企業、政治家。それぞれが共通の利益の獲得を目的に、有形無形の連携を繰り返していく。
マスコミを抱き込んで、国防支出の増大を図るといった構造的な癒着体制。この模様をして、軍産複合体と名づけられているのです。
そしてその軍産複合体の野望を陰で支え続けているのが、
『クーラー』
世界各地を縦横無尽に渡り歩く、そんな米英人たちにとってクーラーは欠かすことができない、大切な文明の利器。
暑いのがとても苦手、そんな彼らの活動を影日向から支え続けているのがクーラー。
その証拠に、シンガポール独立の父と呼ばれているリークアンユー元首相は、東南アジア諸国にとって20世紀最大の発明品は
"エアコンである!"
そう公言してはばからないわけなのです。
元首相は、もしシンガポールにエアコンがなければ、我々は働く意欲が全く湧かない。このように述べているのです。
シンガポール、そして香港といえばアジアの金融センター。こう呼ばれて久しいものがあるのですが、金融といえば米英の影がどうしたってチラついてしまう。
エアコンの本国アメリカにおいては、安い電気料金を背景にエアコンを24時間つけっ放し。それが当たり前であることがいわれているのです。
これに対して、私たち日本人の古来より伝わる伝統は、暑い時には薄着をする。寒い時には重ね着をする。毛布や布団を重ねて眠る。
夏には麻や絹の素材で涼をとり、冬は綿素材に体を包む。
アメリカ人はこうした工夫をほとんどしないことが言われているのです。
蒸し暑い時期になっていますが、現代に生きる私たち日本人にとっても、もはやクーラーは生活必需品になっているのです。
打ち水なんかは遠い過去の出来事で、クーラーなしでは
"生きられない!"
このような状況になって久しいものがあるのです。
これから夏場を迎える私たちは、クーラーやエアコンをどのよう考え、どう付き合っていけば良いのでしょうか?
■2つのバランス
「自律神経の乱れ」
それが万病のもとになることがよく言われています。
不調やイライラ、活力がどうにも湧かない・・・。こういう状態で医者に行くと、
"自律神経失調症ですね"
こんな風にいわれることが多いのです。
自律神経とは、意識とは一切の関わりがなく働く体の活動のこと。
通常私たちは、一生懸命呼吸をしよう!とか、胃の蠕動運動を高めよう!とか、肝臓にもっともっと解毒をさせよう!とか。
こうしたことをまったく思わないものなのです。
つまり自動的に、自律的に働いてくれている神経だからこその「自律神経」。
私たちの体は私たちがどういう状態にあろうと、日々健康で健全に過ごせるようにと懸命な努力を続けてくれている。
"カラダさん、ありがとう!"
こういう感じになるのです。
体の状態は緊張と弛緩、大きくいって、この2つの状態に分けられます。
緊張状態にあることを医学においては、
「交感神経優位の状態」
このように呼んでいるのです。
反対に弛緩している時、リラックスしている状態のときは
「副交感神経優位の状態」
これは時間帯でも上手に切り替わっていて、昼間は交感神経優位、夜は副交感神経優位。
こうした具合に2つの末梢神経がお互いに連携し合いながら、私たちの体は運営されていると解説されるのです。
昼間は活発に動くことが多いため、交感神経を優位にしている。血管は収縮し、血流が鈍り、新陳代謝は緩慢になっている。こういう状態にあると説明されています。
そういうと、悪いことのようにも思われるかも知れませんが、決してそうではありません。
昼はよく動くため、ケガなどの不測の事態が起こりやすい。だから臨戦態勢を整えている。
出血などの思わぬアクシデントに備えている。このように解説されるのです。
これに対して夜は休息の時間。自律神経は副交感神経優位に切り替わります。血管が開き、血液の流れが活性化していく。
そのことで疲労回復や組織の修復を図ろうとする。
よくいわれる「自律神経失調症」とは、この作用とバランスが崩れた状態を言うのです。
昼と夜を取り違えるような生活をすれば、この自律神経の働きに乱れが生じやすくなります。
乱れれば、ケガなどの際に血管が収縮しにくくなったり、疲労感がいつまでも取れなかったりとさまざまな不具合が生じます。
体内時計を正しくすることはとても大切です。やはり夜更かしは
『禁物!』
こういうことになるのです。
■季節とカラダ
自律神経は、時間帯の違いで切り替わっていくのですが・・・、でもそれは
「季節の変化」
にも、ホド良く、そして繊細に、順応することがいわれています。
夏はリラックスする副交感神経優位の状態。冬は寒さに備えて、交感神経優位の状態。春と秋とはその中間に位置することが説明されるのです。
季節の変わり目は要注意!、体調を崩すことが言われているのですが、
「春は冬の交感神経優位の状態から夏の副交感神経優位のプロセス、秋は副交感神経優位から冬の交感神経優位に移るプロセス」
『やめてみるだけで病気は自分で治せる』(永岡書店 刊)の中で、故・安保徹氏はこう述べ、自律神経に揺さぶりが生じることが理由と述べているのです。
私たちの体は季節の変化に対応しながら生きてきたのですが・・・、そこで問題となるのは
"エアコン"
このエアコンが不調をもたらす原因になっていると安保氏は説明するのです。
安保氏はとりわけ冷房、クーラーは要注意!と指摘しています。理由は副交感神経優位に傾く、そんな夏場の自然な自律神経を不自然な形の、
「交感神経優位」
の状態へと切り替えてしまう。全身の抹消血管を収縮させてしまい、手足の冷えが顕著になり、体温は低下しやすくなる。
体温が下がれば、免疫力も一緒に低下していきます。そして血液を通して体の中心部に冷えが広がっていき、
「心疾患、膠原病、糖尿病や高血圧などの生活習慣病、不妊や月経困難症などの婦人系疾患といった病気に繋がります」
このように述べているのです。
私たちの体は汗をかくことで、体温を調整していることが言われています。
暑い時は汗腺から水分を放出して、気化熱により体温を下げます。そして寒い時には汗腺を閉じて、体の内側に熱を籠らせるように工夫をしています。
こうした自然な発汗作用がクーラーの中で夏を過ごすことにより、
"機能不全"
に陥いりやすくなると解説しているのです。
それらは低体温や冷え性の直接の原因となり、病気を自ら呼び込んでしまう。そんな望まない疾病体質を作り上げていく。
こうした結果を招きやすくすると力説しているのです。
安保氏はある程度の冷房はやむを得ないと留保しつつも、とにかく
「つけっ放し!」
だけはしないようにと強調しているのです。
アドバイスとしては、エアコンのスイッチをこまめに切ること。そしてなるべく自然に近い方法で暑さをコントロールすることが大切とアドバイスするのです。
農業においても同じですが、生産性と効率、そして快適さばかりを求めてしまえば、その反動で必ずやしっぺ返しが待っている。
メリット・デメリット、作用・反作用の法則になります。
何ごとも極端に偏らないように、お互いに注意をしたいものですね。
■参考文献