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【#朝鮮日報】【社説】違法に対北送金した人物が国家情報院長、安全保障は誰が守るのか

2020-07-05 04:18:18 | 海外の反応
 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は3日、国家情報院(韓国の情報機関。国情院)トップに朴智元(パク・チウォン)元「民生党」議員を内定した。青瓦台(韓国大統領府)安保室長には徐薫(ソ・フン)国情院長、統一部(省に相当)長官には李仁栄(イ・インヨン)議員、外交・安保特補にはイム・ジョンソク元秘書室長と鄭義溶(チョン・ウィヨン)安保室長をそれぞれ内定した。北朝鮮の核の廃棄より、ほとんど無条件の対北融和策を主張してきた人物で塗りつぶされている。

 国情院長に内定した朴智元氏は2000年、金大中(キム・デジュン)大統領の密使として北朝鮮側と初の南北首脳会談開催に合意し、その首脳会談を実現させるため金正日(キム・ジョンイル)に4億5000万ドル(約484億円)の裏金を渡す役割を担った。その支援で、金正日は「苦難の行軍」の危機を乗り越えて核開発に拍車をかけ、6年後には最初の核実験に成功した。朴氏は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代に特別検察官の捜査対象になり、収監された。

 国情院は、北朝鮮を含むあらゆる外部の脅威から韓国を守るための存在する安全保障の第一線機関だ。韓国軍は戦時に戦う機関だが、国情院は平時にも戦わなければならない機関だ。いつからか韓国の大統領は、国情院を「国の安全に責任を負う情報機関」ではなく、「自分のアジェンダを遂行する密使」とみなしている。情報業務は決してたやすいものではない。誰にやらせてもいいポストではあり得ない。北朝鮮はもちろん、海外・サイバー・対テロ関連であふれ出て来る情報の中から、韓国の安全保障を脅かす情報を読み取れる経験と識見を持っていなければならない。数十年にわたって国内政治にのみ没頭してきた朴内定者に、金正日と接触した経験のほかにいかなる情報専門性があるのか、理解できない。

 しかも国情院は、韓国の弱点である先端装備を持った米国・日本との情報交流に依存してきた。こうした友邦諸国が、北朝鮮を巡る朴氏の立場や態度をどういう視角から見るか、疑問がある。これらの国々がデリケートな対北情報を国情院とどれだけ共有しようとするか、心配だ。

 国情院は、板門店首脳会談の1カ月前に金正恩(キム・ジョンウン)が特別列車で訪中したにもかかわらず、これをきちんと把握できなかった。ハノイでトランプが偽りの非核化の場を蹴って出て来るまで、ホワイトハウスの動きも分かっていなかった。現政権になって、北朝鮮のスパイが捕まったという話もほとんど聞かない。逆に、北が新型ICBM(大陸間弾道ミサイル)を撃った日、スパイの捜査はよそに渡すという「改革案」を発表した。

 北朝鮮の核をなくそうと思うなら、北の集団とも交渉しなければならない。しかし北は、南北首脳会談を開いた直後に韓国の警備艇を奇襲して将兵を殺す集団だ。交渉の渦中にあっても、誰かが監視の目をを光らせておかなければならない。その仕事ができるのは国情院だけだ。なのに国情院長が情報機関のトップではなく対北密使だったら、安全保障は誰が守るのか。


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