◆トライン(120度)

 

古いタイプの入門書だと、トラインは万事良しの吉祥アスペクトのように書かれています。

 

しかし、実際はトラインにはマイナス面がけっこうあります。

 

・惰性だけで動く

・固定した枠にハマって永遠に出られない

・ルーズで怠惰になりやすい

・困難に逢うと、すぐ楽な方に逃げて努力しない

・大きな問題意識やチャレンジ精神が欠落する

 

といった多くのマイナス面について、大半の入門書では全く触れていません。

 

トラインが調和的でイージーなアスペクトだと言われるのは

属するサインとサインの親和性に由来します。

 

 

火のサイン、地のサイン、風のサイン、水のサインといった

同じ4元素(エレメント)に属するサイン同士

同じテーマや性質を共有しているのでスムーズに交流できます。

 

このサイン同士の親和性ゆえに、120度トラインは調和的アスペクトと言われます。

 

 

同じ火のサインである牡羊座と射手座

同じ「火」の共通テーマに沿ってスムーズに協力し合います

 

逆に言えば、同じエレメントという「枠組み」があるからこそ

その「枠組み」の範囲内でしかエネルギー交流が発生しません

 

トラインは「1つのエレメント」の内部だけで成り立つがゆえに

関係はスムーズではあっても「自己完結」していて狭く閉じています

 

規定の「枠」を乗り越えて自由自在に展開していこうという意外性や

革新性(新機軸)の要素が全くありません。

 

ゆえに、1つの枠組みの中だけで視野が狭く、自己完結してしまっていて

いつも同じような「決まりきったコース」を惰性で何度も繰り返していきます

 

例えば、牡牛座の土星乙女座の水星でトラインがあるとして

地のエレメントなので、目で見て手で触れられる陶芸のようなモノ作りの技能

あるとすれば、乙女座の細かなディテイルに拘る緻密な作業を繰り返しつつ

牡牛座の求める「しっかりした形像」を刻印するという重厚な技能を繰り返します。

 

このような普通の人はやらないような細部に拘る緻密な作業の繰り返しも

この人にとっては、無意識に楽々とできる技能であるため苦になりません。

これがトラインの意味しているプラス面です。(自然にできる優れた能力)

 

しかし、この水星は「地」の「モノ作り」の技能以外には応用が利きません。

地のトラインという「枠組み」に限定され閉じ込められてしまうからです。

形を伴わない抽象的な思考、目に見えない本質を把握する思考は

風のサインや火のサインからの他のアスペクトが無ければ発達しないでしょう。

 

トラインが示すものは意識しなくても無意識に楽にスムーズにできる能力なので

イージーですが枠を超えて展開する発展性や視野を広げる作用がありません

これが「トラインの抱える問題点」です。

 

しかも、トラインにはそれをやっていると落ち着く、楽にできるからリラックスできる

というイ-ジーさが強く伴いますから、わざわざ苦労して努力してまで

それ以外の事にチャレンジしようとは思わなくなります。

 

結果として、その人の本来持っていた可能性や発展性を

限られた狭い範囲内だけに限定してしまうという「小成」に導く傾向があるのです。

「小成」して簡単に自己満足してしまえば「大成」はしません。

 

自分がいつも楽に使っている能力だけを日常的に無意識に繰り返すだけで

部長レベルに昇進すればもう満足してしまって、それ以上の目的意識が全く無い

といった感じになります。

 

日常の安定したルーティンワークを淡々とこなしているだけで自己満足してしまう。

大きな目的意識枠を超え出る努力や苦労をしてチャレンジする精神が欠落します。

 

 

この「小成現象」を打ち破って、視野を広げて、困難を伴うような努力をさせて

もっと大きな問題に対してチャレンジさせるように意識を開かせるのが

180度や90度といったハードなアスペクトの役割なのです。

 

世の大成者、物事を成し遂げる力を持っている人は

必ずそのようなシャープな90度や180度を重要な個人天体に対して持っています。

そうでなければ、自分だけの「狭いぬるま湯」から出て克己努力しようとしません。

 

ですから、出生図にイージーなトラインしかなくて

オポジションやスクエアが一切見られないような人

大きな目的意識をもって困難を伴う努力をしたり、枠を超え出ることができない人です。

いつも楽な方を選び、困難の無い「惰性の繰り返し」で狭く狭く自己完結していきます。

 

 

これは複合アスペクトである「グランド・トライン」にも当てはまることです。

 

グランド・トライン(GT)は吉祥なアスペクト、非常な幸運だとか言われますが

GTだけがポツンと単体であっても、実際には大した成功や成果は生まれません。

 

GTの一角に「90度や180度」のハードアスペクトが関与していなければ

その先天的能力を大きな目的意識のために困難を乗り越えて努力して用いたり

それを用いて何かを成し遂げて、外部に表そうという動機が働きません。

 

 

GTだけが単体であっても、それは狭い日常的な範囲内で

本人が無意識に淡々と楽にできる能力の行使として自己満足し閉鎖的に終わります。

それを大きな目標追求や社会的に有益な事業として外部展開させる動機が無いのです。

 

GTの鍵となっている個人天体※に対して、180度や90度を形成する天体があれば

狭く自己閉鎖しているGTの枠を壊して外部にエネルギーを取り出す放出路となります。

外界に放出する焦点(突破口)となる天体があるサイン・ハウスに流れ出るのです。

複合アスペクトのカイト(凧)などがその典型例です。

※ 太陽、月、水星、金星など

 

 

GTが先天的才能や優れた資質を示す、と言われるのは

1つのエレメントにおいて攻守揃った隙が無い完成度の高いスキルを持つからです。

 

例えば、蟹座・蠍座・魚座という水のサインのGTができているならば

他者の感情に寄り添い、他者をケアしたり、他人の心を掴んで味方にするという

「水のサイン」の扱う分野での先天的才能の豊かさを意味します。

 

 

蟹座・・・家族的な狭い集団に特に優しくなって共感できる

蠍座・・・1人の相手に深く共感して、強く感情的に結び付く

魚座・・・制限なくいろんな他者の感情を敏感に感受する

 

GTでは、上の3つのサインの特質が全て揃うので、

他者との交わり、情緒的つながりや共感性という

「水のサイン」のテーマにおいて漏れも隙も無い「完全性」を備えることになるのです。

どんな他者にも対応できる「水の領域」におけるエキスパートになるわけです。

 

しかも、蟹座(活動宮)、蠍座(不動宮)、魚座(柔軟宮)という

「3つの異なる活動モード」を完備して補い合うことができることによって

 

同じ「水」のテーマに関して、焼いても、煮ても、蒸してもウマし的な感じで

「いかようにも対応できる」という縦横無尽さが生まれます。

焼いてダメなら蒸してみよう的な試行錯誤によって精度を高めていけるのです。

 

さて、上記のように、トラインには利点と同時にマイナス面もあります。

なので、多くの入門書が書いているようにソフトアスペクトが吉座相で

ハードアスペクトが凶座相というほど「単純」ではありません。

 

ただ一般的には、「月」に対してはハードアスペクトは無いほうが無難でしょう。

月は受け身な感受性と受容性の天体ですから、ハードの衝撃をもろに受けます。

 

「月」にハードアスペクトが多いと、感情面で精神不安定になりやすく

結婚後の家庭生活も安定せず、家庭と日常生活の安らぎがなく落ち着きません。

なので、月だけはソフトアスペクトが多い方が有利だとは言えるでしょう。

 

しかし、太陽、水星などのお仕事や社会運に関係する天体については

ソフトアスペクトとハードアスペクトを「等分」に持っているほうが理想的です。

 

これらの(月以外の)個人天体に関しては、いろんな種類のアスペクトが豊富にある

ほうが、人生における自己実現の明確化や方向性の広さにおいて有利なのです。