MMモジュール解説~購買管理編① 基本的な調達プロセス~

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本記事ではSAPのMMモジュール(購買管理)のプロセスや伝票についてお話しします。

「これからSAPを勉強するよ/いま勉強中だよ」という方にも理解いただけるように解説していきます。

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企業における調達の流れ

まず、企業がモノを買う流れについて簡単に解説します。

企業では工場で製品を作るために必要な材料や設備、日々の業務に必要な道具(制服や文房具など)を購入します。担当部門や必要な手続きは企業によって異なりますが、基本的には以下のような流れになります。

企業の調達プロセス

①所要発生:材料や道具などモノを買う必要性が出てきたことを意味します
②調達依頼:購買部門に対してモノを調達してほしい旨を連絡します。購入依頼を出したら社内承認手続き等が行われます。
③発注:調達依頼に社内承認が下りたら、仕入先に対して正式に注文を行います。
④納品:仕入先から注文したモノが届き、検査を行います。検査の結果、問題なければ納品完了です。不良品が混ざっていたら返品手続きを行います。
⑤支払:仕入先に対して購入費用の支払を行います。

SAP購買管理プロセスの概要

SAPの購買プロセスは、①購買依頼→②購買発注→③入庫→④請求書照合という大きく4つのプロセスで構成されています。以下の図は企業の調達プロセスとSAPの調達プロセス、SAPで登録される伝票について表しています。

①購買依頼:計画や都度発生した所要を基に、発注する品目や数量などの情報を購買依頼伝票に登録
②購買発注:購買依頼をもとに仕入先や価格、納入予定日などの情報を購買発注伝票に登録
③入庫:購買発注伝票をもとに仕入先から届いたモノを入庫し、在庫計上
④請求書照合:購買発注伝票と仕入先から届いた納品書をものに請求照合で買掛金を計上。
 ※請求書照合は購買発注伝票の金額と納品書の金額を比較チェックする機能

それでは各プロセスの詳細を解説していきます。
※所要発生、支払はMMモジュールの機能ではないので本記事では割愛します。

購買依頼

発注する品目/数量/納期/プラントなどを登録するプロセスになります。
購買依頼の登録方法としては以下2つの方法があります。
①計画手配を購買依頼に変換(Tr-cd:MD01またはMD01N)
②手動で購買依頼を登録(Tr-cd:ME51N)
購買依頼はモノを欲しい部門が購買部門に対して出すケースが多いため、この段階では仕入先や価格の情報は登録されず、品目/数量/納期/プラントが登録されます。

また、購買依頼には承認機能を使用することができ、購買部門の管理者が承認しないと発注できないような制御が可能です。

購買発注

購買依頼で登録する品目/数量/納期/プラントなどの情報に加え、仕入先/価格といった情報を登録します。
購買発注の登録方法としては以下2つの方法があります。
①購買依頼を購買発注に変換(Tr-cd:ME59N)
②手動で購買発注を登録(Tr-cd:ME21N)
購買発注が登録されると仕入先に対して正式な注文を注文書として送ることになります。そのため、購買発注を注文書として出力する機能をアドオン機能として追加するケースが多いです。

また、購買依頼と同様に承認機能を使用したり、仕入先や価格情報をマスタに設定しておくことで自動提案機能を利用することが可能です。

入庫

仕入先から発注したモノが届くと入庫処理(Tr-cd:MIGO)を行い、在庫として計上します。
入庫時には在庫ステータス(在庫を製造や販売に使用できるかの状態)を設定します。

■代表的な在庫ステータス
①利用可能在庫:製造や販売に使用できる在庫
②品質検査中在庫:製造や販売に使用できない在庫(入荷して検品している状態)
③保留在庫:製造や販売に使用できない在庫(検査した結果NGだったり、破損して使えない等)


また、入庫処理を行うと<購入品/入庫請求仮勘定>という仕訳で会計伝票が自動登録されます。

請求書照合

SAPに登録された発注伝票/入庫伝票と仕入先から送付されてくる請求書の内容が一致しているかを確認するプロセスで、トランザクションコードはMIROになります。
内容が一致していれば仕入先に対して債務を計上します。

上記は手動で請求書の情報を入力しますが、ERS(入庫基準自動請求書照合、Tr-cd:MRRL)という方法で自動で請求書照合を行うことができます。ERSは入庫処理が行われたら債務を自動的に計上します。
※仕入先からの請求書の内容を入力しないため、発注金額と請求金額が一致することが前提です

まとめ

本記事ではSAP購買プロセスの概要を解説しました。ユーザによっては「購買依頼を使わない」、「入庫は自動で行う」など様々なケースがありますが、本記事の内容であったり前提を理解した上でユーザと検討できると良いと思います。

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