3つのグループ




社員登用のない派遣としてポリエチレンの會社で働きます。もはや正社員への拘りもなくなりました。一度どうしてもどこかの社員になつてみたくて關東へやつて来ましたが、すぐ建築業でそれが實現してしまいました。然し1年もしないうちに首を切られて、世間一般の派遣と社員との安定性のイメエジが、暗のなかでは逆転してしまつたのです。

経営者の本音は、派遣やアルバイトならいつまでもうちで働いて居てもらいたいが、社員となると幹部の何れかの友だちグループに入らなければ、目障りなのです。どの企業にも3大グループがあると思います。それは「子持ち」「喫煙者」「野球経験者」です。

出世して居るひとなど見ると、喫煙所で學生時代野球部だつた者同士、子どもの話をしていて、この3大グループ全部に属して居るのがわかります。どこにも属さなければ、仲間と話すことは単なるサボりです。それなら、なにも話さなければいいかというと、リーダーシツプのある人間にとつて、自分が笑顔にさせられない女性は悪で、社員になれたとしてもリストラが待つて居ます。

因みに例外は事務と経理です。この部は3大グループに属さなくとも経営者とよく話す業務であり、安定して雇用されます。


わたくしは友だちグループに入りたくはなく、かといつて事務や経理に憧れもないので、社員になれないことについて悲観している譯ではありません。ポリエチレンの會社で、社員は細胞のひとつひとつから社風に合致しなければいけないのだと知りました。全ての階段において手摺りに必ず手をやらなければならず、また、踏䑓の真ん中辺りに立たなかつただけで別室に呼ばれたからです。

同時に、なぜ世の中に、安全衛生やコンプライアンス遵守を徹底して惡口ひとつ云わない者と、逆に女性社員に抱きついて許りのひとが居るのか、と云うことも解りました。少し手摺に掴まらないのを繰り返しただけで首を切られる危険のある會社と、逆に研修さえない會社があるからです。そして何方の會社の社員も、本心を會社に置いて居るのです。

社員は、研修を聞いただけではなく細胞に染み込ませ、友だちグループに入り、経営者と一緒に居ると心底から楽しいと感じて居ます。



友だちがいないのは惡でしようか。
矢張り居場所が無いと云うのは、自己實現を目指して居ないことの表れでしよう。わたくしとしても、例えば専業主婦に段取りを指示されたり、パートから社員ぶつて指導を受けたりすると、いやこんなところに居ないで資格でも取つて頑張れよ、と云うのが本音です。此の電波女の給与のほうが高いから、若しくは同じ時給なのに電波女のほうが仕事が遅いからと、勝手に嫉妬して居ないで、能力があるなら命懸けで使命を果たし、口ばかりの電波女を置いて行かなければいけません。
でもわたくしはどうなのでしようか。電波女自身はなにに命懸けになつたら良いのでしよう。