米国、「韓抜きで」インド・太平洋版NATO浮上

●米国-日本-オーストラリア-インドの4ヵ国で構成された「クアッド」顕在化
●米、韓国-ベトナム-ニュージーランドを含む「クアッドプラス」を望む
●米戦略報告書「中国、2049年までに米軍事力を追い越す目標」
●議会・軍・政府「トライアングル編隊」、インド・太平洋戦略を具現化
●インド・太平洋戦略で韓国は中国包囲のための米前進基地
●「韓半島に米中距離ミサイル配備時、中国の報復は衝撃的」

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米国の対中封鎖網が経済から安保へと拡大した。 同盟国への参加圧力も激しい。 トランプ政権発足後、米国は最近40年間の対中包容政策が中国という巨大な怪物「フランケンシュタイン」を作ったと認識している。 韜光養晦で爪を隠してきた中国が大国崛起を露骨化すると、米国は貿易・金融分野から安保分野へと戦線を拡大している。
米国は「インド・太平洋戦略」を進化させながら「インド・太平洋版NATO」を発足させようとしている。 その踏み台は韓国が抜けた「米国-日本-オーストラリア-インド」の4ヵ国で構成された「クアッド」として表面化した。 米国はクアッドに韓国-ベトナム-ニュージーランドの3ヵ国が追加された7ヵ国の「クアッドプラス」構築構想をちらつかせながら韓国の参加を望んでいる。

米中対立は現在、「経済は中国に、安保は米国に」二股をかけた韓国の股を引き裂く公算が高い。 「インド・太平洋版NATO」である「クアッド」の発足と「クアッドプラス」に拡大する竜巻は、韓国の安保と未来を左右する国家大戦略レベルの重大懸案だ。

米戦略報告書「中国、2049年までに米軍事力を追い越す目標」

2020年5月に公開された米国の①「対中戦略報告書(United States Strategic Approachto The People’s Republic of China)」は米中関係を独立変数ではなくインド・太平洋戦略の従属変数と位置づけた。
この報告書は中国の挑戦を単に経済と軍事の側面ではなく、「米国の価値に対する挑戦」すなわち理念の側面で分析した。 米中競争を「民主主義と社会主義の戦い」というイデオロギー対立と理解し、中国を冷戦時代ソ連のように認識する。 「米中新冷戦時代」が到来したのだ。

この報告書は特に、「中国という国家」と「中国共産党」という統治勢力を分離して認識している。 米国は政府が議会に提出する公式文書で、習近平の呼称を国家元首を意味する「国家主席」ではなく共産党最高指導者を指す「総書記」と表記する。 これは韓国も今後、北朝鮮に対して「北朝鮮という国家」と統治勢力労働党を分離して対応できることを示唆している。

2020年9月1日に公開された②「対中軍事力評価年次報告書(Military and Security Developments involving the People’s Republic of China)」で、米国は中国が韓国をはじめとする周辺国に対する圧迫基調を強めつつ、究極的には米国を超える覇権国を目指していると指摘した。

この報告書は中国が毛沢東の共産党政権樹立100周年である2049年までに米国を凌駕する軍事力を保有しようとしている点に注目する。

現在、軍艦、通常弾道ミサイル、巡航ミサイル、統合防空体系の分野では、中国が米国を抜いたと分析した。 軍艦350隻を保有する中国の海軍力が、軍艦293隻を保有する米国を物量の面で抜いたという点も指摘した。 中国が弾道ミサイルと射程500~3500キロの巡航ミサイルを1250基以上保有している点にも注目した。

同報告書によると、中国はロシアから持ち込んだS-400、S-300のほか、中国産防空兵器体系を大量生産し、長距離地対空防空体系を構築した。 中国が保有した核兵器は200基を超え、今後10年間で在庫量を2倍に増やすものと報告書は見ている。 中国が核ミサイルの生存性を極大化するため、地上・海上・空中の核兵器運搬システムの多角化にも努力を傾けるものと予想した。

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米国のインド·太平洋戦略

2019年6月に公開された③米国の「インド・太平洋戦略報告書」の核心内容は、(i)米国本土の安全を確保した後、中国を軍事的に「インド・太平洋地域」で封鎖することである。 米国は「規範に基づいた開放的で自由な世界秩序」を維持しようとしている。 米国はその戦場として「インド・太平洋」地域を選択し、競争相手として中国を名指し、北朝鮮の核問題も譲歩できない事案と指摘した。
(ii) このために米国は戦略的競争国が「迅速かつ枝葉的な攻勢的軍事行動に出ることで、遠くにある米国の軍事力が戦場に展開する前に自国の利益を追求しようとする戦略的性向がある」と述べ、このような試みを事前に防止する案として「高い水準の態勢を整えた伝承を保障する軍事力」を前進配置し、これを同盟国の軍事力とともに運用する概念を提示した。

(iii)米国は、同盟国の参加と安保負担の共有を強調する。 「インド・太平洋戦略報告書」は、軍事同盟をインド・太平洋戦略の基盤と位置づけ、効果的軍事同盟維持のための2つの基調として「相互運用性の拡大」と「安保負担の共有」を提示した。 韓国をはじめとする同盟国に防衛費分担金の大幅な拡大を求める米国の声が大きくなったのがこれに起因する。

議会・軍・政府「トライアングル編隊」、インド・太平洋戦略を具現化

1、議会:民主・共和両党の協力予算増額、インド・太平洋戦略先導

米国上院軍事委員会委員長を務める共和党ジム・インホペ議員と幹事を務める民主党のジャック・リード議員は5月28日に共同で、「太平洋抑止構想」(The Pacific Deterrence Initiative: Peace Through Strength in The Indo-Pacific)と題した寄稿文と計画を発表した。 インド・太平洋に米国の軍事力を集中させ、大幅に強化して中国が飛びかかる考えすらできなくさせるというのが骨子だ。 上院軍事委は、同計画に2021会計年度の14億ドルに続き、2022会計年度までの2年間、60億ドルに近い予算を承認した。 下院軍事委⑤「インド太平洋安心構想(Indo-Pacific Reassurance Initiative)」という類似の計画に35億8000万ドルの予算を承認した。 さらに上・下院軍事委は7月初め、インド・太平洋地域に大規模な軍事力増強を要求する内容が盛り込まれた2021会計年度⑥「国防授権法案」を承認した。

2、軍:インド·太平洋戦力増強迫車

米国はインド・太平洋戦略を遂行する主任務を「インド・太平洋司令部」に与えた。 同司令部の名称は太平洋司令部だったが、2018年5月31日に改称した。 特に米議会は、インド・太平洋司令官に合同参謀と国防総省を経ずに、インド・太平洋戦略を遂行するのに必要な予算を議会に報告することを決めた。 海軍大将のフィリップ・デイヴィソン、インド・太平洋司令官は2021~2026会計年度の6年間にわたり、200億ドルの追加予算の投入を要請する内容の戦略報告書を議会に提出した。

デイヴィソン司令官は⑦「優位性の回復(Regain the Advantage)」と題した報告書で、「『優位性の回復』戦略は、危機発生時に信頼できる戦闘力を投射することで、潜在的敵国に『いかなる先制的軍事行動もコストが非常にかかり失敗する可能性が高い』という点を説得するために設計された」と明らかにした。

インド・太平洋軍司令部はその傘下に反中特任部隊である「多領域特任団(MDTF)」の創設を推進している。 2022年の創設を目標とする同部隊は、中国のアジア太平洋戦力に対抗し、有事の際、米空母の戦団と爆撃機が作戦できる「隙間」を作る任務を遂行する。 同部隊を支援する先端兵器が続々と開発されている。 B2Aステルスに代わる次世代戦略爆撃機B21レーダー(Raider)、無人潜水艇(UUV)、幽霊艦隊(一種の無人艦隊)、長距離精密打撃体(LRPM)、新型中距離極超音速巡航ミサイル、地上配備型中距離ミサイルなどが代表的だ。

韓半島、米中距離ミサイル配備時に報復の火を見る

米国はこれらの先端兵器に人工知能(AI)など第4次産業革命技術を適用する。 米国は北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)と中国の核兵器の脅威を積極的に強調し、射程1000キロ前後の地上配備型中距離ミサイルを中国と北朝鮮を狙って韓国や日本などに配備することを希望している。 中距離ミサイルの韓半島配備は、サードの時とは比較にならない衝撃的な水準の中国報復を招く時限爆弾だ。

3、政府:国務省-国防省、集団安保体制の推進

マーク・エスパー米国防長官は2020年8月26日、インド·太平洋戦略の履行手段として、⑨「ネットワーク化された対中国連合体」を構成する意志を明らかにした。

スティーブン・ビーガン国務副長官も2020年8月31日の「米・インド戦略的パートナーシップフォーラム」でインド・太平洋地域にNATO(北大西洋条約機構)と同じレベルの協力体を構成するために、まず米国・日本・オーストラリア・インド4ヶ国の「クアッド(Quad)」から出発し、韓国・ベトナム・ニュージーランドまでの7ヵ国で構成された「クアッドプラス(Quad Plus)」へと発展させることに言及した。 彼は、NATOも小規模で始めて拡大したという点を強調し、韓国の参加が必要だと迂回的に表明した。 エスパー長官が言及した「ネットワーク化された対中国連合体」やビーガン副長官の「クアッドプラス」はインド・太平洋でNATOのような集団安保体制を作ろうというものだ。 韓国をインド・太平洋戦略に参加させようとする米国の圧力も強まっている。

韓国は二股をかける

ドナルド・トランプ米大統領は「中国は米国を食う国」と公然と言う。 トランプが再選されれば、大衆封鎖戦略はさらに強化され、ジョー・バイデン民主党候補が当選しても大差ないだろう。
インド・太平洋戦略で韓国は、中国包囲のための米国の前進基地だ。 兵力の増員や補給路の役割などで極めて重要である。

米国は同盟国である韓国に参加と費用分担を強調している。 この問題は、難航している防衛費分担金交渉、戦作権返還、未来司令部創設時の韓国軍大将の司令官補任、国連軍司令部の地位と役割、日本との軍事情報保護協定(GSOMIA)問題などとともに、韓米同盟を弱体化させる導火線になるだろう。

韓米連合軍司令部(CFC)は世界唯一の単一連合作戦司令部だ。 CFCが韓国防衛の責任を負っている。 米国のインド・太平洋戦略を主導するインド・太平洋司令部は、韓米連合軍司令部の米国側主力である在韓米軍司令部(UFK)を指揮する司令部だ。 このため、インド・太平洋戦略の進化とクアッド・プラスなど集団安保体制への移行は、韓国の安保に甚大な影響を及ぼすことになる。

韓国が米国と中国の間で二股をかけ続ければ、米国は韓国の同盟国としての能力と役割に疑問を持たざるを得ない。 また、米国に対する中国の「反接続地域拒否戦略(A2AD)」も韓国にとって脅威だ。

米国のインド・太平洋戦略はこの40年間、中国に対する米国の信頼と前提が間違っていたことを反省する「遅れた後悔」で始まった。 飛躍か分からないが、米・中の間で、ムン・ジェイン政府の中途半端な態度は、米国が韓国に対しても「手遅れの後悔」を覚えさせる恐れがある。

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Source: かんこく!韓国の反応翻訳ブログ