今回は東大院機械工学専攻平成23年材料力学IIを解説したいと思います。
ガバガバなところがあったり間違っているかもしれませんが解答の参考にしてください。
なお問題をそのまま載せるのは権利の都合上まずいと思うので載せません。
問題が欲しいという方はコメントするかtoriatama321@gmail.comに連絡してください。
問題を解くのに必要な知識
・せん断応力とトルクの関係
・ねじれ角とせん断応力の関係
・塑性変形後の挙動
解答本文
個人的に結構好きな問題の一つです。(2)以降では断面の一部分が降伏するというユニークな設定の問題で面白いと思います。一応(4)で誘導というか考え方は示されていますが一度経験しておかないと苦労するかもしれません。降伏したあとに荷重を取り去って0にするであるとかねじれ角を0にするみたいな問題はこのように重ね合わせで考えることができることを知っておくといいと思います。
下の記事のH28年の問題にもこの考え方が使えるのでチェックしておいてください。問題設定としては棒が荷重によって降伏した後に荷重を取り去っていくというものです。
(1)トルクT1が加わったときのねじれ角を求める問題(降伏なし)
これは公式で一発ですね。この中空丸棒の断面二次モーメントは
これと
の公式からϕ1は
となります。
(2)トルクT2とねじれ角ϕ2の関係を求める問題
R1≦r≦(R1+R2)/2の部分は降伏が起こっていないのでせん断応力は中心からの距離rに比例します。よってR1≦r≦(R1+R2)/2におけるせん断応力分布τ(r)は
を考慮して
となります。 (R1+R2)/2≦r≦R2の部分は降伏してせん断応力がτyで一定となっているためτ(r)は
これらを図示すると下図のようになります。
次にトルクとせん断応力の関係を導出していきます。下図のように中心からの距離がrの位置に微小部分drを考えましょう。
せん断応力は図に示した青い矢印のように生じるためこの微小部分に生じるせん断応力 によるトルクdTは
となります。これを丸棒の断面全体で積分すればT2となるのでT2は
あとはτyをϕ2で表すことができればT2とϕ2の関係がわかりますね。
そのためにせん断応力とねじれ角においての公式
を用います。
を考慮すれば式(1)よりτyは
これをT2の式に代入すると
となってT2とϕ2の関係式が得られました。
(3)降伏後にねじれ角を0にしたときの外周上のせん断応力を求める問題
ねじりが0になるためには丸棒を逆向きにϕ2だけねじればいい、つまり-ϕ2のねじりを丸棒に加えることを考えればいいわけです。塑性変形後にねじりを戻したときはせん断応力は下図の青線のように変化します。
この青線の傾きがある部分の傾きはGであり弾性域の部分の直線と平行となります。この図からϕ2だけねじったときに生じる最大せん断応力をτとするとき
をみたせば丸棒は弾性変形をすることがわかります。この条件をみたすときの丸棒外周上のせん断応力はねじりを0に戻す前の外周上のせん断応力τyに-τ(ねじりを0にするために-ϕ2だけねじることを考えているので-が付きます)を加えて
となります。式(2)よりϕ2は
なのでこれを式(1)の代入してr=R2とすればτは
とわかります。τ<2τyが成立するので外周上のせん断応力はτy-τで求まり、その値は
となります。
(4)ねじりを0にしたときの応力分布を求める問題
(2)の状況から-ϕ2だけねじったときに新たに断面に生じるせん断応力の分布τ'(r)は式(1)に(3)で求めたϕ2を代入して-を付ければ
となります。これを(2)のせん断応力の分布に加えれば求めるせん断応力分布が得られるので求めるせん断応力分布τ(r)は
R1≦r≦(R1+R2)/2のとき
(R1+R2)/2≦r≦R2のとき
これらを図示すると下図の青線のようになります。
以上で解説は終わりです。最後まで読んでくれてありがとうございました。
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