こんにちは。 のじれいか(@noji_rei)です。
映画『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』は、判決の確定した冤罪事件の真実を弁護士が明らかにするドラマ。
主人公の松潤演じる、変わり者の敏腕弁護士が事件を解決していきます。
2016年、2018年と放送されてきた人気シリーズのドラマの映画版です。
いやこれ、無理無理無理っす
評価は高いけど、オチに愕然……
ストーリーをネタバレありでご紹介します!
作品情報
監督:木村ひさし
2021年12月上映 120分
<キャスト>
深山大飛(松本潤)
佐田篤弘(香川照之)
河野穂乃果(杉咲花)
南雲恭平(西島秀俊)
<人物相関図>
映画『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』公式サイトより
ストーリー
「斑目弁護士事務所」の弁護士、深山大飛は、事務所の若手弁護士の河野穂乃果と「不里崖殺人事件」の真犯人を暴いた。
そんな深山たちの所に「毒物ワイン殺人事件」の依頼が入る。
事件は15年前、ある村のワイナリーで開かれた収穫祭で、ワインに不毒物が混入され死者を出したというものだ。
当時、逮捕されたのは、ワイン作りのため村に移住した山本貴信で、山本は無実を主張していたが、獄中死していた。
ところ変わって。
深山たちにとって謎めいた存在の弁護士、南雲恭平の娘、南雲エリがピアノコンクールで優勝した。エリは一躍注目を浴び、南雲はエリの成功を喜ぶ。
だが、そんな南雲にタブロイドの記者が接近。エリは南雲の実の娘ではなく「毒物ワイン殺人」の犯人、山本貴信の実の娘であることが暴かれたのだ。
深山をはじめとする斑目弁護士事務所のメンバーは、事件当日の収穫祭の参加者に事件の話を聞くためワイナリーを訪れる。
好きなところ
テレビドラマの雰囲気はそのまま
ドラマ同様、映画もテンポよく軽快で、話がどんどん進みます。ちょい早すぎるのでは?と感じるほどです。
映画はドラマの倍の尺があわけですが、ダレずに楽しめます。
またドラマ版で登場していた準レギュラーのメンバーが登場するのも楽しみのひとつ。ドラマのファンには嬉しい展開です。
もしもドラマを見ていない(忘れた)場合でも、事件とはあまり関係がないので大丈夫です。
コメディのようでテーマは重い
これはこのドラマそのものの面白さですが、松潤演じる深山はおとぼけキャラですが、冤罪担当の弁護士というギャップがやはりよいです。加えて深山自身、自分の父親が冤罪事件で逮捕され、無実を証明できずに前に亡くなっているところも。何も悩みもないようで、実は重い過去を背負っている設定も好きです。
そして今回の映画では、ドラマでは謎の多かった西島秀俊の演じる弁護士、南雲恭平の素性がクローズアップされます。
南雲にはエリという娘がおり、二人は寄り添い暮らしていましたが、エリのピアノの才能が認められたことが、皮肉にも二人の秘密が暴露するきっかけになってしまったのです。
もちろん南雲はそのことを知っており、エリに隠していました。
どうして南雲はエリを引き取ったのか、そして真実を打ち明けなかったのか、理由は三つあります。一つ目は南雲は山本の担当弁護士で、二つ目は、南雲は山本の無罪を信じながら救うことができなかった無念さがあったからです。
そし三つ目は、南雲は山本から「エリを死刑囚の娘にさせたくない」と聞いてきたからです。
ちなみに、エリの本当の父親であり、ワイナリーの収穫祭でワインの毒物を混入したとして逮捕された山本貴信を演じているのは、渋川清彦 『ザ・タクシー飯店』『柴公園』)です。
最初のうち南雲は、責任感で幼いエリを育てていましたが、段々と情が湧き、愛情を持つようになっていました。
けれどエリを愛するようになればばなるほど、南雲の心中は、弁護士として井上を救えなかった葛藤が大きくなる。
そこで冤罪事件を専門にする深山弁護士が、15年前の事件を再度調べていくことになるわけです。
残念に感じたところ
何これ?なラスト(ネタバレあり)
ワイナリーを訪れた深山たちは、関係者を集め15年前の収穫祭の再現をしたいと言い出します。事件当日はビデオを撮っていたので、そのとおりに再現したいというのです。
でもそんな深山に、村人たちは不快感を示します。「あのときのことは忘れたい」と協力を嫌がるのでした。
そんな中、村人で唯一協力的な人物が現れます。父親のワイナリーを手伝う重盛守(道枝駿佑)という青年です。守は事件当時子供でしたが、あの事件には何か隠されていると感じていたからです。
やがて守の熱心な呼びかけで、住民たちは仕方なく当時の再現に協力します。
そして、15年前に撮影されたビデオと、深山によって撮影されたビデオを見比べて検証を重ねるうち、あらゆることが明らかになります。
中でもポイントになっていたのは毒物になった薬物の入手先。これは微量であればワインに入れているものですが、入れ過ぎると人が死ぬようなものです。
これまで薬物は、山本家のガレージから持ち出されていたと想定されていましたが、検証の結果そうではないことがわかり、事件は一気に解決に向かいます。
ここで結論を言ってしまうと、事件は意図的な殺人ではありませんでした。
でもそれをひた隠すのは、村人たちが誰かを庇っているから。
それは犯人が、自分たちより弱く、守らなければならない相手なことを指します。
たとえば南雲がエリを守ったように、村人はある者を守ります。
つまり事件の犯人は井上ではなく、やはり別に真犯人がいました。
そしてその犯人は衝撃的な人物でした。
ですが、物語の中では衝撃度合いは薄めで、呆気なく終わってしまう。
えっ?そ、それでよかったの?と疑問が残る後味の悪い結末です。
閉鎖空間における集団の恐ろしさ(ネタバレあり)
どうして井上が犯人に仕立て上げられたのか。それは山本が移住したばかりの新参者でワインの賞を受賞して村人から嫉妬されていたから。
それで山本は村人たちから、事件の犯人にでっち上げられてしまいました。
もし弱い者を庇うのなら、親や身内が身代わりになるならまだ納得できますが、赤の他人になすりつけるのだからタチが悪い。
人間の醜さや理不尽さを表現したかったのかもしれませんが、人気俳優のフィクションドラマなので、気持ちよい終わり方を期待していただけに意外でした。
この話がずっとひっかかっていたのですが、この物語は「和歌山カレー事件」「名張毒ぶどう事件」をヒントにしたものというブログ記事を読んで納得しました。
まとめと所感
ドラマ『99.9』を見ていた人は楽しめる構成です。テンポもよく洒落もきいています。熊本県での「太陽にほえろ」の登場人物集結の場面のように、わかる人にしかわからない小ネタも楽しい。
それに榮倉奈々、岸部一徳、笑福亭鶴瓶といった豪華キャストが顔を出します。
ただメインの事件は、真相を含めて後味の悪さが気になりました。
本作品では、岸部一徳演じる斑目春彦に代わり、香川照之演じる佐田篤弘(香川照之)が「斑目弁護士事務所」の所長に。
ですが香川照之は、出演自粛状態が続いていますし、本作品の続編が作られることになったとしても出演するのは難しそうです。
主演の松本潤も大河で出ずっぱりですし、当面はなさそうですけど。
ラストに「またいつか」の文字がさりげなく出ていましたが、本作品が集大成なのかもしれないです。
最後に。
内容とは関係ないのですが、松本潤のメイクがやたらと濃いのが気になった。
それではまた!