【構造設計一級建築士試験対策】法改正施行後 第2回目の「平成26年度定期講習」の概要集

構造設計一級建築士 定期講習 H26 構造設計一級建築士試験対策

概要

構造設計一級建築士」の「定期講習」は,「一級建築士」と異なり,設計事務所に所属してるか関係なく,必ず3年ごとに,「定期講習」を受けて,修了考査に合格しなければなりません。

今回の「定期講習」重要ポイント簡潔にまとめてみます。

これから,「構造設計一級建築士」を目指す受験生の参考にしてください。

平成26年度 構造設計一級建築士 定期講習の要点

構造設計一級建築士 定期講習 テキスト
実際の定期講習のテキストです

科目1 構造関係規定に関する科目

第1部 法改正の経過

1.1 建築規制の変遷

【ポイント】

  1. 建築基準法は,国民の生命,健康及び財産の保護を図り,公共の福祉の増進に資することを目的としています。
  2. 建築基準法は,建築物の敷地,構造,設備及び用途に関する最低の基準を定めています。

第2部 建築基準法改正(平成26年6月4日公布)について

2.1 建築基準法改正(平成26年6月4日公布)概要

【ポイント】

  1. より合理的かつ実効性の高い建築基準制度を構築するため,建築基準法の一部を改正する法律が平成26年6月4日に公布されました。
  2. 改正法は,原則として公布日から1年以内に施行されます。

ただし,エレベーター昇降路の容積率緩和については,平成26年7月1日に施行済みで,定期報告等の規定は公布日から2年以内の施行となっています。

2.1.1 木造建築関連の見直し(法第21条,法第27条)

【ポイント】

3階建ての学校等について,実大実験等により得られた新たな知見に基づき,一定の防火措置を講じた場合には主要構造部を耐火構造としなくても建築が可能となりました。

2.1.2 構造計算適合性判定制度の見直し

【ポイント】

  1. 構造計算適合性判定制度を建築主事等の審査から独立させ,建築主が構造計算適合性判定を直接申請できる仕組みに変更されました。
  2. 構造計算に関して高い能力を有する者として省令の要件を備える建築主事が,構造計算適合性判定を行うことが必要とされている構造計算のうち比較的容易に審査できる政令で定める構造計算の確認審査を行う場合には,構造計算適合性判定の対象外となります。
  3. 既存不適格の適用を受けて増改築する場合であっても,新築の場合に構造計算適合性判定の対象となる「特定構造計算基準」に相当する基準(「特定増改築構造計算基準」)によって安全性を確かめる場合には,構造計算適合性判定を行うことになりました。
  4. 一定の実務経験を受検要件とした構造計算適合性判定員の検定制度が創設されました。
  5. エキスパンションジョイント等で構造上分離されている建築物の各部分は,構造耐力に関する規定(法第20条第1項)の適用については,それぞれ別の建築物の部分とみなすことになります。
2.1.3 仮使用承認制度における民間活用

【ポイント】

  1. 建築物の仮使用認定は,指定確認検査機関でも行えるようになりました。
  2. 指定確認検査機関の仮使用認定を受けた場合でも,特定行政庁が適合しないと認める時は,仮使用認定の効力を失います。
2.1.4 新技術の円滑な導入に向けた仕組み

【ポイント】

法第38条は,法第2章(単体規定)に関して現行の建築基準では対応できない新技術を導入できる国土交通大臣の認定制度を規定しています。

2.1.5 容積率制限の合理化

【ポイント】

  1. エレベーター昇降路部分の床面積は,容積率に算入しません。
  2. 老人ホーム等の地階は,床面積の合計の1/3を限度に容積率に算入しません。
2.1.6 定期調査・検査報告制度の規制強化

【ポイント】

  1. 定期報告の対象建築物が,全国一律に指定されるようになりました。
  2. 定期報告の調査内容として,防火戸等の防火設備について詳細な点検が必要になりました。
  3. 定期報告の調査・検査資格制度が,法律で規定されるようになりました。
2.1.7 建築物事故に対する調査体制の強化

【ポイント】

  1. 特定行政庁が調査のために建築主事に報告を求めることができる対象者に,建築材料等を製造した者が追加されました。
  2. 特定行政庁が調査のために立ち入りできる場所に,建築材料等を製造した工場も追加されました。
  3. 建築主等や型式適合認定等を受けた者に対しての国土交通省の調査権限が新たに規定されました。
2.2 建築基準法施行令の一部を改正する政令

【ポイント】

  1. 利用者が安全に昇降できるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いる階段として,小学校の児童用の階段が定められました。
  2. スプリンクラー設備を設けた場合や小規模で避難が極めて容易な構造とする場合など,建築物の利用者の避難上の安全性が十分に確認される場合に,寄宿舎等における間仕切壁の防火対策の規制が適用除外されます。
  3. 建築基準法第52条第6項の改正に伴い,容積率の算定に当たり,延べ床面積に昇降路の部分の床面積を算入しない昇降機を,エレベーターのみと定められました。
2.3 検査済証のない建築物に係るガイドライン

【ポイント】

  1. 検査済証のない建築物について指定確認検査機関が法適合調査を行うためのガイドラインが,国土交通省から示されました。
  2. ガイドラインによる指定確認検査機関の法適合調査は,今まで特定行政庁が行ってきた建築基準法第12条5項報告に準ずる手続き又は補完する位置づけとなります。

第3部 最近の建築基準法施行令及び関係告示等の改正

3.1 給湯設備の転倒防止に係る技術基準の改正について

【ポイント】

  1. 給湯設備のうち,満水時の質量(支持構造部を含む)が15kgを超えるものは,転倒防止措置のための基準が適用されます。
  2. 給湯設備の転倒防止措置のための基準によると,上階になるほど留め付ける部材の必要耐力が大きくなります。
3.2 特定天井及び特定天井の構造耐力上安全な構造方法を定める件について

【ポイント】

  1. 建築基準法施行令第39条は,建築基準法第20条に基づく政令なので,天井脱落防止対策は構造設計者による検討項目です。
  2. 天井脱落防止対策の対象は,6m超の高さにある水平投影面積200㎡超,単位面積質量2kg/㎡超の吊り天井で,人が日常利用する場所に設置されているものとなります。
  3. 独自に吊元のない照明や空調設備は,天井の荷重に含まれます。
3.3 地震その他の震動によってエスカレーターが脱落するおそれのない構造方法を定める件について

【ポイント】

  1. エスカレーターの落下防止対策について,大規模地震時において想定すべき十分な「かかり代」を設けることを規定のひとつとしています。
  2. もうひとつのエスカレーターの落下防止対策として,一定の「かかり代」を設けた上で落下しないようバックアップ措置を講ずることを規定しています。
3.4 既存不適格の緩和規定,施行令及び告示の改正概要

【ポイント】

  1. 平成24年9月20日の既存不適格の緩和規定の改正において,基準時の1/2を超える場合の緩和規定が追加されました。
  2. 平成26年4月1日の既存不適格の緩和規定の改正において,既存部分についても特定天井の脱落防止措置が必要であることが追加されました。
3.5 増築計画におけるよくある質問

【ポイント】

  1. 建築当初は当時の基準に適合しており,法改正により改正後の基準に適合しなくなった建築物を既存不適格建築物と呼びます。
  2. 既存建築物が法改正により改正後の建築基準法に適合しなくなった時期のことを基準時といいます。
3.6 既存不適格の緩和規定を適用した増築計画例

【ポイント】

  1. 既存不適格の緩和規定を適用した計画の場合,既存部分が増築時の構造規定に適合しない内容を既存不適格調書に記載して確認申請書に添付が必要です。
  2. 既存不適格の緩和規定を適用しない増築計画の場合,既設部分を含めた全体を新築するとみなして構造計算適合性判定の要否を判定します。

3.7 建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律

【ポイント】

大規模の既存耐震不適格建築物や通行障害既存耐震不適格建築物については,耐震診断を行い,その結果を所管行政庁に報告しなければならない。


参考文献:構造設計一級建築士定期講習テキスト「第四版」(株式会社確認サービス)

参考リンク集

【構造設計一級建築士試験対策】法改正施行後 第1回目の「平成23年度定期講習」の概要集

令和2年 合格者発表!「構造設計一級建築士」になるためには?は,こちらです。

令和元年 合格者発表!「構造設計一級建築士」になるためには?は,こちらです。

「令和元年度構造設計一級建築士講習」考査問題及び修了判定の概要は,こちらです。

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