とても痩せた末期ガンの患者さんが、記者さんから
『ご自分の人生を振り返って、どんな人生でしたか？』
って聞かれたんですね。
そしたら、その人がか細い声で
『苦しかった。辛かった。』
と答えていたんですね。
私は、なぜか、すごく共感したんです。
私も、自分の人生どうでしたかって聞かれたら
『辛かった。』
って答えると思うんです。
世の中には、自分の好きなことが出来る人と、なかなか出来ない人がいます。
人それぞれ、その人の事情があります。
私には、家族がいます。
若い頃は、大きな夢もありました。
しかし、好きなことをやり通す勇気はなかった。
でも、確かに、自分の夢を追いかけた時代がありました。
プロのミュージシャンになりたかった。
私の知り合いや友人の中には、結婚せずに、アルバイトをして、今でも、歌い続けている人がいます。
私も、一時期は、芸能プロダクション事務所にも入っていた時期もありました。
でも、現実は厳しいもので、今は夢を諦め、全く正反対のしがないサラリーマンをしています。
好きで入った会社でもないので、出世欲も全くありません。
それで、サラリーマンになった時から、自分と同じ思いを子供にはさせたくないという気持ちがありました。
息子は、医者になりたいと言いました。
全力で応援、サポートしようと思いました。
ただ、それだけです。
息子には、私のような思いだけはさせたくない。
子供の教育だけは、誰にも負けたくないとずっと思っていました。
現に、誰にも負けていないと思っています。
息子のために頑張って来て良かったと思っています。
それは、私の誇りです。
比べることは悪いことかも知れません。
しかし、本音を言えば、出世した人の子供が大した大学に行ってないと、『勝った！』と心の中で思っちゃう私がいます。
子供は、無事に国立大医学部医学科に入学させていただきました。
ただただ、嬉しいです。
あとは、自分の力で道を切り開いて行くことでしょう。
そんな私も、私も、自分の仕事にいくらかの自信はあります。
しかし、好きではない。
子供の教育には自信があります。
子供の教育は大好きなのです。
息子が国立医学部医学科に合格して、毎日、医学部生としてコツコツ頑張ってくれているおかげで、自分の仕事に対する気持ちも、少しではありますが、前向きになれました。
ただ、そのことで、自分の仕事を好きになるということは、これから先もないと思います。
しかし、こんな親を、いつもワクワクさせてくれる息子には、非常に感謝しています。
それと同じように、私の歴代の部下にも感謝しています。
私についた部下の全てが、立派に育ってくれています。
とても、嬉しいことです。
部下の教育も息子に対する教育となんの変わりもありません。
ただ、『こいつは、俺が必ず成功させる！』という情熱は、いつも持っていたし、みんな、私の期待に答えてくれています。
ただただ感謝です。
ありがたいことです。
しかしです。
今、自分が死ぬとしたら、自分の死に際に、自分の人生がどうだったかと聞かれたら、今の時点では
『ただただ辛かった。』
と答えるでしょう。
多くの人が好きなことをやれてない、生活のためにただ頑張ってるに過ぎないかも知れません。
出来るなら、私みたいな人生は、私の代で終わりにしたい。
子供には、名医になって欲しい。
患者から信頼される医者になって欲しい。
私が残念に思うこと。
それは、ほとんどの親が、自分の子供が東大、京大、阪大医学部、旧帝大医学部医学科等に行くなんて、最初から心の片隅にもないということ。
本当にもったいない、
親が本気になれば、子供を東大や京大、国立医学部医学科に合格させることは限り無く大きくなります。
いつの間にか、子供の夢を私の夢として、私は頑張って来ました。
子供が頑張っている姿を見て、私も辛うじて頑張れてます。
親の気持ち次第で、子供の可能性は高くなります。
いや、無限大になります。
私と一緒に仕事をしてきた後輩の子供の将来が素晴らしいものになるように、今、いろいろアドバイスしています。
後輩たちの親としての意識もだいぶ変わってきました。
子供の教育を真剣に考えています。
とても嬉しいことです。
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