坊さんブログ、水茎の跡。

小さなお寺の住職です。お寺の日常や仏教エッセーを書いてます。

本堂の畳替え ~ い草の香りに包まれて ~


先月末に雪が舞いました。

雪の朝は静寂に包まれます。


凍てつく空気の中で、背筋まで正される思いです。なんとなく雑念も消え去るように感じるのは、心の中までもが白一色になるからでしょうか。その日の夜は、氷点下15度くらいまで冷え込みました。

今日は2月1日(大安)。節分・立春ももうすぐですね。境内の草木と同じように、春の訪れを待ち望みます。

今年に入って、いつもお写経に来てくださる方から「本堂の畳替えをお願いしたい」との有り難いお話をいただきました。今年は弘法大師空海ご生誕1250年、普濟寺の御本尊大日如来造立200年、さらには娘さんのご結婚も控えていらっしゃるとのことで、「節目の年に御寄進」したいとのお気持ちです。

こちらは普濟寺の本堂内です。


現在よく使われる畳よりも大きいサイズが使われています。昔ながらの大きさなのでしょう。何年前に畳替えをしたのかも分からないほど、だいぶ使い古されています。
2年以上にもわたってお写経に通われている方だからこそ、畳の状態に気づかれたのかもしれませんね。

畳の相場が分からなかったので近くの畳屋さんへ。さっそく見本を見せていただきました。いろいろな種類があります。


畳表の端っこの「ひげ」よ呼ばれる部分の長さによって品質が変わってくるそうです。


打ち合わせを済ませて、後日、古い畳の運び出しです。
床板が見えました。


前回の畳替えの際に、床板も新たに補強したのかもしれません。塩谷の杉板と見えます。


ただ、部屋によっては創建当初の床板も残されていました。


おそらく200年前の木材と思われます。
中には数字が記されている板もありました。


昔の畳屋さんが目印として書いたのでしょうか。早書きでしょうが手慣れた文字です。

新しい畳が来るまで、しっかり2日間お掃除しました。

そして、いよいよ畳の搬入です。

い草の香りが漂います。この後、から拭きをして、さらに馴染ませました。

いろいろな畳の敷き方がありますが、普濟寺本堂の場合は、本尊様の前は祝儀敷き(回り敷)、両脇は不祝儀敷きとなっています。慶弔どちらも可能です。


そして、こちらが真新しい畳を敷き詰めた堂内です。


以前と比べると、ずいぶん明るくなりましたね。立春を前にして気持ちも清々しくなりました。私の代では、もう変える必要はなさそうです。

この度は御寄進くださり誠にありがとうございました。引き続き新しい畳の上でお写経をお続けください。ますますのご多幸を心よりお祈りいたします。

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最後までお読みくださりありがとうございました。