窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「カムカムエヴリバディ」(53):前夜

第12週「1963-1964」(月)

放送日

  • 2022年1月17日

登場人物

概要

ジョーがクリーニング屋に来た時に、ラジオでは磯村吟がジャズコンテストのことを話していた。関西一のジャズ・トランペッターを選ぶ大きな催しであること。そして注目すべき人間として4人の名を挙げる。トミーとジョーも名前が挙がった。大月君のことを言っているよ、といってみんなで清聴していると、磯村は優勝候補はトミーであり、ジョーは足元にも及ばない、と結論づける。

磯村さんはジャズにものすごく詳しい人で、小暮さんも一目置いているんだ、自信がなくなってきた、とジョーが弱気になる。るいは励ますが、元気にならない。そこへ西山が来店し、二人を見て、そういう時は映画でも見るのが一番、と、モモケンこと桃山剣之介の映画の割引券を二人に渡す。

映画を見に行った二人は……るいはあまり気に入らなかった様子で、あっという間に飽きてしまい、ジョーのことを気にしてばかりいるが、ジョーは琴線に触れるものがあったらしく、熱心に見ている。帰り道で、必ず優勝するよ、とるいに約束する。

コンテスト当日。平助・和子夫妻は、二人で映画を見に行くのだとおしゃれしてうきうき。店を早じまいして、早々に二人で出かける。るいも支度をしようとすると、ジョーが店にやってくる。何事かと思ったら、新調したばかりのシャツにケチャップのあとが……。大月錠一郎とはこういう男なのだ。るいは大急ぎでシミお年を始める。

雑感

モモケンの長く続いているシリーズもの、今作はマンネリ打破のため、予算を何倍も増やし、新人を大胆に起用して挑んだ一作で、現在大人気上映中……とのことだが、映画館の中はガラガラ。磯村によれば世紀の駄作なんだとか。しかし、シリーズの決まり文句「暗闇でしか見えぬ景色がある、暗闇でしか聞こえぬ音がある……」がジョーの心を捉えた様子だ。幼い頃、寒くて、ひもじくて、暗闇の中に閉じ込められたような時代。ジャズを聴き、定一の歌を聴き、自分の日向の道が見えた気がしたあの時の気持ちを思い出したのかも知れない。

竹村夫妻が映画に行くことにしたのは、もともとこの二人はこういうことを時々していたのだろうが、この日がコンテストの日だと知って、またるいが思いつめたように早退を言い出すことのないように、わざとこの日に予定を作り、店を早じまいすることと決め、だからるいちゃんも気兼ねなく出かけてき、という雰囲気を作ってやったのではないか。この二人に育てられて、いや、育てられてはいないけれども、この二人が雇い主で、本当によかった。

コンテスト出演者が何人いるのか知らないが、優勝候補の4人の中に含まれていたら相当なものだと思う。元気をなくす必要はまるでないと思うが。磯村が審査員を務めるわけじゃあるまいし。
(2022/01/18 記)


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