今井城
別名:不明。
城地種類: 山城。
築城年代:不詳。
築城者:今井兼平?。
主な関連施設:無し。
文化財史跡区分: 県指定史跡。
主郭~Ⅱ郭間の空堀(堀切)
新潟県津南町に、「河岸段丘上に築かれた、巨大な空堀(堀切)が良好な状態で現存する山城がある」というので行ってきました。2022.11.26.登城。
今井城概要:
信濃川南岸に面した河岸段丘上に造られた山城で、木曾義仲に仕えた今井兼平の居城であったと云われています。現在の遺構は戦国期のものとされ、上杉氏の家臣、金子次郎右衛門が城番を務めたとされていますが、慶長3年(1598年)の上杉景勝の会津移封に伴い廃城となりました。
城址標柱と駐車場
Googleマップを参考に進んで行くと、途中に数カ所の案内標識があるので割と簡単にこの標柱のある駐車場へと着きます。ここから城址へは目と鼻の先で、すぐに遺構が目に飛び込んできます。
Ⅱ郭南側空堀の東側
駐車場から徒歩1分とかからずに、こちら↑の遺構が目に飛び込んできます。いきなりの凄い空堀出現に一気にテンションが上がります!
南台地~Ⅱ郭間の空堀
駐車場から北へと進むと馬出とされる小郭があり、その脇からⅡ郭へと入る事ができます。
横矢掛りの空堀
ここ今井城は舌状台地を空堀で仕切り、2つの曲輪と腰曲輪で構成される割とシンプルな縄張構成となっています。そのⅡ郭と南側台地とを隔てる空堀にはご覧の通り、横矢をかける構造になっています。この先に進んでみましょう↓
空堀の形状は箱堀で、驚く程に堀の法面が急傾斜となっています。(定期的に修復とかしているのでしょうか?)このまま東端まで行ってみます↓
空堀東端から西側を見たのがこちら↑。堀の深さは6~7m位でしょうか、幅は10m以上ありそうです。(レーザーが故障中なので目測です)ここで来た道を戻り、横矢部分からⅡ郭へと進みます↓
見事なまでのクランク形状で、横矢もしっかりと掛かっています。正面の馬出とされている部分の堀向こう(Ⅱ郭側)には虎口がある事から、この馬出とされている部分から木橋などでⅡ郭と繋がっていた可能性があり、その防御のための横矢構造である可能性がありますね。
Ⅱ郭
現在虎口部分はブルーシートに覆われており、その形状を確認するまでには至りませんでした。その先(北側)はこんな感じでかなりの広さの曲輪がそこにありました。
ここで一旦先程の空堀まで戻り、Ⅱ郭から空堀東側を見てみます↓
このように土塁が空堀沿いに築かれています、しっかりと造られている印象です。
綺麗ですね、しっかりとその形状を保っています。(定期的に修繕等をしているのでしょうか?)せっかくなので、そのまま空堀を上から見てみます↓
本来の空堀の高さ(深さ)と土塁の高さが合わさって、とても高く(深く)見えます。
敵との交戦の際には、この土塁は盾の役目も果たしますね。しかもこちら側のほうが高い位置にあるので反撃も有利に働く感じです。
ここでⅡ郭を北へと進み、主郭とⅡ郭間の巨大な空堀(堀切)を見に行きます↓
主郭~Ⅱ郭間の大空堀
こちらの空堀(堀切)はかなり巨大な代物で、空堀の中央部から東側を向いて撮影したのがこちら↑の写真となります。見て分かるとおり、空堀には畝状の土塁が中央部分から東側へと続いて行きます。この仕切り土塁とも言うべき物がどのような役目を果たしていたのか?とても気になる遺構といえます。
空堀を東端から見たのがこちら↑。因みにこの後ろ(東側)は断崖絶壁になっており、危険なので近づかないようにしましょう。
主郭~Ⅱ郭間の空堀西側
先程の中央部分から西側を見たのがこちら↑。こちら側にも東側と同じく、畝状の土塁が築かれており、防御において何らかの役目を担っていたと考えられます。樹木で見えないので、下りて見てみます↓
こんな感じですね、どういう役目を果たしていたのか?造った人に聞いてみないとわかりませんね…。
主郭南側・土塁
真ん中の部分が橋台のあった所とされています。土塁の高さは2m位あるでしょうか?
こちらの主郭と思われる曲輪は、東西は断崖絶壁で要害、北側は尾根筋に腰曲輪と堀切で防御されており、こちらの南側は巨大な空堀とこの土塁で守られた堅牢な曲輪となっています。
近くによって撮ってみました。しっかりとその形状を保っていますね、定期的に修繕等がなされている感じですね。(ありがとうございます)
主郭からみる巨大空堀
こちらの巨大な空堀、何が凄いかと言うとその長さもさることながら、この堀幅の凄さだと思います。せっかくなのでその動画を見てみましょう↓(音量注意!)
主郭東側・眺望
かろうじてこの辺り(東側)は眺望が良いかなぁ~と、思ったがまあこんな感じでした。こちらの主郭北側には腰曲輪があります、早速見に行きます↓
腰曲輪
小さめの曲輪です、早速下りてみます↓
腰曲輪から主郭方面を見たのがこちら↑。しっかりとした段差により、隔てられています。この腰曲輪の先には二重堀切があるので見に行きます↓
二重堀切
写真では分かりにくいですが、手前の堀切の向こう側(コブの後ろ)にもう1条堀切があります。
こちらが2つ目の堀切で、北側から南を向いて撮影しました。この辺りはもうかなりの細尾根なので、このように堀切があると防御の効果も上がります。
二重堀切からの眺望
この辺りの細尾根には大きな木々が無いので、割と眺望が良い。これで今井城の散策は終了、下城して次の城へと向かいました。
今井城ログ
時間:1時間20分。麓からの比高を計測したかったので、麓まで下りました。
距離:2.3km、城域だけなら2km未満で十分に見学できます。
標高・比高:標高は436m、比高は133m(麓の善福寺からの比高)。
広域
麓と街道の様子が手に取るように分かる立地で、しかも南側以外は全て断崖絶壁になっているのがよく分かります。この等高線の間隔の狭さがえげつないですね。
越後・今井城
見所ポイント:巨大な空堀(堀切)、土塁、二重堀切、横矢折、橋台、中土塁、等。
駐車場:城址標柱の前に2~3台程度。
総評:現在の新潟県津南町に位置しており、信濃川南岸の河岸段丘上の舌状台地に南北に細長く築かれた山城。城の南北に展開する2つの巨大空堀(堀切)と各曲輪の空堀沿いに築かれた土塁、横矢掛り、仕切り土塁、橋台跡、二重堀切などが良好な状態で遺っています。こんな見所満載にして、見事な巨大空堀を有する土の城、” 今井城 ” に週末あたり訪れてみてはいかがでしょうか。