離島に住むコト。
先日、東京の出張から帰ってきた。
都会は都会の温かさがあることを知り、名残惜しさを胸の片隅に抱えながら飛行機の窓から段々と小さくなる街をぼんやりと眺めていた。
あの一つ一つの場所に自分が出会ってきた人がいると思うと少し離れたくなかったのかもしれない。
機長さんが「今日は天気も良くて、もうすぐ右手に富士山が見えます」と無線で話していたことやCAさんが飲み物を聞いて回っていることも、なんだか受話器から聞こえてくる声のようで自分だけが遠くにいるような気持ちだった。そんなものだからずっと心がざわざわして、寝ようとおもっていたのに気がついたら石垣空港に着いてしまっていた。
結局、気持ちの整理がつかないまま空港から外へ出ると南国特有の、湿度を含んだ南風が優しく体を通り抜けた時、僕は温かな風に包まれながら涙が出そうになってしまった。
きっとそれは東京に置いてきた自分の気持ちだったり、久しぶりに帰る八重山の懐かしさだったりが折り重なるように入り混じって心の中に広がっていったからなのだと思う。
誰がいるわけでもないのに心の中で「ただいま」とつぶやいていた。
あぁ、僕も多分、島のことが好きなんだなぁ…と思うと空に島の人たちの笑った顔が次々に浮かんでは消えていった。
その日は石垣に宿を取ることにして、荷物を置いたら近場をあてもなくぶらぶらとちゃりんこを漕いでいった。ぼんやり走っていると仕事のことや東京のこと、島のことなどいろんなことが頭の中を駆け巡り、一番星が空に輝き始める頃にようやく気持ちも落ち着き、夕飯の買い物をして宿に帰った。
宿に着くと東京で仕入れてきたカレー用のスパイスを広げて、キーマカレーを作ることにした。新しいスパイスを試したかったのと、自分のカレーの腕はどんなもんぞやと東京のカレー屋さんで受けてきた刺激を存分にぶつけることにした。
クミンはあの人だったよな、カルダモンはもちろんあの人、東京で出会った人や島でお世話になってる人をスパイスに当てはめながらカレーを作り、宿泊しているお客さんにカレーを振る舞って一緒にご飯を食べた。
ここでも知り合いの人が何人かできて本当に人との出会いは一期一会なんだなとつくづく感じた。
話が逸れてしまうけれど、最近のカレーのこだわりは「八重山の食材をたくさん使うこと」だ。
その日は石垣島の泡盛とお米に八重山の島野菜と島のスパイスのピパーツ、西表島の塩に波照間の黒糖、コーレーグース(泡盛に島唐辛子を漬けた調味料)どれも味を構成する上で欠かせないものばかりだ。
時々ブログに書いているけれど、いま、カレーを作ることにハマっている。
将来、離島の食材をふんだんに使ったカレー屋さんを開けたらいいなとか、子どもたちが気軽に来れる子ども食堂のようなお店をできたらなとか無駄に夢だけが絵に描いた餅のように大きくなっている。
何かのきっかけで実現できたら素敵だなって思う。
次の日は島への定期船が欠航だったこともあり、宿を朝早くに出て船やバスをたくさん乗り継ぎ、島へと帰った。
島に着くと、いつかえってきたのかーと聞かれたり、おかえりーと声を掛けてもらえ、ただ単純に嬉しかった。その日の夜はご飯を食べにおいでと誘ってくれた人もいた。
島の人の温かさを感じながら家に着くとそのまま布団に倒れ込み、まどろみの中でいろいろな出来事を反芻しながらゆるやかに眠りに落ちていった。
大変なこともたくさんあるし島に住むことは決して楽なことではないけれど、ここには温かな南風が吹いている。
僕はこの島が好きだ。
秘密の抜け道から行ける砂浜の夕日。
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