"喉を使う趣味"というのは"唄うこと"である。それ以外はウガイくらいしかないだろう。
楽器の演奏は出来ぬが歌なら少しくらいは唄える。クリエイティブとは言わんまでもアクティブ=能動的でもある。唄うのは楽しい。
唄うと言ってもむろんオペラではない。かっこいい洋楽のブルーズでもない。唄うのはもっぱら70年代のフォークである。ギターはもう指が動かないので弾き語りは無理だ。早い話がカラオケである。
「フフン。カラオケかぁ〜」
と鼻で笑う方はここから先は読まないで結構ですヨ。
「フフン。やはりプラシドよりもパヴァロッティだな」
「フフン。そもブルーノートスケールというものがあってだな」
などとCD聴いてウンチク垂れてるだけのスノッブよりも、スナックのカウンターの端っこで誰も聞いてない「なごり雪」唄ってる酔っ払いの方が自分はよほど親近感がわく(親近感というよりも自分そのものだったりするのだけれど)
ただまあ、このご時世である。
カラオケが可能な場所にはおおむね禁足令が出ている。カラオケとは唾液を盛大に拡散するのと同義だ。テーブルやカウンターには他人のグラスや食べ物が並んでいる。防音のためそうそうドアも開け放てない。業界の方にはいたって気の毒ではあるが仕方ない。
ところが若い連中が
「スマホでカラオケアプリがあるヨー」
などという。カラオケボックスほどの曲数はないが結構楽しめるらしい。ものは試し、その場で早速ダウンロードしてみた。こういう尻軽さは今の世ではむしろ必要だと思っている。
眉をひそめて
「リモートなんぞ人間味がない。やはり肩を叩きあって飲む酒こそがぁー」
なぞと言う人が多い。落語の横丁の御意見番みたいだ。そりゃあまあ各人のご自由だけれど。自分は意固地になって自ら楽しむ間口を狭めるのも勿体無いと思う。簡単にできるものなら、とりあえずやってみて、自分に合わないならやめればいい。
で?どうだったか?
それは次回