サマルカンドの歴史地区と都市開発

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観光立国を目指すウズベキスタン

ウズベキスタンはシルクロード交易の歴史の中で築かれた数々の資産を基盤に観光立国化を進めています。
実際、ウズベキスタンは国内に4つの文化遺産と1つの自然遺産の世界遺産を抱えています。
世界を揺るがしている新型ウィルスの問題が収束した後には外国からの観光客が増加する事が容易に予測できます。
ところがその一方では、各地で観光客誘致の為の開発が急ピッチで進められており、歴史的な建造物が壊されたり、歴史地区の景観を損ねる懸念が生まれています。
こうした事態にユネスコではこのままでは世界遺産の景観が損なわれると危機感を抱き、ウズベキスタン政府にこうした開発計画の見直しを働きかけてています。

居住地区マハラ

ウズベキスタンの歴史地区の周りには”マハラ”と呼ばれる居住地区があります。
マハラの中には130年の歴史を持つモスクなどもあります。
あるいはロシアの統治時代に建造されたロシア聖教の協会なども残されています。
観光資産となる歴史的な建物も多く、マハラの街並み自体も価値を持っています。
ところが近年こうした古い建造物を壊してコンドミニアムなどに建てかえる事例が相次いでいます。

ベルリンの壁

サマルカンドでは歴史地区とマハラとの間に壁を造り、観光客の多く来る歴史地区からマハラを隔てています。
役人はマハラを観光客に見せるべきではないと考えたようです。
現地の住民の中にはこれを「ベルリンの壁」と揶揄する人もいます。
しかしながら外国人にとってはマハラはとても興味深い場所です。

宿泊施設が足りない

サマルカンドでは世界遺産の中にあるマハラでは3階建て以上の建物を建てる事が禁止されています。
一方でサマルカンドを始めとするウズベキスタンの観光都市では、増え続ける観光客に対して宿泊施設が少なすぎるという問題が生じています。

サマルカンドシティ

またサマルカンドでは、歴史地区の隣接地域に中国資本による「サマルカンドシティ」という開発計画があがっています。
450室規模のホテルや商業施設を含む都市開発です。
但しこの計画に対しては、ユネスコが世界遺産の価値に影響を及ぼす可能性があるとして反対しています。

サマルカンド市長の不正事件

2018年には当時のサマルカンド市長が不正により逮捕されるという事件が起きました。
元サマルカンド市長は歴史地区に複数の高層の建物の建築を認める代わりに数億円に登る賄賂を受け取っていたというのです。
元市長は有罪となっています。

サマルカンド市当局はサマルカンドシティ計画の大幅な見直しを表明しました。
場所も当初の計画地から郊外の離れた地域に移す事になりました。
現在は新しい計画でユネスコの審査を待っている状況です。

シャフリサーブスでも

こうした歴史地区と開発とを巡るせめぎ合いはサマルカンド以外の都市でも相次いで巻き起こっています。
サマルカンドの南方にある歴史都市シャフリサーブスでも、歴史資産の周りのマハラが取り壊され開発が進められる事態に陥っています。
この状況に危機感を持ったユネスコはこのまま開発が続けば世界遺産登録を取り消すとの見解を示しました。
ウズベキスタン政府はシャフリサーブスの開発をストップし、歴史遺産と周囲の景観の保護を打ち出しています。

まとめ

観光立国を目指すと共に経済の発展を進めるウズベキスタンでは、歴史遺産の保護と都市開発とがせめぎ合いを続けています。
ウズベキスタンではタシケント、サマルカンド、ブハラと主要都市の多くが歴史地区を抱えているという独自の都市構成を持っている為、この問題はずっと付いてまわります。
外国人の勝手な言い分としては、願わくば素晴らしい歴史地区とその景観を損なう事なく都市開発を進めて頂きたいです。
ウズベキスタンの人は自分たちの歴史に深い敬意を持つ人が多いので、きっと叡智を絞って上手く両立させてくれると思います。
今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
※参考 NHK Asia Inside

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