2024年が始まりましたが、元旦早々に石川県能登地方を中心に強い地震が発生しました。被災された方にお見舞い申し上げます。筆者が住む愛知でも、この地震によって結構大きな揺れ(震度4程度)があり、只事ではないことを直感しました。東日本大震災のときを想起します。

 

ここからいつもどおり経済関連の話へ入ります。下は一年前に書いた記事です。

かなり悲観的にならざるえない2023年以降の日本の経済 | 新・暮らしの経済手帖 ~経済基礎知識編~ (ameblo.jp)

 

 

今にして読めば大袈裟すぎたという反省はありますが、第2次安倍政権~菅義偉政権時代まで続けてきた脱デフレ(不況)体質の経済を目指してきた金融・財政政策が岸田政権移行どんどん骨抜きされ、再び低成長と雇用難に多くの国民(労働者)が泣かされるような事態になる危険性がどんどん高まっています。その岸田政権も支持率がみるみると下がり、ほとんど死に体となってしまいました。倒閣間近です。この政権が倒れた後に誰が総理の座に就くのかはわかりませんが、岸田文雄氏以上に緊縮色が強い人物となる可能性が高いです。そうなるとせっかく回復してきた雇用や民間企業の事業意欲を萎えさせてしまうことになりかねません。

 

2023年は供給不足によるエネルギーや食料等の資源価格の高騰を起因とするコストプッシュ型インフレに悩まされつつも、輸出関連の製造業やコロナ禍から回復した飲食・観光業などのサービス業を中心に企業の積極雇用が強まるなど一見ポジティブな動きが見受けられました。賃上げの動きが活発です。この動きがこのまま今年も続くのであれば1990年代以降から続いていた慢性的デフレ不況体質からの脱却となることが期待できますが、そこで水を差してしまうのがアベノミクス以前の日銀と緊縮指向の財務省でした。この二つの組織はバブル崩壊以後、低金利を嫌ったり、国家財政規律ばかりに固執して、民間企業の積極的な事業活動と投資、労働者への賃金分配を阻んできたのです。雇用が不安定化し、賃金が伸び悩めば当然のことながら、労働者=消費者は積極的にお金を遣って消費しようとは思いません。それが慢性的なデフレ状態を招き、厚い収益を期待できなくなった日本の産業は人件費を含めたコストカットに走って賃下げや不安定な非正規雇用の拡大に走ります。

 

第2次安倍政権と黒田東彦総裁着任後の日銀は「(人々が積極的にモノやサービスを消費をすることによって)物価が安定的に2%に達するまで金融緩和政策を徹底的に続ける」というコミットメントを織り込んだインフレターゲットを導入し、異次元の金融緩和政策を行いました。これによって雇用を含めた企業投資の拡大を促し、あらゆる産業で人手不足状態を生み出します。労働市場は買い手から売り手市場に転じ、賃金の高さだけではなく、働きやすさもアピールする求人が目立つようになってきました。

 

しかしながら金融政策と雇用の関係を理解できない日本のマスコミは「金融緩和は円の価値を棄損させて円安を招き、輸入物資の高騰で庶民の生活を苦しめるだけ」などという偏見を広め続けています。現在ありとあらゆるモノやサービスの価格が上がっていますが、原油や天然ガス、小麦などの食糧といった資源の価格はパンデミック収束後の深刻な人手不足やロシアによるウクライナへの軍事侵攻などを起因とする供給力不足によって高騰しているもので、日本より他国の方が高インフレ状態となっています。円安だけが日本におけるインフレの原因ではありません。日銀が行う金融政策は海外要因のモノやサービス不足で起きるコストプッシュ型インフレに対処することはできないのです。モノやサービスの価格を抑え込むという発想ではなく、国民の所得を伸ばしてインフレに適応できるようにしていくという発想へ転換すべきです。

 

一応アベノミクスによって企業投資の引き出しには成功したのですが、消費者の消費意欲については十分に活性化されていません。安倍政権時代に二度も消費税率を上げてしまったことや、現行の岸田政権が所得税の控除縮小や社会保険料の値上げなどといった”ステルス増税”をチラつかせていることによって国民に家計への警戒感を与えてしまっています。黒田氏に代わって就任した植田和男日銀総裁も長期金利の引き上げを望んでいる態度をみせており、現在堅調な雇用が企業投資縮小によってへし折られるような状況になっても不思議ではありません。

 

なぜ日本の消費者が積極的な消費をしなくなったのか?あるいはできなくなったのか?

 

その理由は1990年代以降から雇用が不安定化し、生涯にわたって安定した収入を得られ続けるという予想や期待が国民から失われたことでしょう。三重野康総裁から白川方明総裁時代までの日銀による金融政策や大蔵省→財務省官僚のいいなりになっていた歴代政権の財政政策は労働者を裏切り続け、信用を失いました。四半世紀に渡った経済停滞はいつ自分たちはリストラされ無収入になってもおかしくないという不安やどうせ自分たちの収入が伸びるわけがないという諦めの気持ちを根深く国民や労働者に植え付けたのです。そうしたマインドを払拭するには政権や日銀が「みなさんの所得がしっかり伸びるまで金融緩和や積極財政を徹底的に続けます」というコミットメントとその実行が必要です。

 

2024年以降の日本経済と国民生活が明るいものになるかどうかは、民間の経済活力が政・官の緊縮重力を上回り、上昇気流にのれるかでしょう。政治の方はかなり暗く不安定で不確実性ばかりが増す状況ですが、民間の企業が新しい事業に挑むべく積極投資を行い、雇用を拡大し続けることを祈ります。

 

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