病院の情シスで働く医療情報技師の奮闘記

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医療情報技師が注目する、2023年に施行される省令など

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新年あけましておめでとうございます。

 

2023年が幕を開けました。年末年始はゆっくり休めましたか? 私は相変わらずダラけて終わってしまいましたが、今回は休みが短かったので幸い休みボケをせずに済んでいます。

 

 

昨年の医療機関は、相変わらずコロナ対応に振り回された一年でした。コロナの感染症分類をインフルエンザと同じ5類に引き下げる案が検討されていますが、果たして今年こそコロナ禍の終焉が来るのでしょうか。平常な毎日が戻ることを祈るばかりです。

 

さて今年一発目の記事は、2023年に施行される病院関係の省令について取り上げます。医療情報技師にとって、省令や関係法令の改正情報を知ることは、システム改修を先取りして検討するのに役立ちます。出遅れることのないよう、ぜひ押さえておきましょう。

 

目次

 

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1月 電子処方箋の運用開始

 

1月から電子処方箋の運用が始まります。運用開始とはいっても義務化されるわけでなく、システムを導入すれば利用できますよ、という意味です。

 

電子処方箋とは、従来の紙に変わって、オンラインで処方箋をやり取りする仕組み。オンライン資格確認のネットワーク基盤を使います。つまりマイナ保険証を導入していることが前提条件となります。

病院だけが対応していても機能はせず、院外の調剤薬局も対応していなければ使えません。関係機関がすべて電子処方箋のシステムを導入していることではじめて利用可能になりますので、全国に浸透するまでには相当な時間がかかるでしょう。

 

紙の処方箋では医師の押印によって原本を担保していましたが、電子処方箋ではHPKIカードを使うことで原本を担保します。HPKIカードとは医師の資格を証明するICカードで、医師が自分で申請して発行してもらうもの。これもなかなかハードルの高さを感じますね。

 

われわれ医療情報技師がいくらシステムの下地を整えても、医師のHPKIカードがなければ機能しません。また、病院近隣の調剤薬局が対応しなければ、紙と電子の両方で対応を分けなければならず、かえって負担が増します。電子処方箋は病院全体、そして近隣の医療機関を巻き込んで一体となって進める一大プロジェクトとなりますので、しっかり動向を把握しておくことをおすすめします。

 

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whitefox21.hatenablog.com

 

 

 

4月 オンライン資格確認の原則義務化

 

マイナンバーカードを用いて保険情報を確認する「オンライン資格確認」(通称:マイナ保険証)の導入が、医療機関に対し4月から義務化されます。義務化というのは、あくまでマイナ保険証のシステムを導入することであり、紙の保険証を使うなということではありません。今まで通り使っても問題はなく、むしろ当分は紙の保険証が続くんじゃないかと思います。

 

そもそも、マイナンバーカードの所持率が未だに低いのが現状。発行率は国民の過半数を超えましたが、マイナンバーカードを保険証として使うには、マイナ保険証のポータルサイトで利用申請を行い、当たり前ですが受診時に携帯している必要があります。

政府はマイナンバーが他人に知られても悪用されることはないと言っていますが、あらゆる情報が紐づく以上、カードを常に持ち歩くというのは心理的抵抗があるかもしれないな・・・と個人的には思っています。

 

▼去年4月時点でのマイナンバーカードの利用状況をこちらの記事にまとめています。

whitefox21.hatenablog.com

 

 

しかも、マイナ保険証だけでは保険確認が済まないケースもあります。例えば自治体独自の公費負担制度についてはマイナ保険証で確認できないため、従来どおり紙の受給者証を持参しなくてはなりません。子どもの医療費無償化など子育て支援に力を入れている自治体も増えている中で、これは不便なところ。

 

しかも厚労省は、マイナ保険証は診察のたびに確認する必要があるという見解を示しています。

 

www.tokyo-np.co.jp

 

え? 今までは月1回の確認で済んだのに?

 

便利にしたいのか不便にしたいのか、分からないですよね・・・

 

紙の保険証では月1回で十分なのに、マイナ保険証になったら毎回の確認になる・・・というのは、逆に不便。しかも紙なら目視で保険情報を対応できますが、マイナンバーカードに記号・番号は記載されておらず、カードに埋め込まれたチップを認証機に通すことで確認します。これには、機器トラブルが発生した場合には確認ができなくなるという不安が付きまといます。

 

「マイナ保険証一枚あればすべての保険確認ができる!」というスグレモノではなく、発展途上のシステムなわけです。発展途上でありながら導入を義務付ける厚労省の意気込みには、先走り感が否めません・・・。

 

▼関連記事

whitefox21.hatenablog.com

 

 

 

4月 賃金のデジタル支払い解禁

 

4月から、キャッシュレス決済などのデジタルマネーによる賃金の支払いが認められます。

 

 2023年(令和5年)に施行される法改正のまとめ!

 

北海道でもキャッシュレス決済はだいぶ浸透してきましたが、スーパーやコンビニでの支払いを見ているとやっぱりまだ現金払いが多数派だと思います。私はSuicaやコード決済を日々使っていますが、個人経営のラーメン屋やカフェなどではまだまだ現金のみが主流。給料をキャッシュレスでもらうのはちょっと抵抗がありますね・・・。

 

キャッシュレス決済がなんで医療情報技師に関係あるの?

 

システムを入れるときにお呼びが掛かるかもしれませんので、一応・・・。

 

 

4月 個人情報保護法の改正

 

国の定める「個人情報保護法」が、4月から地方公共団体にも適用されるようになります。

 

 2023年(令和5年)に施行される法改正のまとめ!

 

え? 個人情報保護法って全員に適用されるんじゃないの?

 

実は地方公共団体だけは、各自で定める条例が適用されていたんです。

 

個人情報保護に関しては、民間企業等に適用される国の「個人情報保護法」、独立行政法人に適用される「独立行政法人等個人情報保護法」など、さまざまな法律が乱立し、それぞれによって適用される法律が異なっていました。地方公共団体や独立行政法人等を合わせると2,000近くの組織・団体があることから、この入り乱れた状態を「2千個問題」と呼んでいます。

 

 

whitefox21.hatenablog.com

 

4月に、地方公共団体も国が定める個人情報保護法の適用を受けることになり、これによって個人情報保護に関しては全国共通のルールによって運用されることになります。

 

今回の措置は、医療機関における地域連携ネットワークの推進を後押しするかもしれません。これまで病院が相互に医療情報を交換する場合、ネックとなってきたのがこの2千個問題。病院も国立、県立、市立、私立などさまざまで、それぞれの立場によって判断の根拠となる法令がバラバラでした。このため法解釈の統一が難しく、ルールを定めるのには高いハードルがありました。それが共通化されますので、地域連携ネットワークの停滞が解決される可能性があります。

 

 

 

以上、医療情報技師である私が注目する、2023年に施行される省令について紹介しました。

 

今年一年の省令と言っても、ほとんど4月施行のものだな。

 

やっぱり施行開始は年度始めが多いですね。

 

「一年の計は元旦にあり」と言われるように、今年予定されている法改正をあらかじめ押さえておくことで、慌てずじっくりとシステムの検討作業に当たることが出来ます。医療情報技師にとって今年は電子処方箋がメインイベントだと思いますので、国の動向や近隣医療機関の動向に注視しながら、しっかり準備していきたいものです。

 

 

 最後に

当ブログでは、病院に勤務するシステムエンジニアの私が、関係法令の改正やパソコンのトラブルシューティングなどをSE目線から紹介しています。

 

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