病院のSEとして10年以上働いている@whitefox21seです。
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介護に関わる情報を厚労省へデータ提出するシステム、LIFE(ライフ)が2021年4月から運用開始されています。データ提出により介護報酬の加算が算定できる仕組みで、通所・訪問リハビリテーションや介護施設ですでに導入されているところも多いと思われます。
このLIFEは動作環境としてInternet Explorer 11とMicrosoft Edgeを指定しているのですが、ご存知の通りInternet Explorerは2022年6月11日でサポートが終了し、使えなくなります。このため、いずれMicrosoft Edgeへ移行しなければなりません。
厄介なことに、LIFEのシステムはクッキーを使ってブラウザにデータを保存するため、Microsoft Edgeに移行するにはInternet Explorerからデータを書き出して移行する作業が必要です。これを行わずにサポート終了を迎えた場合、データの入力をやり直さなければならないことがあります。
そこで本記事では、Internet Explorerサポート終了前に行っておくべき、Microsoft Edgeへの移行作業について説明します。
目次
- 科学的介護情報システム(LIFE)とは?
- Internet Explorerの終了がLIFEに影響を与える理由
- Internet Explorerが終了したらどうなる?
- Microsoft EdgeのIEモードは使えるか?
- Internet ExplorerからMicrosoft Edgeへの移行手順
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科学的介護情報システム(LIFE)とは?
LIFEの正式名称は「科学的介護情報システム」。
厚労省の資料によると、「科学的に効果が裏付けられた自立支援・重度化防止に資する質の高いサービス提供の推進を目的とし、厚生労働省へのデータ提出とフィードバックの活用による、PDCA サイクル・ケアの質の向上を図る取組」と説明されています。
(事務連絡)「科学的介護情報システム(LIFE)」の活用等について
https://www.mhlw.go.jp/content/12301000/000753746.pdf
よくわからん・・・つまりどういうこと?
平たく言うと、介護報酬や介護サービスの質を科学的根拠に基づいて評価するためのデータベース、ということです。
以前から運用されていた、通所リハビリや訪問リハビリでのデータ収集システム・VISIT(ビジット)と、高齢者の状態やケアの内容等のデータ収集システム・CHASE(チェイス)を統合して新サービスとしてリニューアルした形です。
医療の世界では、加算の算定や施設基準の要件としてDPCやがん登録など厚労省へのデータ提出が求められるケースが多々ありますが、これと同じように、介護の世界でも科学的根拠に基づいたサービスが受けられるよう、データ提出の要件が定められたわけです。
Internet Explorerの終了がLIFEに影響を与える理由
では次に、Internet Explorerの終了がLIFEに影響を与える理由について説明していきます。
LIFEでは、インターネット経由でLIFEのデータベースにアクセスし、データをブラウザ画面で直接編集します。Web上のデータベースにデータを書き加えることで、提出が完了することになります。
▼介護サービスの利用者一覧の画面
引用:LIFE操作説明書 71ページ 「2.3.2 介護サービス利用者の検索」
https://life.mhlw.go.jp/configs/LIFE_%E6%93%8D%E4%BD%9C%E8%AA%AC%E6%98%8E%E6%9B%B8.pdf
上記の例では、利用者の氏名や被保険者番号など個人が特定できる情報が表示されていますが、これはLIFEの設定を行ったパソコンでだけ表示されます。
設定を行っていないパソコンでLIFEに接続した場合、個人が特定できないようにこれらの情報が伏せて表示されます。伏せ字にした部分はブラウザのクッキーに保存され、そのクッキーを持つブラウザでだけ、個人情報が表示される仕組みです。
なぜこのような仕組みになっているかというと、厚労省へ提出するデータに個人情報を入れないため。
しかし、当然ながら伏せ字の状態では、提出する側としてはどれが誰の情報なのか見分けがつかなくなります。それでこのような厄介な形になっています。
めんどくさ・・・。
ここが、Internet Explorerの終了がLIFEに影響を与える部分です。
Internet Explorerを使っている場合、Internet Explorer以外のブラウザにはそのクッキー情報がないため、クッキーのデータを移行せずに別のブラウザを使ってしまうと、伏せ字の状態(名前や利用者名が出ない状態)でデータベースが表示されてしまい、どれが誰の情報なのかわからなくなってしまうのです。
そしてEdgeへ移行せずにサポート終了を迎えると、Internet Explorerを起動できなくなるため、クッキーを出力する作業ができず、データの入力をやり直す羽目になる、というわけです。
以上の理由から、LIFEの運用でInternet Explorerを使用している場合は、サポート終了の2022年6月16日までに、Microsoft Edgeへの移行作業をしておく必要があります。
Internet Explorerが終了したらどうなる?
では、サポート終了する2022年6月16日を迎えたらInternet Explorerはすぐに使えなくなるのでしょうか。
断定はできませんが、6月16日当日か、もしくはWindows Updateを迎えた時点でInternet Explorerが単体起動できなくなると予想されます。
これは、AdobeのFlashがサポート終了したときと似ています。Flashのときも事前に再三にわたりサポート終了の告知がなされ、Flashがインストールされていた端末ではWindows Updateのタイミングで削除され、インストールプログラムの配布も無くなりました。
Internet Explorerが起動できない場合は、個人情報の引き継ぎができなくなります。この場合は、個人情報をイチから入力し直すという作業が発生することになります。
データ量が多いほど苦労する羽目になる、ということね・・・。
そうなんです。必ず、6月16日までに終わらせておきましょう。
Microsoft EdgeのIEモードは使えるか?
ちなみに、Microsoft EdgeではInternet Explorer の挙動をシミュレーションしてくれる「IEモード」が存在します。IEモードを使えばいいのではないか、という考えもありますが、LIFEはあくまでブラウザのクッキーを使いますので、Internet Explorer 本体に保存されているクッキーが必要です。
IEモードは、サイトの描画エンジンとしてInternet Explorer を使うだけであり、ブラウザ自体はEdgeを使うわけですから、解決策にはなり得ないでしょう。
調べたところ、EdgeとIEとでクッキーを共有する機能があるようです。うまく機能すればよいのですが、万が一のことも考え、事前に移行しておいた方が無難と言えます。
「IE 11」引退に向けて「Edge」の「IE モード」は強化され続けている ~Microsoftがアピール - 窓の杜
Internet ExplorerからMicrosoft Edgeへの移行手順
ブラウザの移行手順については、厚労省のLIFE公式サイトにあるマニュアルに記載されていますので、そちらを参照しながら作業を行ってください。
引用:LIFE 導入手順書 37ページ 「使用する端末やブラウザーを変更した場合は?」
https://life.mhlw.go.jp/configs/LIFE_%E5%B0%8E%E5%85%A5%E6%89%8B%E9%A0%86%E6%9B%B8.pdf
以上、Internet Explorerサポート終了前に行っておくべき、Microsoft Edgeへの移行作業について説明しました。
LIFEに限らず、病院や企業で稼働している業務システムでInternet Explorer を使用しているところは多いはずです。インターネットから遮断された環境であれば、Windows Updateは行われませんのでサポート終了の影響は受けにくいですが、オンラインにつながった環境であれば、いずれ強制的にInternet Explorer がパソコンから消えることになります。
ソフトが使用できるうちに、しっかり準備してサポート終了を迎えたいものです。
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最後に
当ブログでは、病院に勤務するシステムエンジニアの私が、関係法令の改正やパソコンのトラブルシューティングなどをSE目線から紹介しています。
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