十二、三乗大法
三乗の法とは、上・中・下の法であります。
頓漸(とんせん)の法も、仮にその徳に応じて分けたものであります。
真法には、その根本と道脈があり、隠れたり顕れたりしていますが、直指見性(じきしけんしょう)、口伝心印(くでんしんいん)、一点により成仏し、一歩にして直ちに超越出来る法であり、気を脱して理に還る法で、これを頓法(とんぽう)と申すのであります。
これを聞く人は聖者・仏様となられますが、その真法は千古不伝の秘宝でありまして、孔子様は『朝に道を聞かば、夕に死すとも可なり』と申されました。
これが最上の大法であります。
参禅して打ち坐り、法輪を転じ、周天を運んで、抽添(ちゅうてん)して運搬し、採取して鍛煉したり、又冬至の一陽と夏至の一陰を煉ったりして、幸いに成就しても陰陽の二気を抜け出すことは出来ません。
信ずることにより解り、解ることにより行じ、行ずることにより証(あか)されて漸法により空に転ずることであります。
これを修める者は、賢人や仙人となられますが、これが中乗気天の法であります。
敲打(こうだ)して念唱したり、橋や道路を補修したり、貧困や災難を救済したりすることは、循環の理であります。
今世に善を修めて来世に福を受けますが、その福が尽きれば善も終わるのであるから、輪廻に落ちるのであります。
経典に『若し前世の因を問えば、今世受けるもの是なり。若し来世の果を問えば、今生作(な)すもの是なり』と申されました。
箭(や)を虚空に射って力尽きれば必ず落ちるようなもので、これを行ずるものは善人、又は好人となることが出来ますが、仙仏と成ることはできません。これを下乗の法と申します。
続く