失った信頼を取り戻すことの難しさ

大関フジ大関フジ

中学校教師30年の経験から事例を紹介します。仕事熱心な教師の、心の整理の一助になればと…。ここに徐々に掲載していきます。ご自身の悩みに似た事例があれば、参考にしていただければ幸いです(・。・;。

協力的だった保護者が一変

ここまでのいきさつ →  https://kokoronoseiribako.com/dose1/

話を今回の筆箱紛失件に戻します。

タツヤ母親に関してです。

去年まで、荒れた学校の立て直しに邁進している教師陣を応援してくれていて、学校に協力的だったのですが、今回は一変。

弟が所属する小学校での現金紛失事件の影響が大きかったと思われます。

今回の事例では学区内の小学校という、他校との関りですが、残念なことに、自分以外の教師の影響が、思わぬ「保護者のモンペ化」を招くことがあります。

教師間いじめ

2019年、教師間いじめが大きく注目されました。

激辛カレーを無理やり食べさせたり、車の損壊などが、衝撃の映像で明らかになりました。

あまりの事態に、私も立腹しました。→「教師間いじめなんて、ありえない」(読みとばし可)(工事中)

と同時に、加害教員が糾弾されるのは当然のこととして、当該校の他職員ら、学区の学校の職員らも糾弾される側になっているのでは…。

苦しい対応をしているだろうと、とても心配になりました。

事後対応として、優先順位一番は、もちろん、加害被害教員と関わった児童の心の傷のケアです。

 

そして、私としては、その陰に隠れている、フォローに懸命な教員らに、思いを馳せずにはいられないのです。

一瞬で壊れた信頼関係

学校と保護者の間に“信頼”がないと、相談も協力も成立しにくい、私は筆箱紛失件でそれを実感したわけです。

信頼を得るためには、下積みが必要。

でも、それを重ねる長いプロセスの末得た信頼が、なんらかの事件で一瞬で壊れてしまう。

なんて残念なこと。でも私は、この一件を通して、生徒の側の「郷土愛」のようなものを知る機会を得ました。

なるべく多くの生徒になるべく多くの…

これをきっかけに、この「郷土愛」について触れて、この事例のまとめにしたいと思います。

教師の仕事は、生徒の健全育成です。

なるべく多くの生徒に、なるべく多くの成長を促したい。

でも、全ての生徒の全てのニーズに応じるには、いくら時間があっても足りない。

だから私は、優先順位をつけて機能的に教育活動を展開し、自らのエネルギー配分も考えて頑張ってきたつもりでした。

なまじ成果が現れたこともあって、調子に乗っていたかもしれません。

そして、温かい気持ち、郷土愛、信頼心の醸成も自分の仕事だと思い込んでいたと思います。

まるで、生徒を取り巻く環境の全てを抱え込み、自分がそれを左右せねばならないかのような。

でもその考え方自体、単に私の思い上がり、または、自己満足だったかもしれません。

いくばくかの貢献

子供の教育には、学校が果たす役割は大きいものがあると思います。

でも、人がその地に生まれ、育つこと対して、いくばくかの貢献ができたら、それで十分なのかもしれません。

教師ひとりができることなど、たかが知れている。

例を挙げれば、どんなに生徒観察に頑張ったつもりであっても、私は、タツヤが教師に気を遣っていたことに気づけなかったのですから(目立たない生徒だからと)。

温かく健やかなものの成熟

学校でのいじめ、職場でのいじめ、人間関係は常に先行き不透明です。

大人になったらそれで終わりではない。

また、いったん信頼を失えば、それを取り戻すのは難しい。

でも、間にある乾いた川に清流を取り戻すことは、時間がかかっても、きっと可能だと思います。

どの世代であっても、どんな局面にあっても、人と人の間を満たすものがあれば、なんとかなる。

世の中全般において、その温かく健やかなものの成熟が必要だと思います。

私が、前述の女子生徒らの中に感じた「郷土愛」のようなもの、それは、学校や地域社会、そして世代の枠を越えて長い時間をかけて醸成されたもののように思います。

持続可能な社会づくりが叫ばれている昨今だからこそ、

広く大きく、枠組みを越えた「郷土愛」のようなもの、

これこそが、人と人の間を潤し、未来へつながる潮流となるのでは…。そんな印象を持っているこの頃です。

 

他のモンペ事例も ご覧ください。→  https://kokoronoseiribako.com/monpe-sensabanbetu1/

上記内容は仮名であり、内容を一部改変しています。