「いとおかし 意味」が気になって検索しているあなたへ。
この記事では、「いとおかしとは」どのような言葉なのか、簡単にわかりやすく解説します。
平安時代の古文に頻繁に登場するこの表現は、現代の感覚では少し難しく感じるかもしれません。
しかし、『枕草子』や『源氏物語』などの名作にもたびたび出てくることから、日本の古典文化を学ぶうえで欠かせないキーワードとなっています。
また、「いとおかし」とよく似た表現に「いとをかし」がありますが、この2つはどう違うのか、具体的に説明していきます。
さらに、実際の古文の例文を取り上げながら、言葉の使い方やニュアンスを詳しく紹介しますので、読んでいるうちに自然と理解が深まるはずです。
現代の会話で「いとおかし」を使ってみたい方のために、いとおかし 返し方もあわせて解説します。
日本の雅な表現を身近に感じながら、「いとおかし」の世界に触れてみましょう。
◆この記事の内容
- 「いとおかし」の意味と古文での使われ方がわかる
- 「いとおかし」と「いとをかし」の違いが理解できる
- 現代語での例えや使い方、返し方が学べる
- 『枕草子』などの例文から具体的な使用シーンを知ることができる
いとおかし意味と使い方を簡単に解説
- 「いとおかし」とはどういう意味ですか?
- 古文で「おかし」の意味は?
- 古文で「いとはし」とはどんな意味ですか?
- いとおかし・いとをかしの違いを解説
- いとおかし 意味を現代語に例えると「エモい」
- いとおかし意味を簡単に理解するポイント
「いとおかし」とはどういう意味ですか?
「いとおかし」とは、平安時代によく使われていた古語で、「とても趣がある」や「非常に美しい」といった肯定的な感動を表す言葉です。現代で言う「すごく素敵」や「超かわいい」といったニュアンスに近いものがあります。
この表現は、「いと」と「おかし」という二つの言葉が組み合わさってできています。「いと」は「とても」「非常に」という意味の副詞で、後に続く言葉を強調します。一方、「おかし」は「趣がある」「興味深い」「かわいらしい」「面白い」など、多くの意味を持つ形容詞です。
つまり、「いとおかし」は、何かを見て強く心を動かされたときに使われる表現です。例えば、美しい風景を見たり、愛らしい動物に出会ったりした際に、その感動を「いとおかし」と表現します。
現代でも、「いとおかし」という言葉は、文学作品や日本文化の紹介などで目にすることがあります。しかし、意味を正確に理解しないと、「おかしい(変だ)」という現代語の意味と混同してしまうこともあるため、注意が必要です。
古文で「おかし」の意味は?
古文における「おかし」という言葉は、現代の「おかしい(変だ)」とは少し違った意味を持っています。主に「趣がある」や「風情がある」、「かわいらしい」「美しい」といった感覚を表す形容詞です。
このため、平安時代の文学や和歌などでは、自然の美しさや人の姿に対して「おかし」と使われることがよくあります。例えば、枕草子では、蛍が光りながら飛ぶ様子や、雨が静かに降る情景に対して「おかし」と記述されています。これは、「趣がある」や「風情が感じられる」という意味で使われています。
一方で、「おかし」には「面白い」や「滑稽だ」といった意味もあり、状況によってはユーモアや興味深さを表現する場合もあります。そのため、文脈によってどの意味で使われているのかを判断することが大切です。
現代語の「おかしい」は、これら古語の「おかし」が時代を経て変化したものと考えられています。しかし、本来の「おかし」は、ポジティブな感動や美しさを表す語であることを覚えておくと、古文を読むときに理解しやすくなります。
古文で「いとはし」とはどんな意味ですか?
「いとはし」という言葉は、古文の中で「いやだ」や「不快だ」という否定的な感情を表す形容詞として使われています。特に「いとはし」は、何かを「避けたい」と感じるときや、「関わりたくない」と思う状況で登場します。
この語の元になっている「厭(いと)ふ」という動詞は、「嫌がる」や「避ける」という意味を持っています。それが形容詞になり、「いとはし」という形で使われるようになったのです。
例えば、古典作品の中では、他人の行動が見苦しく感じられた場合や、不吉なものに接したくないと感じた場面で「いとはし」という表現が用いられます。現代語に置き換えれば、「不愉快だ」「嫌だ」「避けたい」というニュアンスに近いでしょう。
ただし、「いとはし」は単純に「嫌い」という感情だけでなく、品位や礼節を重んじる平安時代の感覚に基づいた「慎み」や「遠慮」を含んでいることもあります。そのため、単なる嫌悪というよりは「控えたい」というニュアンスを持つ場合もあるのが特徴です。
いとおかし・いとをかしの違いを解説
「いとおかし」と「いとをかし」は、実は同じ言葉を表記の違いで示しています。大きな違いは、表記の方法が「現代仮名遣い」か「歴史的仮名遣い」か、という点にあります。
まず「いとをかし」は、平安時代など古文の時代に使われていた歴史的仮名遣いです。当時は「お」を「を」と表記するのが一般的でした。例えば『枕草子』や『源氏物語』などの古典文学では、ほとんどが「いとをかし」と記されています。
一方、「いとおかし」は、その歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直した形です。現代の学習指導要領や国語辞典では、現代仮名遣いに合わせて「いとおかし」と記されることが多くなっています。
いずれにしても、意味はまったく同じで、「とても趣がある」「非常に美しい」「心が惹かれる」といった感動を表現する言葉です。使い方やニュアンスに違いはありませんが、古典文学に触れる場合は「いとをかし」、現代語表現や解説では「いとおかし」と表記されることが多いのが特徴です。
古文の授業や試験で書く場合は「いとをかし」が正しい表記となるため、状況に合わせて使い分けるようにしましょう。
現代語に例えると「エモい」
「いとおかし」を現代語で説明するなら、「エモい」という言葉が非常に近い感覚だと言えます。「エモい」は「感情が動かされる」「何とも言えない気持ちになる」という意味で使われ、感動や懐かしさ、胸が熱くなるような気持ちを表現します。
平安時代の「いとおかし」も、目に映る景色や出来事、人物に対して「美しい」「趣がある」と感動し、その心の動きを表した言葉です。つまり、現代で「エモい」と感じる瞬間のように、何かを目にして「これは素晴らしい」「心が惹かれる」と思ったときに使われたのです。
例えば、清少納言の『枕草子』では、蛍が飛び交う夜の風景や雪が降る朝の情景を「いとおかし」と表現しています。これを現代の言葉に置き換えると「めちゃエモい風景」と言っているようなものです。
ただし、「エモい」はかなりカジュアルな表現であり、文脈によっては適さない場合もあります。一方、「いとおかし」は上品で雅な趣を持った表現なので、使用場面を考えることが大切です。
簡単に理解するポイント
「いとおかし」の意味を簡単に理解するためには、二つの単語に分けて考えることが効果的です。「いと」は「とても」や「非常に」といった強調を表す副詞です。そして「おかし」は「趣がある」「美しい」「かわいい」といった感動を示す形容詞になります。
つまり、「いとおかし」は「とても趣がある」や「非常にかわいい」というニュアンスで、「目の前にあるものに強く心を惹かれたとき」に使われる言葉です。古文の中では、美しい風景や愛らしい人、興味深いものなどに対して、感動を込めて表現する場面によく登場します。
覚え方のコツとしては、「いと」を現代の「めっちゃ」や「すごく」とイメージし、「おかし」を「素敵」や「趣がある」と考えると理解しやすいでしょう。たとえば、「いとおかしな風景」は「めっちゃ素敵な風景」という感じです。
また、ネガティブな場面では使われず、あくまでポジティブな感動や評価を伝える表現であることも、ポイントとして押さえておくと古文の読解がスムーズになります。
いとおかし意味と古文の例文を紹介
- 枕草子に登場するいとおかしの例
- 古文に見るいとおかしの具体例文
- いとおかしの返し方と現代の使い方
- いとおかしといとわろしの対義語関係
- いとおかしはどんな場面で使われるのか?
- いとおかしの意味を深く理解するために
枕草子に登場するいとおかしの例
『枕草子』は、平安時代の女流作家・清少納言が記した随筆で、「いとおかし」という表現が数多く登場します。特に自然の風景や日常の出来事に対して、その感動や美しさを伝えるために使われています。
代表的な例は、『枕草子』の冒頭部分「春はあけぼの」です。この章では、「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、少しあかりて…」と続き、徐々に夜が明けていく様子が描かれています。ここでは「いとをかし」とは明記されていませんが、こうした情景描写は、まさに「いとおかし」と感じられる瞬間と言えます。
また、「夏は夜」という一節では、月の美しさや、蛍が飛び交う風景を「をかし」と評価しています。特に「また、ただひとつふたつなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。」という部分は、控えめに光る蛍に趣を感じ、「いとおかし」と表現しても差し支えない場面といえるでしょう。
このように、『枕草子』では、季節の移り変わりや自然の美しさに触れるたびに「をかし」という表現が使われています。平安時代の貴族たちが抱いていた繊細な感性を感じ取れる文章ばかりです。
古文に見るいとおかしの具体例文
「いとおかし」は、さまざまな古文に登場し、それぞれの場面で異なる趣をもって使われています。ここでは、いくつかの例文を取り上げて解説します。
まず、『枕草子』の一節です。 原文:「まいて雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。」 現代語訳:「まして、雁が列を作って飛んでいるのが、遠く小さく見える様子は、とても趣がある。」
この表現は、空を飛ぶ雁の姿を遠くから眺め、その風景に心惹かれる気持ちを「いとをかし」で伝えています。
次に、『更級日記』からの一例です。 原文:「笛をいとをかしく吹き澄まして、過ぎぬなり。」 現代語訳:「笛をとても美しく吹いて、通り過ぎていったようだ。」
ここでは、耳にした笛の音がとても美しく、心に残る体験として「いとをかし」と表現されています。
このように、「いとおかし」は風景や音楽、人物の姿など、さまざまな対象に対して使われます。現代でいえば、「とても感動した」や「心に響いた」といった表現に近いものがあります。いずれの場合も、ポジティブな感情を伴うのが特徴です。
いとおかしの返し方と現代の使い方
「いとおかし」という言葉を使ったとき、相手にどのように返答すればよいのか悩むことがあるかもしれません。ここでは、その返し方と現代の使い方について説明します。
まず返し方ですが、相手が「いとおかし」と言った場合、それに共感を示す返事が自然です。例えば、「ほんとうに、いとおかしですね。」や「まことに風情がありますね。」と返すと、会話がスムーズになります。現代風にアレンジするなら、「わかる!めちゃエモいね!」といったカジュアルな返答も可能です。ただし、場面や相手によって言葉遣いを選ぶとよいでしょう。
現代において「いとおかし」を使う機会は多くありませんが、日本文化や古典文学に関するイベント、俳句や和歌を詠む場面、または趣のある写真や景色をSNSに投稿する際に使うと効果的です。例えば、紅葉の美しい風景に「この景色、いとおかし。」とコメントを添えると、雅な雰囲気を演出できます。
ただし、使いどころを間違えると、意味が伝わりにくかったり、冗談と受け取られたりする場合があります。特に、日常会話の中では、相手が古語に親しんでいない場合、説明を添えると親切です。
いとおかしといとわろしの対義語関係
「いとおかし」と「いとわろし」は、古文の中で対照的な意味を持つ言葉として知られています。どちらも「いと(とても)」という副詞を用いて強調されていますが、その後に続く形容詞によって意味が大きく異なります。
まず、「いとおかし」は「とても趣がある」「非常に美しい」「心惹かれる」といったポジティブな印象を与える表現です。平安時代の文学では、美しい景色や愛らしい人の様子に対して、感動や称賛の気持ちを込めて使われていました。
一方で、「いとわろし」は「とてもよくない」「ひどく見苦しい」といったネガティブな評価を表す言葉です。「わろし」は「悪い」「劣っている」「みっともない」という意味を持つ形容詞で、そこに「いと」が加わることで「とても悪い」「非常に劣っている」と強調されます。
例えば、「いとわろし」と使う場面は、無作法な振る舞いや見栄えの悪いものに対する否定的な評価です。『枕草子』では「いとわろし」の用例として、興ざめする場面や不快に感じた状況が記されています。
つまり、「いとおかし」は「称賛」、「いとわろし」は「批判」という関係にあり、意味が正反対であることから、古文の対義語として覚えておくと便利です。
いとおかしはどんな場面で使われるのか?
「いとおかし」は、感動や美しさ、趣のあるものに対して用いられる表現です。主に、平安時代の文学作品や日常の場面で、何かに心惹かれた瞬間や目の前の光景がとても印象的であるときに使われました。
具体的には、自然の風景が美しいときや、四季折々の情景に感動した場面で使われることが多いです。例えば、蛍が夜空に光を放ちながら飛び交う様子や、雪が静かに降る朝の風景に対して、「いとおかし」と表現されます。また、愛らしい子供や、美しく着飾った女性に対する賛美の言葉としても用いられていました。
現代風に置き換えるなら、SNSで「この景色、最高!」や「めっちゃかわいい!」といったコメントを添える場面とよく似ています。ポジティブな感情を強調する際に使うため、否定的なシチュエーションには用いられません。
一方で、注意点もあります。「いとおかし」は、あくまで明るく、肯定的な意味を持つ表現なので、悲しみや寂しさを感じる場面では別の表現を選ぶのが適切です。その場合は「もののあはれ」という別の古語を使用する方が、より自然な表現になります。
いとおかしの意味を深く理解するために
「いとおかし」の意味をより深く理解するためには、単なる「かわいい」や「趣がある」という言葉以上の背景を知ることが大切です。平安時代の人々が大切にした「もののあはれ」や「雅(みやび)」といった感性を踏まえると、言葉の奥深さが見えてきます。
「いとおかし」は、ただ美しいものやかわいらしいものを表現するのではなく、それに触れた人の心がどのように動かされたのかを伝える言葉です。目に映るものだけでなく、そこにある空気感や時間の流れまでも含めて「趣がある」と感じたときに使われました。
例えば、清少納言が『枕草子』で描いた四季の移ろいは、その場面の情景だけでなく、時間の経過や儚さを味わう心情を含んでいます。このように考えると、「いとおかし」は単なる表面的な美しさを表すのではなく、心の奥深くで感じる「情緒」や「感動」を含んだ言葉であると言えます。
さらに、現代の「エモい」にも通じるといわれるこの言葉ですが、その背景にある日本独自の美意識や、静けさの中にある豊かさを感じ取る心が込められています。これを理解した上で古文を読むと、「いとおかし」がより味わい深く感じられるでしょう。
いとおかし意味を総括してわかりやすく解説
- いとおかしは「とても趣がある」や「非常に美しい」を意味する古語
- 平安時代の文学や和歌で広く使われた表現である
- 「いと」は「とても」「非常に」を意味する強調の副詞である
- 「おかし」は「趣がある」「かわいい」「面白い」など多義的な形容詞である
- 現代の「エモい」や「超かわいい」に近いニュアンスがある
- 現代仮名遣いが「いとおかし」、歴史的仮名遣いが「いとをかし」と表記される
- 枕草子では蛍や雨の風景を「をかし」と表現し風情を伝えている
- 古文では風景や人物、音楽など感動を覚えた場面で使われる
- 「いとわろし」は「とても悪い」「見苦しい」を意味し、いとおかしの対義語である
- いとおかしはポジティブな評価に限定され、否定的な場面では使われない
- 日本独自の美意識や「雅(みやび)」の感覚が込められている
- 使用する場面は、自然の美しさや趣ある出来事に出会ったときが多い
- 現代では和歌や俳句、SNS投稿のキャプションなどにも応用されることがある
- 言葉の背景には「もののあはれ」と並ぶ繊細な感性が反映されている
- 相手に返すときは「まことに、いとおかしですね」と共感を示すのが自然である
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