サギソウ 葦毛湿原の花
サギソウ
ラン科 多年生草本
日当たりがよく、水がたまっているような低地の湿地にはえる。
そんなややこしい条件の所は限られてくる。
開発により湿地が減少し、自生地が少なくなっている。
加えて心無い乱獲も手伝って、絶滅してしまった地区もある。
この言いようのない美しく完成された造形美が災いしている。
誰が何の為にこの形を生み出したのだろうか。
花の形が、翼を広げた白鷺(シラサギ)にそっくりだ。
ここまで名前と花姿が一致し、命名に合点がいく花を他に知らない。
一度名前を聞いたら、誰もたぶん忘れないないだろう。
高さは15~40㎝。花期は7月下旬から8月中旬。
お盆休み前後がちょうど花の見ごろとなる。
花は1~4個付き、白色で直径約3㎝。
花の下の距は3~4㎝で垂れ下がっている。
この距でやじろべいのようにバランスをとっているように見える。
地下にまるい球根(球茎)があって、そこから細い地下蔔枝をのばす。
その先に新しい球茎をつくり、群落をつくっていく。
なぜか葦毛湿原では単発で咲いているものが多い気がする。
いつまでも咲き続けてほしい美しい花である。
ところでシラサギの飛翔姿、リアルに見る機会は少ない。
そこで、シラサギを図鑑で調べてみてびっくりした。
シラサギという名前の鳥はいないのだ。
いろんなサギの仲間の白いものは、みんなシラサギと呼ぶのだそうだ。
長年の思い込みと無知がとても恥ずかしい。
最期の一枚は、季節外れに咲いていた花だ。
卑屈になることなく、堂々たる飛翔である。