ブラインドタッチできない人はADHDやASDが原因の障害なのか?

2022年10月14日

ブラインドタッチと手先の不器用さ

小松毅鑑プロフィール画像

文責:小松 毅鑑

ブラインドタッチが出来ない人は、反復練習を継続しないからいつまでたっても、できるようにならないワシ…

しかし不肖この私めの様に、長期間に渡ってタッチタイピングの練習を積み重ねているのに、ほとんど上達および進歩が出来ない人間もいます。

不肖この私めがそうであるように、もともと手先が壊滅的に不器用だとタッチタイピング( ブラインドタッチ )の上達が大幅に遅れます

しかしながら実は手先の不器用さは、ADHD/注意欠陥・多動性障害や、ASD/自閉スペクトラム症( 高機能自閉症・アスペルガー症候群も含む )が要因となっている研究結果が報告されているのです。

手先の不器用さはASD自閉スペクトラム症が原因か

 タッチタイピングの習得マスターや上達度合いに大きく関係する、ASD( Autistic Spectrum Disorder )自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群

ASDの特徴のひとつとして「 手先の不器用さ 」が、あげられます。

手先が不器用である

【 引用ここまで↑出典:NCNP病院/国立精神・神経医療研究センター 】

さて、この私めはタッチタイピング歴4年半のベテランですが…?

4年間で約4,000万打鍵以上のタイピング練習を、ブラインドタッチで行ってきましたが、それでも常人に比べて進歩が10倍くらい遅いです。

イータイピングRFどんまるカルテ

タイピング練習ソフト「 e-typing 」は、2021年5月11日現在で総入力文字数が989万6,083打鍵に到達していますが、ここまでやっても最高スコアは「 322 」の「 Fast 」どまりです。

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タッチタイピングを本腰いれて練習に励む前は、自分がここまで手先が不器用な人間だとは思ってませんでした笑。

また、手先が不器用、球技が苦手など動きのぎこちなさがみられることもあります。

【 引用ここまで↑出典:Medical Note 】

では、手先が壊滅的に不器用な私めはASD( 自閉スペクトラム症 )なのでしょうか?

多くの研究が、身体的な特徴として、人指し指と比較して薬指が長い傾向があることを報告しています。

【 引用ここまで↑出典:東京大学2019年2月12日 】

上の引用では、「 ASDの身体的特徴に、人差し指と比較して薬指が長い傾向がある 」と報告しています。

では私めの人差し指と薬指の長さは、どうなっているのでしょうか?

両手の人差し指と薬指の長さの比較

…見事なまでに、両手の人差し指よりも薬指の方が1センチくらい長いので、高機能自閉スペクトラム症( ASD )なのでしょうか?

上記引用の記事の内容では「 薬指優位の運動機能 」とありますが私の場合、薬指が優位に動くわけでもないので正直わかりませんね。

なぜなら左手薬指のSキーを押そうと意識しても、全く反応しないときが多々あるからです。

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しかしながら、ASDの他の特徴でもある音に対する「 感覚過敏 」も、完全に私に当てはまるのです!

また、ASDでは光や音などに敏感な「 感覚過敏 」もよくみられます。

【 引用ここまで↑出典:NHK健康dh/2019年10月15日 】

上記引用の他にもASDの特徴である「 強いこだわり 」も見事に当てはまるし、以前にも「 融通が利( き )かない 」と言われたことも…

また、・運動神経が鈍い・異常に不器用などの処理能力が低いという特徴を持つ方もいらっしゃいます。

広汎性発達障害の患者さんの脳波を調べると、何らかの異常波形の出現が多いことが報告されています。

また、社会的行動に関係する脳の部位の体積が小さいという研究結果もあります。

つまり、広汎性発達障害は生まれつきの脳の特徴に基づいたもので、親の育て方など心理的な要因でおこった心の病というわけではありません。

【 引用ここまで↑出典:元住吉こころみらいクリニック/更新日:2021年01月08日23:10/作成日:2019年05月16日22:32 】

自分がASD( アスペルガー )だと自覚するのは抵抗があるものの、どうも不肖この私めは、手先の不器用さ以外にも様々な要素がASDに当てはまる様ですね。

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まとめると、ASD自閉スペクトラム症の人は手先の不器用さが原因で、ブラインドタッチの修得が困難になるのかも!?

脳の非進行性の機能障害が推定される発達障害児者の中には、運動発達の遅れや身体的不器用さ( clumsiness )を呈する者が多く、これまでに体性感覚系の異常を伴うことなどが指摘されてきた( 宮崎・他,2007 )。

また、ASD児者を対象とした運動面に関する研究では、物を扱う際の不器用さや転びやすさの兆候のあること( 松田ら,2012 )などが報告されている。

さらに、近年では比較的知的に高い広汎性発達障害であるアスペルガー症候群の行動特徴として、身体的不器用さの問題が話題とされ、アスペルガー症候群を対象とした比較研究なども進められてきた。

ASDの主要因でもある中枢神経系の機能障害に起因すると考えられる行動特徴としての「 身体的不器用さ 」や「 運動や発達に遅れや偏りがある 」などの現象は、特に乳幼児期からの自己認知や他者認知の基盤となる身体意識( body awareness )の形成に深く関与しているとされる。

【 引用ここまで↑出典:「 自閉症スペクトラム研究/第12巻特集号 」是枝喜代治 】

ただし私めの場合は、いかに上達が遅くてもタッチタイピング自体は、どうにかこうにか習得マスターできていますよ。



ADHD注意欠陥・多動性障害はタイピングが苦手?

 ADHD( Attention-deficit hyperactivity disorder )注意欠陥・多動性障害の症状は、前述したASDと合併している場合が多いとされています。

ADHDを分かりやすく言うと、「 落ち着きがない 」特徴があげられますが、タッチタイピングできない原因にもなるのでしょうか?

*ADHD児の50%に不器用さ

【 引用ここまで↑出典:富山県作業療法士会発達部会 】

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ASDのみでなく、ADHDにも「 不器用さ 」の症状は出ると、作業療法士の方が報告されていますね。

発達障害の本人は手指の運動の不器用さを抱えている人が多いといえる。

手指の運動の不器用さの背景には、固有感覚や触覚、視覚の感覚情報処理に何らかの問題を抱えていることが考えられる。

【 引用ここまで↑出典:笹川スポーツ財団 】

つまりADHDとASDは、それぞれ症状は異なるものの、「 手先の不器用さ 」という特徴だけは、共通していることが引用からも分かります。

そして、決定的に手先の不器用なこの私めが実際に、4年間もの歳月をかけて4,000万打鍵以上ブラインドタッチの反復練習に取り組んだのにも関わらず、たいして上達できなかった事実がADHDおよびASDの人は、タッチタイピングが苦手である事を図( はか )らずも証明する結果となってしまいました( 泣 )。

発達性協調運動障害DCDの人も手先が不器用

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発達性協調運動障害( Developmental Coordination Disorder )DCDの子供は「 極端に不器用 」だとされますが、本当なのでしょうか?

4歳のとき、ラジオ体操の様子を見ていたら、とても真似できないほどに手足の動きがばらばらで、受診を決意したと言います。

【 引用ここまで↑出典:NHK福祉情報サイト/ハートネット2018年10月18日 】

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発達性協調運動障害( DCD )のこどもも、不器用であることが報告されておるわい。

DCD( 発達性協調運動障害 )って何?~不器用な子どもの理解と支援~ 」より引用↓

園や学校で、体操やダンスで手足の動きがバラバラ、縄跳びや鉄棒ができない、ボール運動が苦手、両手を使う楽器の操作が不得手、ボタンかけに時間がかかる、エプロンや靴ひもを結ぶのが苦手、文具やお箸を上手に使えない、筆圧が強すぎる、マスや行からはみ出るといった子どもに出会うことがあります。

手足に麻痺はないのですが、動きがぎくしゃくしているように見え、このような状態があるとき、DCDが疑われます

【 引用ここまで↑出典:大阪医科大学 】

神経発達障害のひとつであるDCDも、ASDと同様にADHDと併存( へいぞん )するケースがあるのです。

アスペルガー症候群との上手な付き合い方入門 」より引用↓

アスペルガー症候群では、手先を使う作業やスポーツなどが苦手な人や身のこなしに不器用さを伴う人も見られます。

( 中略 )つまり、協調運動障がいは、小脳が損傷を受けていることが原因と言われています。

【 引用ここまで↑出典:宝島社 】

タッチタイピングの脳領域と書字中枢の場所は同じ?

 タッチタイピング時に使用する脳の領域と書字( 紙に鉛筆やボールペンで字を書くとき )に使う「 書字中枢 」との関連はあるのでしょうか?

タイピングと書字中枢に関連した脳の領域

SPM8によるグループ解析の結果,タイピングと書字の両課題に共通する脳領域として,左上頭頂小葉,左縁上回,さらにExnerの書字中枢として知られる左運動前野が明らかとなった.( 図 7A,B ).

さらに,タイピング課題と書字課題から得られた結果を直接比較したところ,左頭頂間溝後部内側皮質がタイピング課題でより強く賦活することが明らかとなった( 図7C ).

今回のテーマである前頭葉についてみてみると,本検討で得られた左上/中前頭回後部の賦活領域は,Exnerの書字中枢として知られている部位に相当し3)5),過去の書字の機能画像研究で賦活を認めた領域に近接していた.

これらの結果から,左上/中前頭回後部は書字のみならずタイピングにも重要な脳領域であることが推察された.

さらに,書字とタイピングの左運動前皮質の賦活範囲を直接比較すると,書字に比べてタイピングで認めた賦活はより吻側に広がり,タイピング課題で認めた前頭葉賦活領域はやや背側・吻側へ位置していた( 図7D ).

こうしたことを考えると,本実験でタイピング課題に関連した脳賦活が書字と比較してより吻側であったのは,タイピングという課題が,書字に比べて感覚情報や空間情報処理の負荷が大きいためなのかもしれない.

【 引用ここまで↑出典:神経心理学第32巻第4号 】

つまり、頭の左上と中前頭回後部にある脳領域がタイピングと書字に重要な箇所なのですね。

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ちなみに「 吻側 」は前方の意味で、後方が「 尾側 」です。

functional MRIによるタイプライティング神経基盤の検討 」より引用↓

タイピングと書字課題における脳賦活領域

本研究の結果により,これまで書字中枢として知られていた左上頭頂小葉,左縁上回,左運動前野は,タイピング中枢としても用いられていることが明らかとなった.

さらに左頭頂間溝後部内側皮質や,左運動前皮質の一部の脳領域は,タイピングにより重要である可能性が示唆された.

【 引用ここまで↑出典:学位論文の要約 】

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では、文中に出てくる「 Exner 」とは誰なのでしょうか?

オーストリアの生理学者、Sigmund Exner( ジークムントエクスナー )氏【 享年79 】です。

キーボードタイプはペンによる書字と比較して,より高度なon─lineの空間表象処理が必要となり,情報の処理速度についても違いがあると思われる。

タイピングには多くの〝書字中枢〟に加え,左IPS内側などの運動─空間制御に関連する脳領域を動員した複雑な認知プロセスであると考えられる。

修得法や習熟度,年齢などにより使用する脳領域の個人差が大きい可能性があるが,障害されている脳機能ごとにさまざまな障害が生じると考えられる。

【 引用ここまで↑出典:Department of Neurology and Stroke Medicine,Yokohama City University. 】

字を書くときの書字中枢とタイピング時に活動する時の脳の賦活( ふかつ )領域を一覧にして、まとめました。↓

  • タイピングおよび書字中枢で共通する脳の活動領域
    • 左上頭頂小葉
    • Exnerの書字中枢として知られる左運動前野
    • 左縁上回
    • Exnerの書字中枢として知られる左上/中前頭回後部
  • タイピング課題時により強く賦活する脳の活動領域
    • 頭頂間溝後部内側皮質
    • 前頭葉賦活領域はやや背側・吻側に位置する
    • 左運動前皮質の賦活範囲はより吻側に広がる
    • 左頭頂間溝後部内側皮質
    • 左運動前皮質の一部の脳領域
    • 左IPS内側等など運動-空間制御に関連する脳領域

手書き文字を書く書字中枢と、パソコンのキーボードに打ち込むタイピング脳の領域は重なり、かぶる部分だったのですね。

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舌足らずで語尾伸ばしな話し方と指先の関係は?

 タッチタイピング歴4年の私めは、いまだに一つ一つの文字のキー配列の位置を思い出しながらでないと打ち込めないのです。

運指( うんし )が自然に動かないので流れる様なタイピングが出来ず、「 この ような 感じ で 間が 空いて しまう 」つっかえながらの文字入力になります。

つまり、タッチタイピングの「 打鍵の無意識化 」が4年間に渡る反復練習を積み上げても、まったく到達できていないのですが…..

タイピングと同様に、言葉をしゃべるときも舌足らずな話し方に加えて頭の中で何かがつっかえている感じで「 ひとつ ひとつ の 単語 が すぐに 口から 出て こない 」ので、とぎれ途切れになるのです。↓

上の動画は、2016年の5月19日( 木 )に撮影した動画ですが、喋っている私めは「 伸発の語尾伸ばし 」がひんぱんに出ていて、たどたどしい話し方です。

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言葉が途切れる理由は、ひとつひとつの単語を素早く思い出せずに頭の中で、つっかえて考え込むからなんですが。

ただし、言葉を話すときはタッチタイピングの様に動きが止まるのではなく、「 え~~~~~~~~~と、おーーーーー言うような、あ~~~~~~~… 」という感じの「 語尾伸ばし( 伸発 ) 」になります。

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この語尾伸ばしがタッチタイピング時の、ぎこちないつっかえによく似ているピヨね!

吃音( きつおん )とは、なめらかに話すことができない状態を指し、「 流暢性の障害 」ともいわれます。

話すときに音や語の一部を繰り返したり、引き伸ばしたり、言葉が詰まるのが代表的な症状です。

発達障害者支援法における支援の対象に含まれます。

【 引用ここまで↑出典:りたりこ仕事ナビ2021/5/25 】

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引き( 語尾 )伸ばしは、実は「 吃音症 」だったんじゃ。

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パブリック・ドメイン

ブローカ野 」より引用↓

ごく単純に言えば、ノド、唇、舌などを動かして言語を発する役目を負っている。

【 引用ここまで↑出典:Wikipedia 】

上の図では脳の左側面図が描かれていますが、ブローカ野とウェルニッケ野には左右局在性があり、一般的には左半球が優位です。

脳のブローカー野は言語を発する箇所で、ウェルニッケ野は他人の言語を理解する働きをする部分になります。

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どうも完全にはタイピング時の脳領域とは、かぶらないようだが!?

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とはいえ私自身の肌感では、言語を話すときもタイピング時も脳の中の神経回路に何かが「 つっかえて 」いる感じがして、スムーズに言葉が出てこなかったりして間が空いたり打鍵指の動きが一瞬、止まったりするのです。

タイピング時の脳の賦活( 活動 )領域は言葉を話す言語野と完全に一致しませんが、それでもつっかえて途切れる点では、きわめて似た感覚がしますね。

かな文字に対応した打鍵手順を、根気よく繰り返し行うことによって、その手順が「 手続き記憶 」として、「 大脳基底核 」に蓄積されます。

【 引用ここまで↑出典:全指相対指運法 】

いずれにせよ、ASDもADHDもDCDも完全に一致する特徴が「 手先の不器用さ 」なのです。

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そして、タッチタイピングを上達させるには手先の器用さが大いに影響してくる現実を、不肖この私めがこの身を持って実証しました。

結果的には、4年かけても打鍵の無意識化には到達できませんでしたが、タッチタイピング自体は習得マスターできたのですが。

病院で診察を受けて診断されたわけではないので、この私めがADHDやASDなのかは分かりませんが…..

手先の運指( うんし )がどうのと言うよりも、4年間やっても全てのキー配列の位置を指運動が覚えることは、ありませんでした

結論は手先が不器用でも正しい努力で、タッチタイピングの技能は身につけることが出来ますよ。↓

ただし、ブラインドタッチの練習をいくらやっても、もともと不器用な指先が器用な手先に生まれ変わることは、ありませんでしたね。

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「 全ての指が思い通りに動かせない 」というわけではありませんが、タッチタイピング歴4年の今現在でも、寿司打の様な制限時間内に速く正確に打つ事を要求される練習サイトでは、運指( うんし )がイメージ通りに動かせないのです。