1 強制処分とは?

 「強制処分」に該当するものであれば、令状主義(憲法35条)の要請からこれに当たると令状が必要となります。

      ↓そこで、

 当該処分が強制処分なのか、それとも任意処分に該当するのかがポイントになってきます。

 ここで、参考となる判例が最決昭和51年3月16日です。

 

 当該決定は、「有形力の行使を伴う手段を意味するものではなく、①個人の意思を制圧し、②身体、住居、財産等に制約を加えて、③強制的に捜査目的を実現する行為など、④特別の根拠の規定がなければ許容することが相当でない手段を意味するものであって、右の程度に至らない有形力の行使は、任意捜査においても許容される場合があると言わなければならない。」と判断しました。

 

 ただし、受験的には、このような長い定義は書けないことから、強制処分とは、(1)個人の意思に反し、かつ、(2)重要な権利侵害を伴う処分のことであるとして、あてはめに力点を置く方が得策と言えます。

 

2 強制処分に該当するとした重要判例

 

【最決平成21年9月28日】

 エックス線検査を行うことが強制処分に該当するのかが問題となりました。

 平成21年9月28日決定は、本件エックス線検査が「その射影によって荷物の内容物の形状や材質を窺い知ることができるうえ、内容物によっては、その品目等を相当程度具体的に特定することも可能であって、荷送人及び荷受人の内容物に対するプライバシー等を大きく侵害するものであるから、検証としての性質を有する強制処分にあたる」と判示しました。

 

【最大判平成29年3月15日】

 GPS捜査が強制処分に該当するのかについても問題となりました。

  「個人のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所持品に秘かに装着することによって、合理的に推認される個人の意思に反してその私的領域に侵入する捜査手法であるGPS捜査は、個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な法的利益を侵害するものとして、刑訴法上、特別の根拠規定がなければ許容されない強制の処分に当たるとともに一般的には、現行犯人逮捕等の令状を要しないものとされている処分と同様の同視すべき事情があると認めるのも困難であるから、令状がなければ行うことのできない処分と解すべきである。」と判示しました。

 

3 上記2つの判例を読む際の注意点

 上記判例は、エックス線検査及びGPS捜査について、強制処分に該当すると判断しましたが、エックス線検査やGPS捜査は一概に同じものではなく、具体的に当該捜査で用いられたものがどのようなものであったのかを判断しなければなりません。

 

 試験問題を解く際においては、具体的事情をできる限り拾って自分なりに当該事案を分析する姿勢を見せることこそが肝要となってくるでしょう!!
 

 

 

 

 

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