領収書を証拠として用いる場合、証拠としての価値が2つ混在しているというお話は、聞いたことがありますでしょうか。

 

 1つ目は、領収書に記載された金銭の受領の事実が真実であることを証明する供述証拠としての価値を有する場合であり、

 2つ目は、領収書という金銭を受領した際に渡される書面が存在していること自体が固有の価値を有する場合、

 であるということができます。この説明だけでは???という方も多いかと思われますので、具体的に見ていきましょう!!

 

1 ①金銭の受領の事実が真実であることを証明する場合

 領収書は、例えば「金100万円を受領しました」といった内容が記載された書面であるため、本来、その書面に記載された内容通り、本当に金100万円を受領したかどうかが問題となります。

 その記載内容の真実性が問題となる書面であることから伝聞証拠となり、伝聞例外としてどの条文を検討するかがポイントになってきます。

 この場合、当該書面が323条2号の「その他業務の通常の過程において作成された書面」に該当するかを検討することになりますが、業務遂行の過程として機械的かつ連続的に作成されるものに限られることから、基本的にはこれに当たらないといった認定を行うことになります。

 また、323条3号の「・・・特に信用すべき状況の下に作成された書面」に該当するかも検討することになりますが、高度の信用性を保証する類型的な外部的状況を備えているとは言えないことから、これに当たるとの認定も難しいことになりそうです。

 そこで、当該領収書の作成者である被告人との関係では322条1項の要件、それ以外の被告人との関係では321条1項3号の要件を満たすかを検討していくことになります。

 

2 ②領収書という金銭受領の書面の存在を証明する場合

 これに対して、領収書は、通常、金銭を受領した際にそれを証明するものとして渡される書面ですので、領収書が交付された事実が立証されている場合には、その事実と合わせて領収書通りの内容の金銭の受領が行われたものと推認されることになります。

 

◎ 司法試験過去問平成30年を確認しよう!!

この領収書の証拠能力の問題は、司法試験平成30年の刑事訴訟法設問2において出題されています。より実践的に中身を確認したい方は、この問題を解いて具体的イメージを固めて下さい!!

 

 

 

 

 

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