ツイッターで過去に投稿された自分の逮捕歴が閲覧できる状態になっているとして、男性がツイッター社に削除を求めて訴訟を提起していました。

 最高裁判所は「逮捕から時間がたっていて公益性は小さくなっている」などとして、今回のケースはプライバシーの保護が優先すると判断し、削除を命じる判決を言い渡しました。

 

事件の背景

2012年、建造物侵入の疑いで逮捕された男性は、略式命令を受けて罰金10万円を納めましたが、その後もツイッターで名前や容疑が分かる逮捕時の報道を引用した投稿が閲覧できる状態になっていました。そこで、当該男性は、就職活動に支障が出たなどとしてツイッター社に削除を求めるため、訴えを提起しました。

 

今回の最高裁判決の内容について

 マスコミ報道によりますと、今月24日、最高裁判所第2小法廷裁判長は「逮捕から時間がたっていて、すでに刑の効力はなく、ツイートに引用された報道もすでに削除されていて公益性は小さくなっている」と指摘し、その上で、「投稿はいずれも逮捕の事実を速報することを目的にしていたとみられ、長期間にわたり閲覧されることを想定していたとは認めがたく、男性は公益的な立場でもない」ことを示しました。

              ↓そこで

最高裁は、今回の投稿につき、プライバシーの保護が社会に情報を提供し続ける必要性を上回ると判断し、2審判決を取り消し、投稿を削除するよう命じました。

 

類似する平成29年1月31日との比較

1 本判決と類似の判例として、逮捕歴が検索結果として表示されていましたため、更生を妨げられない利益として「忘れられる権利」を主張して、削除を求めた事案(平成29年1月31日判決)があります。

当該平成29年1月31日判決は、「検索事業者が,ある者に関する条件による検索の求めに応じ,その者のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL等情報を検索結果の一部として提供する行為が違法となるか否かは,当該事実の性質及び内容,当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度,その者の社会的地位や影響力,上記記事等の目的や意義,上記記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化,上記記事等において当該事実を記載する必要性など,当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので,その結果,当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には,検索事業者に対し,当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当である。」と判示しました。

 

2 平成29年判決の事案は、逮捕されたという事実は,他人にみだりに知られたくないプライバシーに属する事実であるものではあるものの,児童買春が児童に対する性的搾取及び性的虐待と位置付けられており,社会的に強い非難の対象とされ,罰則をもって禁止されていることを重視して,今なお公共の利害に関する事項であるといえ、公表されない法的利益が優越することが明らかであるとはいえないとしました。

 これに対し、本判決は、①軽微とは言えない事件であるものの時間の経過とともに公益性が減少していること、及び、②ウエブサイト上のURLではなく、ツイッターが速報性を重視する表現媒体であることに着目して、公表されない法的利益が上回ると判断されたと考えられます。

 極めて現代的な問題であるため、今後の判例分析に注目していきたいですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

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