たまおの星便り-星海原の航海日誌。  

日毎夜毎、船橋から房総九十九里へと繰り出し、星空を駆け巡る観測日誌。

・2022/7/30~7/31 未明の小さな彗星と東天ふたご座の彗星モドキ星雲。

2022-08-13 | たまおの星便り

 梅雨が明けたか梅雨が戻ったかよくわからないような天候不順が続く中、新月を迎えた翌日の7月30日は夏らしい快晴夜となった。
 例によって夜半過ぎに海岸の駐車場に到着
すると、すでに多摩ナンバーの車が一台停っていた。土曜日未明なので釣り客か夜明け待ちのサーファーかと思ったがよく見ると三脚にカメラを載せて夜空に向けてタイムラプス撮影をしているようだった。撮影者本人は車の中で仮眠をとっているのか近くに見当たらない。撮影の邪魔にならないように注意しながら海が見える砂地の丘まで機材を運びあげて準備をした。気温25度、無風に加え、虫除けのネットを被り長袖長ズボンに作業手袋までしているので蒸し暑い。
 今、未明の空にはひっそり光る小さなほうき星がいくつか見えている。その中で、西に傾いたこと座のベガ近くにあるC/2022E3 ZTF彗星(画像上左)と南天の木星と火星の間にある22Pコプフ彗星を撮影する。どちらも明るさは13等星に近く画像を強く拡大して初めてその姿がわかる。
 夜空を見上げているといつもよりも流れ星が若干多いかなと感じた。後で調べたら「やぎ座α流星群」と「みずがめ座δ南流星群」という二つの小さな流星群が同じ夜に極大を迎えていたと知った。南天に向け夜通し自動のタイムラプス撮影をしていた人はこの流星たちを狙っていたのかもしれない。
 翌日31日は大気が不安定になり各地で雷雨となったが房総の夜は晴れ間が広がった。夏休みの日曜未明とあって海遊びの客もさぞ多いだろうという予想に反して他の車は一台もなかった。
 波音だけのいつも通りの静かな夜空に望遠鏡の筒先を向ける。南天には土星、木星、火星が輝き、東の空には「真夏のスバル」が高く昇り、薄明近くになるとオリオン座のベテルギウスが洋上に赤々と灯り始める。昼間に雷雨を降らせた名残り雲が西からゆっくり流れてきて星影を時々消しては去っていく。午前3時過ぎには明けの明星が海の中から姿を現し空が次第に白んでいく。
 そうして撮った画像を後でチェックしたところ、ふたご座の一画に彗星そのもの
のような淡い光芒が写っていた。画像から位置を正確に読み取り、星図ソフトで調べるとNGC1579という小さく暗いガス星雲だと判明した(画像上右)。これまで気づかなかった夜空の密かな天体とふと出会えるのも心躍る楽しみの一つといえる。

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