たまおの星便り-星海原の航海日誌。  

日毎夜毎、船橋から房総九十九里へと繰り出し、星空を駆け巡る観測日誌。

・2021/7/17~7/21 梅雨明け直後、破竹の6連続快晴夜と新彗星。

2021-08-05 | たまおの星便り

 1か月以上も各地で豪雨を降らせた梅雨が明け、関東では7月16日を境に高く青く抜けた夏空が広がった。17日土曜日の未明は海岸で気温が22度、南の風弱く快晴。少し汗ばむくらいなのに一か月ぶりに見る星空はすっかり秋景色になっていた。南天高くペガスス座の胴体にあたる秋の四辺形から南に東に北に古代エチオピア王国にまつわる星座が連なって輝く。明るい星は少ないが南の空には木星、土星も見えている。
 この空には”P”の符号に若い番号が付いた旧知の周期彗星がいくつか11等から13等級でひっそりと輝いていた。南天低い洋上の7Pポンス-ヴィネッケ彗星や東天のおうし座付近にある4Pフェイ彗星、10Pテンペル彗星、15Pフィンレー彗星 などを次々と視野に入れていく。夏至からまだ一か月も経っていないので薄明開始は午前3時前、よく晴れていても暗夜は短く、慌ただしく時が過ぎてすぐに空が明るくなってしまう。
 こうした梅雨明け後の快晴は例年だと二~三日程度しか続かない。だが今夏は違っていた。日本の遥か東方沖から巨大な高気圧が張り出して房総半島を覆っていた。梅雨明けからほぼ一週間以上、快晴夜が続いた。そのため満月近くまで5日間連続で九十九里海岸を往復することとなった。海岸に星を見に行くようになって15年以上も経つが真夏としては前例のない晴れの5連荘だった。
 7月22日未明は相変わらずの晴天だった。だが午前2時過ぎまで月明かりがあり午前2時50分前にはもう薄明が始まる。わずか40分間の暗夜のために往復3時間をかけて海岸に行くか迷ったが結局行かなかった。そしてこの日の未明に静岡の西村英夫さんが200㎜レンズを付けたデジカメで北東超低空のぎょしゃ座に彗星を発見した。
 数日後に新彗星発見の知らせを受けて調べてみると19日と20日にぎょしゃ座付近を撮った自分の画像に発見前の彗星が写っていることがわかった。街明かりのある陸地側を光害カットフイルタを使って撮影していたが、淡い画像のコントラストを強調するとC/2021O1西村彗星の10等級の青いコマが浮かび上がってきた(画像上左19日、右20日、いずれも15㎝反射にキヤノンEOS6D、40秒露出)。
 例年、春から夏にかけては天候も透明度も悪く日本国内でこの時期に彗星が発見されたことはここ20年間で一度もなかった。「梅雨明け6日」の破竹の晴天続きが招いた新彗星だったともいえる。

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