6月。
先月に引き続き、今月も保育参観が行われた。
チビハルはその朝、幼稚園に行きたがらず、「おうち帰る」と泣いていた。
自閉っ子は定型発達児のように失敗を忘れていく事が出来ず、いつまでもそのフラッシュバックに苦しむため、失敗を極度に恐れると聞く
チビハルも今日が保育参観で、保護者達の前で様々な遊戯を披露しなければならないという事を、何となくでも分かっていたのかもしれない
それでも2度目の保育参観は幕を上げる。
ホールの壁際にぐるっと保護者達が陣取り、子供達は前の子の肩につかまり、しゅっしゅっぽっぽと一列に連なって入場して来るのは先月と同じであるが、
明らかに違いを見せつけているのは…
チチチチビハルがその列に加われているという事だ!!!
先月は嫌がり全く出来ずに終わったしゅっしゅっぽっぽであったが、
今日はしっかりと前の子の肩をつかみ、元気いっぱいの笑顔で入場して来たではないか!
その後に行われたリズム体操は、ボンヤリ突っ立っているだけのようだったが、
なんと終盤…
僅かに、僅かにであるが…
おおお音楽に合わせて小刻みに身体を揺すり出した!!!
ハタから見ると実に分かり辛いが…
ノッているのである!
チビハル、ノッているのである!!!
しかし演目が進むにつれ、更なるレベルアップが求められる。
ピッ!と笛の合図で1人ずつ走って来て、マットでゴロンゴロン!
立ち上がり再び走って向こう岸へ…
いやぁ〜〜〜〜〜〜〜…
実にハイエンドクラスなこの演目!!
他の保護者にとっては、ビデオを構えるその手にも、グッと力が入る瞬間ではあろうが、
チビハルどうかなぁ〜〜〜…
…
ピッ!…チビハル走る!
マママ…マットへ……!
ゴロンゴロンゴロン…!
チビハル走る…!
ゴゴゴゴーーーーーーールっ!!!
ゴロンが他児より一回転多いという まさかの快進撃!
パパパーフェクトな出来ではないか!!
興奮により震える手で、すぐ様ビデオ確認!
…と思いきや、押したつもりのRECボタンは…なんとOFFのままであった…!!
…ととと撮り逃したーーー!?!?
★£¢€%#〒〆☆¥$€%#★£¢€%#〒〆☆¥$!
危うく錯乱状態に陥りかねない、噴き上がるマグマの如き衝動に駆られたが…
心配する事なかれ。
このゴロンゴロンは計5回ほど繰り返し行われ、無事、我が手中に収める事が出来たのである。
背中を丸め小さくガッツポーズをキメた私が振り返ると、
チビハルに声を掛けている男の子の姿が目に止まった。
チビハルと肩を組み、何かを説明でもするかのように話しかけている。
そして次のマット運動で、その子はチビハルの手を自分の肩に回し、導くようにしてチビハルの動きをサポートしてくれるではないか!
「チビハルくん、最初このマット運動の練習を嫌がってずっと泣いていたんですよ」
先生が言う。
泣いているチビハルを見ていて、この子はサポートを進み出たのであろうか…
なんと優しく思いやりのある子だろう…
喜びと感謝の思いで胸が熱くなった…
…
入園後、コミュニケーションの取れないチビハルは、クラスの中で ずっと一人ぼっちかもしれないと覚悟していた。
だが実際はお友達に支えられ助けられ、こうして少しずつ成長して来たに違いない…
とても…
とても大切な事が垣間見えた、
…意味深き保育参観であった