月が砕けた。

破片を飲んで、胸か痛くなった。

あんなに優しい月なのに。


夜空は泣いて

星が流れて地で弾けた。


薬になるからと、

蟻は星屑を集めはじめた。


蟻は仲間に分けたかったのに、

力尽きて星屑を散りばめてしまった。


少しでもと

風がつぶやき星を転がす。

仲間に届けてあげたかったから。

どこにいるかもわからぬ仲間に運んでいく。


雨は怒った。

雨は星屑を夜空に返したかった。

けれど、雨は星屑を地に叩きつけてばかり。


見兼ねた海が、雨に流れる星屑を波で引き取り、深くまで沈める。

深い海なら星屑を守ってあげられると思ったから。


光も届かぬ深い海。

魚が微動だにしない星屑に触れてみた。

パクッとひと飲み。

堅くて痛い。

星屑は魚とともに、

さらに深い海におちていく。