信じられない光景を目の当たりにして固まってしまいそうになったが、そんな時間はない、彼女を仰向けの状態にしてすぐに119番に連絡した。


とにかく呼吸はしている……ただこういった経験は初めてで、どうなってしまうのか全くわからなかった。救急車がくるまでの時間が非常に長く感じ、気持ちは焦るばかり……


20分ほどで救急車が到着、救命士3人が彼女を担架に乗せて急いで救急車に搬送した。私も最後に搭乗する。


けたたましいサイレンの音と共に出発した。


サイレンの音がザクザクと私の心に突き刺さってくる…なんとも言えない気分だった…


静かに座っていると一人の救命士に話しかけられる。


「こうなるとあまり出来る事はないんですよ。」



「たぶん三日ぐらいは目が覚めないと思いますよ。途中で心臓が止まってしまったらそれまでです。」



「実は私の娘もこんな事を繰り返して、最後は心臓が止まって亡くなったんです…」



「これからはあなたが薬の管理をしなくては駄目ですよ。」




私はひたすら相槌を打つ事しか出来なかったが、その救命士の言葉は深く心に刺さった…運転手が無線でやり取りして搬送先は御茶ノ水の病院になる。30分ほどで病院に到着、急いで彼女は搬送されていく。私は深夜の薄暗い病院の待合室に案内されて待機、手続きなどを行った。



一人で待機していると色んな事が頭を駆け巡る。とにかく彼女の安否が心配だったが、同時に幼少期のトラウマが大人になっても影響を及ぼしてしまう事に憤りと悲しみを感じた。彼女が不憫でならない…代われるものなら代わってあげたい…


自然と涙が溢れた…しばらく待機していると看護師がやってきて、今日は帰るように促される。面会時間の明日の朝に来るように言われた。



彼女の側にいたいのは山々だったが、ここにいたところで私が出来る事など一つもない……



言われるがまま一旦家に帰る事にした。




つづく






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