私の直感をよそに彼女は
「菊池さんいい人でしょ?」
と言ってきたので難色を示していると。
「パパ、ヤキモチ焼いてるの?そう言う可能性は絶対ないからw」
彼女は笑いながら言ってきたが、私が心配しているのはそう言う事ではない、ただ言って聞くような彼女ではないのでとりあえず付き合いはほどほどにするよう念押ししておいた。
その後、昼間暇な彼女は菊池を呼びつけ、近くのコーヒーショップで時間を潰して、夕方私が迎えに行くという事が頻繁にあった。彼女にとってみれば暇な時間を相手してくれる気のいいおじさんという感覚だったのだろう…それ以上でもそれ以下でもない。しかし昼間にそんなに時間があるなんて一体いつ仕事をしているんだろう?疑問に感じた。
そんな状態が1ヶ月ぐらい続いた。特に何か問題があった訳ではないが、やはりどうもこの男はイマイチ好きになれなかった……
元々は私とは繋がりがなかったのだが彼女の関係で菊池とFacebookでも友達になる。私の投稿にもコメントしてきたりしてきていたのだが、どうもコメント自体も本音が見えてこず、どうしても偽善者のように感じてしまっていた。先入観なのかもしれないが、とにかく何もかも気に入らなかった。彼の投稿と言えば誰かの歌の歌詞のような、ポエムのような独特な感じで、とてもコメントする気にならない…
月日がたつにつれて菊池の投稿は徐々に変化していき、ある日、菊池の投稿のポエムを読んでいると、どうやら特定の人物に愛を語っている内容で正直なところ気持ちが悪かった……これって?
「ねえ、これってナオに向けて書いてあるんじゃないの?」
「ええ?」
その投稿を彼女も読んで、読み終わった後にお互いに顔を見合わす、どうやら彼女も私と同じ印象を持ったようだった。
「ちょっと距離をおこうかな……」
さすがに彼女も薄気味悪く感じたようだ。
翌朝、会社に出勤するといきなり私宛に内線がかかってきた。
「なんか野村っていう、ちょっと変な人から外線がきてますよ…」
野村という名前の人物に知り合いはいない、疑問に感じたがとりあえず出ることにした。
「もしもし電話代わりました。」
「………」
電話先は無言、仕方がないので何回か呼びかけた、そうすると弱々しい声の主が話始める……
「………おい……お前、ナオちゃんと別れろ!……別れなければナオちゃんを殺して、俺も死ねぞ………」
ちゃんと耳を澄まして聞かなければ聞こえないぐらい弱々しい声、その声は菊池に似ている……いや菊池しか該当する人間はいないはずだ……
その電話を受けて恐怖心というものはなく、ただただあまりの短絡的な行動に呆れてしまった…
こいつはバカなのか?
つづく
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