おじさんがおじさんになるまでの話

おじさんは昔おじさんではなかった。それどころか、男の子でさえなかった。男の子に生まれなかったおじさんが、いかにしておじさんになったかを少しずつお話ししていきます。

おじさんの哲学〔1〕

ごきげんよう、からあげでしか解決できないことがあることを知っているおじさんです。 

これまで1年とちょっとの間、おじさんの性別適合手術の体験談からはじまって、性同一性障害の治療のお話や、あるいはそれ以外の個人史をお話ししてきました。

このブログのタイトルは「おじさんがおじさんになるまでのブログ」。女児として生まれたおじさんが年齢的にも自認の上でもおじさんになるまでの話題をちょちょいとつまんでお話しして、一ト通りのお話を前回で終えました。

今後は不定期に「あれ書いとけばよかったかな」てことだとか、日常に思うこととか、書いていく予定です。「○○のこと書いてよ」というご要望をいただきましたら、できるだけ書けるようにしますので、ご希望がありましたら右カラムに記載のメールアドレスまでご連絡くださいな。

では、今回からはおまけ。おじさんの哲学、と言うと大仰なのですが、日常に考えていることなどお話ししておきます。セクシュアリティジェンダーなどには、深くは関わらないお話になるんじゃないかな。

これまで挿画を適度に入れるようにしておりましたが、フリー素材頼みの挿画でも結構な時間を取られておりましたので、今後は字のみです。字のみに耐えられる人は今後ともよろしく。耐えられない人には相済みません。

ありがたやのじいさま

おじさんは基本的には無神論者です。神も仏もないものだと思っています。しかし、神道や仏教やキリスト教などの宗教が説く内容を、生活や行動の旨とすることが多いです。それは(まともな)宗教の教えには理に適っているものが多いからです。

たとえば、しあわせになりなさい、また、自分のしあわせと同じように他者のしあわせを祈りなさい、なんてのは、現代日本でも就学前教育で教わりますよね。これを金剛禅では「自他共楽」と言います。それから、悪いことをしたら全部自分に返ってくるよ、なんてのは一部を除いた仏教が言う「因果応報」ですね。

こんな風に、行動や思想のベースに宗教があることというのは、日本に住んでいたら割りと多いのですが、おじさんの場合はさらにもう少し多いのです。

もともと宗教思想や哲学のお話が好きで、小学生の頃は自宅近所にやってくる移動図書館では毎回、宗教関係の本を借りて読んでいました。おかげでいくらか知識がついて、現在も幅を利かせている巨大新興宗教の人と議論して強引な勧誘に負けずに済んだということもありました。やはり小学生の頃の話です。

でね。
どの宗教、と言わずに、共通している教えというのは結構たくさんあって、その中には「日々、感謝しなさい」というのもあります。すべてのことに感謝を、と言う教派もありますね。おそらくここから民話の「ありがたやのじいさま」は生まれたのではないでしょうか。

「ありがたやのじいさま」というのは、何にでも「ありがたや、ありがたや」と手を合わせて感謝するおじいさんが主人公のお話です。蹴躓いても「ありがたや」、木の枝に頭をぶつけても「ありがたや」。ただやみくもに「ありがたや」を唱えるのではなく、蹴躓いたり頭をぶつけたりするのは「気をつけねばならぬと仏さまが教えてくれとるんじゃあ」という訳です。

おじさんはやがてじいさんになる訳ですが、「ありがたやのじいさま」になりたいと思っています。既に結構たくさん有難い状態ですが、それでも厭なことをしてくる人間にまでは感謝はできずにおります。その必要を見出だせずにいるのですな。「赦し」が足りない。寛容が足りない。

「ありがたやのじいさま」になるにはゆとりある心と広く受け容れる勇気と、赦すことができる強さが必要です。「赦す」ということは罰することができる者のみに与えられた特権である、というのはインドの聖者ガンジー氏の言葉であります。罰する強さを越える強さが必要なのですな。

つー訳で、おじさんは老い先短いのですが、身心のゆとりと強さを増すように、じわじわゆるゆるとそれなりにやっていこうとしています。「邁進する」とか「がんばる」とか、もうできないのね、年食っちゃって。年食うと気力が減ってしまってね。

あと、おじさんの生き方の芯になるのは「がんばらない」ことなので、気をつけてがんばらないようにしています。がんばると倒れるので。冗談だといいのですが、実際に何度か倒れているのでした。

ゆるくゆるく、「ありがたやのじいさま」を目指しています。

 

つらつら書いた「日頃考えていること」が、現時点であと2回分くらいあります。折りを見て整えて、公開しますのでときどき覗いてみてください。ではでは。

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