2015年度秋季の論評コンテスト。全国大会のテストスピーカーとして、私は自分のメンターであり、昨年度のディストリクトディレクター(日本地区の責任者)であるW邊さんに、テストスピーカーを依頼しました。
「良いですよ」
W邊さんは、快く承諾してくれました。
そこから、全国大会の準備の傍らでW邊さんとテストスピーチの打ち合わせも行うこととなりました。昨年度の日本のトップであり自分のメンターを務めてくれた方のスピーチを見る・・・、メンティー(今、トーストマスターズではプロテジェと呼んでいますね)冥利に尽きるものです。
W邊さんも、全国大会で行うスピーチということで真剣そのもの、そしてテストスピーカーはコンテストの直前まで秘匿する必要が有るため、スピーチの推敲は借りている会議室で二人だけ、時計の針の音すら聞こえてくる張り詰めた時間であったことを覚えています。普段は周りに気を配るW邊さんであっただけに、この時は全く異なる表情に戸惑いました。
そして大会当日。
この日も直前までコンテスト時間の切り詰めの調整、コンテスト出場者からの論評場所の変更依頼とアクシデントや予定の変更で、コンテスト開始の頃には疲れ切り表情にも余裕がなくなっていました。
「それでは、これより日本語論評コンテストを開始いたします」
司会のI黒さんの開始の声を聴く頃には、会場の最前列に有るコンテスト委員長席に崩れるように座っていました。
そして、いよいよテストスピーカーの発表です。
「それでは、テストスピーカーを発表します、テストスピーカーは・・・W邊 久!」
I黒さんが、一拍おいてテストスピーカーを発表した、その瞬間でした。
オオオォォォ!!!
会場を包んだ大歓声。
その大歓声に席に崩れ込んでいた私は、思わず腰を浮かして後ろを振り返りました。
誰もが驚きと敬意そして喜びをもって、ステージにあがるW邊さんに拍手を送っていました。
後で知ったのですが、W邊さんは180あった日本全国のトーストマスターズクラブに1年かけて足を運び、それぞれのクラブの人達と直接話し合ってきたそうです。
この時の大歓声は、そんなW邊さんの取り続けて来た姿勢に日本全国のトーストマスターが応えたものだったのでしょう。
(W邊さん、今更ながら、、勉強になります)
熱気に導かれる様に論評コンテストは大きな盛り上がりを見せ、大成功のうちに幕を閉じました。
2015年秋季全国大会。大会運営として冥利に尽きたコンテストであったことを、今も覚えています。