2016年5月末、大阪。春のトーストマスターズディストリクト76全国大会。

その日本語スピーチコンテストの決勝の舞台に私は立っていました。

全国の各地域を勝ち抜いた8名の出場者。その中には、2013年秋の全国大会で競ったS田さんの姿も。今回こそは、という気持ちも有るには有りましたが、それ以上に「このスピーチで良いのか」その疑問は消えませんでした。

 

スピーチ順の番号は8番。8人中、最後のスピーチ。

正真正銘、私は2016年のコンテストの最後のスピーカーとなりました。

普段であれば、最後に聴衆の気持ちを全て持っていく!という気持ちも湧くのですが、湧かせようにもその想いが湧ききらない。

はるばる大阪まで応援に来てくれた神奈川トーストマスターズのメンバー、輝トーストマスターズのメンバー、そして勝ち抜いてきたディビジョン(神奈川地区)からも沢山の方が応援に来てくれているのが見えました。

 

 それでもここまで来た。沢山の人達の前でスピーチを見せられること、そこまで来れたことに自信を持て。そう、自分を奮い立たせて出場者席に座りました。

 

 日本語スピーチコンテストが始まりました。誰もが、自らの主張をメッセージに変えてスピーチします。(トーストマスターズですので、派手なパフォーマンスも入れて)

 

 そして、いよいよ最後。私の番がやって来ました。

 スポットライトを浴びた明るい舞台に、ステージの上手舞台袖から入ります。

 大きな歓声、たくさんの聴衆。話し手として誰もが望む環境がそこに在りました。

 一点、自分がそのスピーチに納得できていないことを除いて。

 

 ・・・

 

 「日本語スピーチコンテスト、優勝は浦和トーストマスターズ、M山さんです!」

 

2016年の春の大会は、ある人は誰もが突き抜けていたスピーチを持っていた大会であったと称賛しました。また、ある人は誰もが演劇としての見せ方を突き詰めすぎたと厳しく評しました。

 

私にとっての2016年春の大会は、それ以前に出場した2013年と併せてこう位置付けています。

“2013年秋の大会は勢いで出た大会、2016年春の大会は技術で出た大会”

 

負けた悔しさがひと通り落ち着き、改めて振り返れば2016年の春の大会は

「自分が本当に伝えたいことは何であるか」

スピーチの大本となる問いに終始向き合い続けた大会でした。