題:Heathtech firms develop AI tool for HIV/AIDS patients in Africa

英題:アフリカのヘルステック企業がHIV/エイズ患者のためのAIツールを開発

記事リンク-Link       キーワード:アフリカ 医療 AI HIV/エイズ

こんにちは!Pick-Up!アフリカをご覧いただきありがとうございます。

本日は、アフリカ医療に関する話題をピックアップしました。

主にAIを用いて継続的なHIVケアの拡充を目指す企業の取り組みをご紹介していきます。

内容と背景

アフリカにおけるHIVの現状と問題

以前こちらの記事(ウガンダ:コロナ禍でのHIV/AIDSへの取り組み)でご紹介したとおり、アフリカでは今もHIVが広く蔓延しています。具体的に、こちらの記事ではアフリカのHIV患者数は2500万人ほどであり、世界全体の67%を占めていると紹介されています。

またこうした感染状況に加え、今回の記事ではアフリカにおけるHIVケアの問題の1つとして継続的な治療が行き届いていないことが挙げられています。こちらの記事で紹介されている通り、HIVは一度感染すると完治しないため抗レトロウイルス剤を定期的に接種し続ける必要がありますが、アフリカではこの薬の継続的な接種が行われない場合も多く、そのために約800万人もの患者が病状の悪化を抑え込むことが出来ていないと言われています。

継続的な服薬がなされない理由としては、まず医療体制側の問題を挙げることが出来ます。実際に医療機関のフォローアップ体制が整っていない中、1人の患者に長期的なケアを提供することが難しい状況があるとこちらの記事では紹介されています(ナイジェリアのガン治療に革新をもたらす新たな検査技術)。

特にコロナウイルスがHIVの医療体制にダメージを与えたこともあって、以前よりもさらにフォローアップ治療が難しくなっている状況があるとこちらの記事で紹介されています。(エイズ対策がアフリカのパンデミック収束の鍵となる?)。

さらに患者側にも問題があることが記事では紹介されています。実際にスケジュール管理が行き届かず、通院予約や薬の服薬を忘れてしまうことが患者の病状を悪化させてきたと記事では示唆されています。

AIを用いたスケジュール管理サービス

こうした中、AIを用いたシステムで効率的に患者のスケジュールを管理し、継続的なHIVケアを実現する取り組みが南アフリカのVantage Health Technologiesとナイジェリアの the Institute of Human Virology Nigeria (IHVN)  によって開始されたと今回の記事では紹介されています。

具体的に記事ではこれらの企業が、過去の行動データから通院予約や薬の服薬を忘れる可能性の高い患者を自動的に判別してそのリストを作成するAIを開発したと述べられています。そしてこのリストを基にスタッフが患者に対して電話や家庭訪問による通知を行うことで通院や服薬を忘れることなく履行させることができたと記事では言及されています。

実際にIHVNのテストによってすでにこのシステムの効果が立証されたようで、今回の記事では、AIが作成したリストを基に行われる通知を受けなかった患者グループの通院継続率が55%に留まったのに対し、通知を受けたグループではその値が91%まで上昇したことが記事では示されています。こうした結果を受けてIHVNはすでに3万人に対してこのAIサービスを提供していると記事では述べられています。

アフリカでの医療AIの活用

今回はAIの利用によりHIV患者のスケジュール管理を改善する取り組みをご紹介してきましたが、こうしたアフリカ医療分野でのAIの活用はその効率性を理由に徐々に増えてきています。

実際にこちらの記事ではNeural Labというケニアのスタートアップが画像診断の際に肺炎、結核などを含む20以上の病気を判別し、診断を効率化するAIを開発したことが紹介されています。またこちらの記事(アフリカでのAI・テクノロジーによる医療革命)では、ルワンダが医療従事者不足の改善に向けてAIチャットボットを利用したデジタル診断を導入したことが紹介されています。

以前のこちらの記事(アフリカのイノベーションを牽引するルワンダ)でも述べたように、コロナ禍を経てアフリカの医療テクノロジー産業への注目は高まっており、実際に2021年にはアフリカでこの分野のスタートアップへの投資が前年比で81%増加したと言われています。こうした中、その中でも重要な分野である医療AI産業は今後大きく成長していくのではないかと思います。今後のこの分野の動きに期待が寄せられます。

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参考記事

1.ウガンダ:コロナ禍でのHIV/AIDSへの取り組み【Pick-Up! アフリカ Vol. 203:2021年8月10日配信】-Link

2.Healthtech start-ups inspire with HIV project breakthrough-Link

3.ナイジェリアのガン治療に革新をもたらす新たな検査技術【Pick-Up! アフリカ Vol. 12:2022年2月28日配信】-Link

4.エイズ対策がアフリカのパンデミック収束の鍵となる?ーコロナウイルスとHIVの関係性 【Pick-Up! アフリカ Vol. 242:2021年12月06日配信】-Link

5.This Kenyan startup is using AI-enabled imaging to facilitate real-time diagnosis-Link

6.アフリカでのAI・テクノロジーによる医療革命【面白記事 Vol. 140: 2020年9月21日配信】-Link

7.アフリカのイノベーションを牽引するルワンダーテックハブ建設の取り組み【Pick-Up! アフリカ Vol. 38:2022年6月9日配信】-Link


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