元記事:Logistics of COVID Vaccine Donations to Africa Must Improve, Say Distribution Coordinators

アフリカへのコロナワクチンの寄付は改善されなければならない、と流通調整者は言っています

記事リンク:https://www.voanews.com/a/logistics-of-covid-vaccine-donations-to-africa-must-improve-say-distribution-coordinators/6331883.html

こんにちは!Pick-Up!アフリカをご覧いただきありがとうございます。

本日はヘルスケアから、アフリカにおける新型コロナウイルスのワクチンの輸送についての記事をご紹介します。


現在アフリカではコロナウイルスの感染者が拡大しており、ワクチンの接種が急がれています。ロイター通信によると、94日ごとに100万人の感染者が確認されており、パンデミックが始まって以降870万人以上の感染が報告されているとのことです。このような感染者数の急激な拡大の背景には、アフリカでのワクチン接種が進んでいないことがあります。

アフリカ全体で見ると、ワクチンを完全に打ち終わっている人は7%しかいません。このような状況に対抗すべく、2020年にCOVAXが発足しました。COVAXは世界保健機関(WHO)の主導のもと、ワクチンを共同購入し、アフリカのみならず途上国などに分配するという国際的な取り組みを行っています。COVAXに関しては、以前投稿されたこちらの記事にも詳しく書かれています。

しかし、COVAXからアフリカに送られるワクチンはすべてが使われておらず、廃棄されている状況にあります。アフリカにおけるワクチンの課題は「如何に確保するか」というところから「如何に普及するか」という方向へ変わっていったように見えます。

今回ピックアップした記事では、アフリカでのワクチン接種を進めるためには、寄付によってもたらされるワクチンに改善が必要であると書かれています。改善が必要なポイントとしては、ワクチンがなんの知らせもなく届くこと、ワクチンの有効期限が短すぎること、の2点が挙げられています。The African Vaccine Acquisition Trust(AVAT)やAfrica Centers for Disease Control and Prevention(Africa CDC)といった機関の購入契約から持続可能なワクチンの供給を得るためにはこのような状況を改善しなければならないと、COVAX、AVAT、Africa CDCといった団体は主張しています。

こちらの記事で書かれているように、コンゴ民主共和国では170万ものワクチンが使用できず、南スーダンでは72,000のワクチンが返還されました。これはCOVAXの計画によって分配されたものですが、それぞれの国が受け取った際には有効期限が短く、すべてを打ち切ることが困難になっています。

伝達の不十分さや有効期限切れによるワクチン接種の遅れに対処すべく、2022年1月1日以降、これらの団体はワクチン寄付に関する基準を設けようとしています。その基準には、寄付を大規模で行うことで輸送コストを下げること、ワクチンが届いた際に有効期限が10週間残っている状態にすること、到着予定日の4週間前までにワクチンが接種可能になることを知らせること、といった内容が含まれています。

また、上記以外にも「大切な情報にはすぐに返答すること」や「注射器といったようなワクチンを打つにあたっての必需品を一緒に送ること」、「輸送料を払うこと」などを求めています。そのうちの「大切な情報にはすぐに返答すること」に関しては、情報の伝達が直前になると、プロセスをさらに複雑にし、輸送コストを増加させ、有効期限を短くし、期限切れになるリスクを増加させることに繋がると述べています。

COVAXやAVAT、Africa CDCによるこのような主張・要求は、新たにオミクロン株の流行が懸念される中で行われました。オミクロン株は南アフリカで急激に流行しており、今後アフリカへのワクチンの供給の質がより重要になると考えられます。

しかし、ワクチンの供給が進んでも、ワクチンを受ける人の数が思うように増加しない可能性があります。こちらの記事では、ワクチンを危険なものだと考えて受けない人がいると書かれています。医療従事者でさえも完全にワクチンを打った人はアフリカでは18%しかいません。また、こちらの記事では、海外から届いたワクチンを人々が打てるようになるまで運ぶためのインフラが整っていないことがあげられています。特に遠隔地に運ぶとなると、そのための輸送ネットワークが整っておらず、大きな問題となっています。アフリカに届くワクチンの量を増やすことや寄付されたワクチンの質を上げることは大切ですが、アフリカの人々がワクチンの知識をつけること、アフリカ大陸内でのインフラ整備もまた大切だと考えられます。

他にも、変異株が流行るとそれを予防できないと考えられるワクチンは使用できなかったり、ワクチンに対する議会の承認が遅いことで医療従事者を訓練する時間がなかったりと課題は山積みです。南アフリカでは、インドから100万ものワクチンが送られてきましたが、国内で流行している変異株を予防するのに不十分であるとして政府は使用しないと決めました。使われなかったワクチンは、アフリカ連合を通じてかっこくに分配されましたが、その有効期限はわずかであり、期限内に使いきれなかった国が生まれました。

アフリカでは2022年末までに70%の人々がワクチンを完全に打ち終わっている状態が目標とされていますが、現状では困難であると考えられます。今後、新型コロナウイルスのワクチンに関する情報に進展があり次第、また記事にしていきます。

参考記事:

1.WHO: Vaccine Hesitancy Persists Among Africa Health WorkersLink

2.Africa, where a new variant emerged, is starting to receive more anti-Covid vaccines, but has problems distributing them –Link

3.Covid-19 vaccines: Why some African states can’t use their vaccines –Link

4.アフリカ諸国が直面するワクチン供給の課題とは【Pick-Up! アフリカ Vol. 194:2021年7月12日配信】-Link

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