今回はこんな本を読んだ。
僕が前回読んだ『ケーキの切れない非行少年たち』の続編である。
前作の『ケーキの切れない非行少年たち』では脳の認知機能に障害を持っている子どもたちがいかにして犯罪行為を繰り返すのか、彼(彼女)らをどのように更生させて社会復帰させていくかについて描かれていた。
今作では、そういった障害の有無に関わらず、"頑張る" ことができない人たちがメインになっている。
人間社会とは、常に頑張って結果を出し続けている人たちの集まりで、一人一人が頑張ることを前提に成り立っている。
学校では勉強を頑張らなければならないし、会社では仕事を頑張らなければならない。他にも、頑張らなければいけない場面は数え切れないほどある。
彼(彼女)らが "頑張る" ことができないのは何故か。
"頑張る" ことができない理由として、貧困家庭出身で常に余裕のない暮らしを余儀なくされていたり、親の教育方針に大きな問題があったり、挫折ばかりでほとんど成功体験を積むことができなかったりと、理由は様々である。
頑張ることができない理由
ざっくり理由を述べたが、これらに共通しているのは "自信" だ。頑張ることができない人は往々にして自信を喪失している状態にある。学習性無力感に苛まれているということでもある。
貧困家庭だと生活に余裕がないから、親から虐待を受けたり、病気になっても医者に連れて行ってもらえなかったり、食事も炭水化物だけだったりと、心身ともに健康でいるのは難しい。
子どものときから親から「お前はダメな奴だ」と否定され続ける、もしくは「お前はもっとできるはずだ」と過剰に期待され続けると、子どもが将来、頑張れない人間に育ってしまう可能性が高い。
子どものときから成功体験を積めず失敗ばかり繰り返していると、「あぁ、自分なんて何やってもダメなんだ…」と常に考えるようになってしまう。
こういった環境だと自信を持つのは難しい。全員が全員、「何糞!」と歯を食い縛って立ち上がれるような根性は持ち合わせていない。立ち上がれる人もいれば、潰れてしまう人もいるのだ。
ちなみに僕の場合、「さぁ、頑張るぞ!!」と意気込んでいたところ、他人から「そんなこと今やることじゃないだろ!!」などと横槍を入れられると、頑張る気力を一気になくす。
頑張るタイミングがずれてしまうと、次にその頑張る気力が湧いてくるのはいつになるか分からない(下手したら年単位かかる)。
気力が湧いた瞬間にでも着手していく習慣が必要だ。
"頑張る" ことができない人を支援する人たち
"頑張る" ことができない人を支援する団体もある。
しかし本当に支援が必要な人ほど、周りに助けを一切求めてこないどころか、周りに対して攻撃してくることもある。
貧困家庭故に親からまともな教育を受けさせてもらえなかった、過去のトラウマから人を信じられなくなった、それ以前に心身ともに大きな障害があったなど、最早本人の力だけではどうしようもない問題を抱えている。
支援者自身もそういう人たちを助けたいとは思わないので、余計に支援に繋がりにくかったりする。
本当に支援を必要としている人は、支援者に
「あ、この人助けてあげたいな!」
と思わせる行動を取らなければならない。結局そのために、彼(彼女)らは頑張らないといけないのだ。
個人的な願望ではあるが、頑張らなくてもとりあえず生きていける社会になればいいと思う。頑張りたい人だけ勝手に頑張って、そうでない人は頑張らずにダラダラできる社会ってある意味理想郷だと思う。
頑張れない人を無理やり頑張らそうとするから、この社会は余計に生きづらくなっていくのだ。
インフルエンサーの無責任な発言にもっと警鐘を鳴らすべき
本書には、著者がインフルエンサーの無責任な発言について苦言を呈するシーンがあった。
「頑張らないで生きよう✨」
「もっと手を抜いちゃおう✨」
「嫌なことは我慢しないこと✨」
「周囲からの評価なんて気にするな✨」
「無理に人から好かれなくていい✨」
ネットに触れていると、こういった言葉を嫌でも目にする。しかしこれらは全て労いの言葉に過ぎない。
今現在も頑張り続けている人、手を全く抜いていない人、嫌なことをひたすら我慢している人、周囲からの評価を気にしてビクビクしている人、周りから好かれようと躍起になっている人たちに対して向けられているものだ。それ以外の何ものでもない。
なので何かをサボるためのお墨付きの言葉では断じてない。額面通りに受け取って行動に移してしまうと、自己中心的で怠惰なダメ人間が爆誕してしまう。かつての僕もそうだった。
決して鵜吞みにしてはいけない。
とりあえず、頑張れる人ってマジで偉い
頑張らなさすぎると生きていけないし、頑張りすぎると心身を病んでしまう。それに頑張ったところで思い通りの結果になるとは限らない。
それでもなお、頑張ることに時間や労力を費やせる人はマジで尊敬に値する。