パパね、中身が女の人らしい💁🏻‍♀️

性同一性障害MtF
恋愛対象は女性
強烈な男性拒絶でさらに複雑

治療、嘘、そして愛

2020年07月01日 | 日々のこと🍀
治療といってもGIDとは全く関係なく、長年患っているちょっと面倒な病気の治療。
一度は寛解したものの、ここ数年体調が悪く、先日の検査で再発が確認された。

以前の治療で出来ることはやってきたが、10年以上も経って再発するとは思っていなかったので、少し心の準備に時間がかかった。

投薬は気休め、症状を緩和させる程度にしかならない。
最後の手段として大掛かりな治療に入るわけだ。
とはいっても、入院はしないでもできるので、息子の生活には最小限の影響で進められる。
来週から週に一度、計三回でプロセスは完了する。
効果はやってみなければわからない。

主治医はしっかり最高の結果と最悪の結果を教えてくれた。
自分では噛み砕いて受け入れたと思っているが、いざその時が近づいてくると身体は正直なもので、症状が強く出始めてしまい、なかなか思うように動くことができなくなっている。

最初に病気が発覚した時、まだ結婚していた頃だったが、妻にも他の家族にも一切打ち明けずに一人で病院へ通い、治療を続けた。
その時、今を最後に二度と口にはしない、心の一番奥深いところへしまっておこうと思った。

数年後、離婚をした時、二度と恋はしないと誓った。
息子が母親の元から家出をして私のところへ逃げてきた時、この子のために人生と命をかけることを再び誓った。
それ以外の誰かを交えることはしないと決めた。
これ以上、自分の人生に誰かの人生を重ね合わせることはしない、と誓った。

半年ほど前、一人の女性と出逢った。
まだ若い女性。
友人として、GIDである私の良き理解者として、頻繁ではなかったが、連絡を取り合ってきた。
彼女は私を歳の離れた女友達として受け入れてくれていた。

彼女もこれまでの人生で様々な辛い経験をしていた。
いつも話を聞いては、私にできる限りの言葉をかけ、彼女にとっても良き理解者でありたいと思っていた。

春、ちょっと距離のあるドライブをした。
途中、助手席で居眠りをしていた彼女。
ふと寝顔を見た。
安心しきった寝顔を見て、微笑ましく思った。
高速に乗る直前、目を覚ました。
照れ臭そうに誤魔化すわけでもなく、私に気を使うわけでもなく、信号待ちでルームミラー越しに私と目が合うと、微笑んだ。私も微笑んだ。

何を話すわけでもなく、気まずいこともなく、ただ居心地の良い無言の時間が流れる。
時折、他愛ない話をして、また無言が流れていく。
そんな時間を一緒に過ごせる彼女が、人として好きだった。

私は自ら立てた誓いを守った。
それで良かった。
何も知らない彼女も、不思議に思っていなかっただろう。
それで良かった。

彼女には彼氏がいた。
二人の関係を微笑ましく見守っていた。
彼女が心の内を話してくれた。
無理してるな、と思った。
決していい恋愛ではない、そんな印象だった。

「もし彼と別れたら寂しくなるんだろうな」と彼女が呟いた。
私は“次の人と巡り合うまで私が傍にいるから安心してね”と言った。
嬉しいと言って、彼女はこれまでとは違う話をしてくれるようになった。
もっともっと心の奥深くにある、彼女が抱えている苦しみ、自分への蔑み、昔の恋や愛、いろいろなことを話してくれた。
少し私に似てるな、と思った。

一週間後、治療が始まる。
彼女には何も言っていない。
寂しい思いはさせないと言った私の言葉を、彼女は信じてくれている。
おそらく私はその通りにできるよう、いつもと変わらず連絡を取り合い、馬鹿話をして笑って過ごすだろう。

もし、治療が失敗したら。
成功しか考えていなかったのに、今になって脳裏を過ぎる。

息子に嘘をつくことになる。
「お前が立派な大人になるまで、命をかけて守り抜くから、心配しなくていいよ」
その言葉が嘘になる。

彼女に嘘をつくことになる。
「寂しい思いはさせないから安心してね」
その言葉が嘘になる。

恐怖心はない。
この二人に嘘をつくことになるのが嫌なだけだ。
成功すれば何も問題はない、そのためのことをしようと心を定めていっても、一旦揺れ動いた心が治まらない。

息子への愛。
いつしか同じ愛を彼女にも向けてしまっていたのだろうか。
それは正しいことなのだろうか。
自ら立てた誓いが崩れてしまったような気がしてならない。
そんな自分が不甲斐無く、許せずにいる。

私も普通の人なんだなと思う。
まだまだ弱すぎる。
あと一週間。
強くなれるのだろうか。
越えられるのだろうか。
越えなければならない。
なんとしても。

嘘にならないよう、二人の元へ帰り、今までと変わらず二人を見守ってあげたい。
その気持ちをここに残しておこうと思う。

最愛なる二人へ。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。