略式代執行で解体除却中の阿見町の特定空家

 

略式代執行で解体除却された阿見町の特定空家

 

先日(令和5年5月19日)、牛久市で実施した総務常任委員会所管事務調査について報告します。牛久市では、総務常任委員会の年間テーマに沿った「空き家対策の取り組みについて」調査を行いました。

 

阿見町は、平成25年3月、「阿見町空き家等の適正管理に関する条例」を制定し、それに基づき平成27年には「空き家調査」を行いました。さらに、平成27年の「空家対策の推進に関する特別措置法」が全面施行されたことを受けて平成29年5月に「阿見町空家等対策計画」を策定しました。

 

牛久市は、平成24年7月に「牛久市あき家等の適正管理及び有効活用に関する条例」が施行され、平成29年4月に空家対策課を設置、8月に計画をまとめ宅地建物取引業協会と協定書を締結、空家バンクをHP上に開設、国土交通省の専用サイトにいち早く加入するなどスピード感のある取り組みを行って来ました。

 

牛久市は、人口84,105人、世帯数38,206世帯、平成30年の総務省による住宅土地統計調査では住宅総数37,710戸の11.2%、4,220戸が空き家となっています。令和5年5月現在で、市(空家対策課)が把握している空家等は、805戸で適正管理を促しているということです。内近隣に悪影響を及ぼしている空家は69戸あり、条例による対応を行っています。

 

市から空家所有者等に対する措置件数は、毎年、条例による助言が100件前後、指導が50件前後、特措法による助言は令和3年に47件、指導は25件、勧告も1件ありました。内容の種別では、「草」「木」などが66%、「建物」「付属物」などが30%で大半を占めるということでした。

 

特定空家等の状況は、平成29年度から令和4年度までの6年間の合計で、認定数が15戸、管理者・所有者が自主的に解体し取消した数が6戸、市が略式代執行で解体した数が3戸で、現在市内の特定空家は6物件ありその改善に向けて取り組んでいるということでした。

 

特定空家等に認定後は、特措法に基づく助言等の行政措置を行うとともに、職員による自宅訪問などを実施ながら「所有者自身による改善」を促しているということでした。課題については、1,特定空家等への行政指導を実施するとその多くで相続放棄がされてしまうこと、2,再三の文書による指導や自宅訪問を行っても所有者が無関心で対応されないこと、3,市が負担した行政代執行及び略式代執行費用が全額を回収できないことが多いこと、などがあり法整備の必要性があるということでした。

 

牛久市では、空家に関するすべての業務を、課長以下合計6名の「空家対策課」という専任課で行っており、きめ細かな対応が出来ていると思われました。牛久市の空家は昭和40年代に開発された住宅団地に多く存在しているということから、今後、阿見町でもますます深刻な問題となってくるものと思われ、非常に参考になった調査でした。