以外と知らない在宅勤務のルール。業務委託とは?2つある契約の違いを解説!!
近年ではIT機器の発達により,場所や時間を問わず
世界中どこにいても仕事ができるようになりました。
働き方や働く場所の自由を人々が求めるようになり
さらに働き方の多様化が広がっています。
特に自宅にいながら仕事ができる在宅勤務(テレワーク)は
人気を集めており,今後も導入をしていく企業も増えていく兆しがあります。
しかし一見便利で自由に思えるこのテレワーク。
みなさんこのテレワークを行う上での労働上の法律をしっかり理解されていますか?
きちんと労働法に則った業務はできていますか?
また,フリーランスの方はどのような契約を結んでお仕事を引き受けていますか?
あなたの依頼されたその業務は委託契約ですか?それとも請負契約ですか?
おそらく詳しく知らない方が大半だと思います。
実際に大企業の人事担当者ですらテレワークを行う上での法律やルールを知らないという人が多いのが現状です。
また,テレワークに限らず,言われるがままに業務を始め,何の仕組みもルールも分からないまま仕事をしている,特にフリーランス(個人事業主)の方の何と多い事か!?
あなたを始め,あなたの周りにもそんな仕事の仕方をしてる方はいませんか?
そこでこの記事ではテレワークを行う上での労働上の法律と
特にフリーランスの方に向け,在宅勤務における業務委託契約と請負契約の
違いについてお話していきたいと思います!
在宅勤務を導入したい方や在宅勤務が気になっている方,もしくは
既にやっているという方にお役に立つ記事です。
また,特に在宅勤務ではない方でも,フリーランス(個人事業主)として
必ず押さえておきたい内容が満載です。
知らないと損する,または知らなかったでは済まないということが
ないようにぜひご参考にしてください。
- 在宅勤務にもルールがある!!テレワークにおける労働法とは!?
- 業務委託契約とは一体何か?フリーランスはこれを知らないとダメ!!
- 業務の終了・完成または遂行を目的とした契約が業務委託である
- フリーランス諸君!ここからが一番大事です!!
- まとめ
在宅勤務にもルールがある!!テレワークにおける労働法とは!?
まず,大前提として労働法が適用される場合は
企業と「雇用契約」を結んでいるという事になります。
雇用契約とは?
「労働者」が労働に従事していてその労働そのものを提供し
「使用者」はこれに対してその報酬を与えることを約束すること
を内容とする契約です。
つまり
労働者=会社の従業員
となって働く雇用形態となります。
「労働者」にあたる場合は
原則として
労働基準法や労働契約法上の保護を受けることになります。
まずはこちらをしっかりふまえて続きをご覧ください。
では初めに在宅勤務をする上での労働法にはどのようなものがあるのか?
1つずつ順を追って詳しくご紹介していきましょう。
テレワークでも法律が適応されるのか?
まず在宅勤務でも法律関連が適応されるのか?についてですが
これはもちろん適応されます!
通常の勤務と同じく,労働基準法や最低賃金法・労働安全衛生法・労災
などの労働基準関係法令が適応されます。
出勤しない在宅勤務と言えども
通常通り働く時と適応される法律はあまり変わりません。
労働基準法上の注意点とは!?
では次に労働基準法上での注意点についてお話していきます。
労働条件の明示
テレワークであっても使用者は労働者に対して,賃金や労働時間・就業場所などに関する事項を明示しなければならないとされています。
離れて仕事を行うからこそ,より労働条件は明確にする必要がありますよね。
労働時間について
テレワークを行う場合でも通常の労働時間制度と同じく
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
に基づき労働時間管理を行う必要があります。
またテレワークであってもフレックスタイム制や事業場外みなし労働制度
裁量労働制などを用いることも可能です。
休憩時間について
この休憩時間に関してもテレワークであっても通常の労働基準法が適応されます。
休憩時間に関しては雇用契約での勤務時間により異なってきます。
時間外・休日労働について
テレワークであっても時間外や休日労働を行なった場合には
時間外・休日労働に係る三六協定の締結,届出及び割増賃金の支払いが必要となり
また,現実に深夜に労働した場合には,深夜労働に係る割増賃金の支払が必要となります。(労働基準法第36条及び第37条)
労働安全衛生法上の注意点
これに関しても在宅勤務であっても通常の勤務と同じく適応されます!
使用者は労働者に対して,労働安全衛生法等関係法令等に基づき
過重労働対策やメンタルヘルス対策を含む健康確保のための
措置を講じる必要があります。
以上をまとめると労働者には
- 労働条件(賃金や就業場所など)
- 労働時間(週40時間の勤務など)
- 休憩時間(1日8時間以上勤務で1時間など)
- 時間外および休日勤務(残業手当や休日出勤手当など)
- その他,労働基準関係法令
などなど,詳細に守られているということになりますね。
だってここが曖昧だと会社組織として成り立たなくなりますよね?
従業員がそれぞれ
好き勝手な時間に出勤してきたり・・・
数時間の勤務で終わらせたり・・・
適当な時間に休憩したり・・・
そんなことにならないように企業は
個人と「労働契約」を結ぶのです。
個人は「従業員」となるわけですから
この労働契約に則って企業に労働を提供するのですね。
また逆に言えば
「縛られている」
とも言えますよね。
特に時間に対しての縛りは多いと個人的には思います。
この「縛り」が嫌でみなさんフリーランスになるんですよね?
またはフリーランスになったんですよね?
そこでやっと
「業務委託」という言葉がでてきます。
お待たせしました^^
業務委託契約とは一体何か?フリーランスはこれを知らないとダメ!!
業務委託契約とは何か?
では次にフリーランスとして働いていく上でよく耳にする業務委託契約。
正確にいえば「業務委託契約」という契約はありません。
これは民法上ではこの「業務委託契約」という言葉がないという意味です。
皆さんも言葉自体は普通に使っていると思いますので
ここではあまり気にしないで大丈夫です。
ただ,この業務委託の意味をよく分かってない人が多いです・・・
とっても多いです・・・
曖昧に理解してるととんでもない事になりますよ?
ここはしっかり読んでくださいませ。
では業務委託契約とは何なのか?
についてお話していきましょう。
業務委託契約は雇用契約とは大違い
業務委託とは
「フリーランス個人が仕事を請け負う際に直接企業と契約を結ぶこと」
これはフリーランス側からの視点ですね。
逆に企業側からの視点では
「自社で対応できない業務を,他の企業や個人などの外部に委託する契約」
となります。
一見するとこれはごく当たり前のように思いませんか?
- 自分にできる仕事をやる
- 自分ではできない仕事を他に頼む
たったこれだけのことです。
なお、一見しただけでこの両者の関係は
対等でなくてはならない
と分かる方にはこの記事は必要ないですぅ^^
どういうことか解説していきますね。
雇用関係は発生しない
まず業務委託契約にはそもそも雇用関係が発生しません。
時間的な縛りもなくなるわけです。
フリーランスたる所以ですネ。
ここでは
業務委託契約は雇用契約とは全く違うということをよく理解してください。
フリーランスは「労働者」ではない
すなわち,あなたが企業や個人と結んでいる契約が
業務委託契約である場合には
あなたは「労働者」ではないということになります。
よって
労働基準法や労働契約法による種々の保護は受けることができない
ということになります。
ここまではよろしいですか?
「フリーランス」は「労働者」ではないので
労働基準法や労働契約法の対象外ですよ。
更に,雇用契約ではないので
- 「使用者」と「労働者」というような主従の関係にはない
- 独立した事業者間の契約である
すなわち
両者は対等でありWIN-WINの関係であるということになります。
強い言い方をすれば、対等であるのが当たり前で、お互いに
WIN-WINでなければ仕事の委託も受託もないですよね?
あなたが受託したその仕事が、委託者だけの利益になるようなことが
本来はあってはならないはずですよ。
または、あなたが委託した仕事が、受託者だけの利益になるなら
そもそも依頼しないはずですよね?
私見ですが
このような議論をするときに、それぞれの立場によって認識が全然違う
ことがあると思っています。
例えば
委託者の立場で考えると
「雇用契約」をしたくないから受託者に「業務委託」という契約を選択させる・・・
または「雇用契約」をしたいと思っても、フリーランスしか集まらない・・・
同じように、受託者の立場で考えると
「雇用契約」をしたいのに委託者には「業務委託」という選択をさせられる・・・
または「業務委託」という契約なのに「雇用契約」と変わらない縛りを受ける・・・
これは双方それぞれの意識や環境の違いがあったりするものだとは思います。
単純な損得勘定だけでは計れない事もあるでしょう。
更には、就労状況を鑑みてから、この実態はどの契約に該当するのか?
という本末転倒な議論さえ平気でされています・・・
このような根源はこの「業務委託」の制度そのものに対する
理解が低いというのと、この制度の解釈の仕方が曖昧だということも
付け加えたいと思います。
少し逸れましたが、いずれにしてもこれらを踏まえた仕事の仕方が
業務委託契約ということをよく覚えておいてくださいね。
これを見ているあなたには曖昧のままにしてほしくありませんので^^
業務の終了・完成または遂行を目的とした契約が業務委託である
業務委託の契約は
ある特定の業務を完成または終了させることを目的とします。
業務そのものの遂行を目的としたものも業務委託となります。
ちなみに
遂行:すいこう
とは物事をやり遂げるという意味であり
ただ単に行うだけの
「実行」とは違いますよ。
では順に説明します。
業務の完成(終了)とはどういうことか?
契約書の内容に記載されている業務を完成させれば契約終了となります。
例えばホームページの作成やデザイン作成などの業務で見てみましょうか。
作成だけの契約であれば作成までが業務であり
その後の責任を問われることはありません。
つまり,契約内容の業務さえ終了すればその後に何か責任を負ったり
契約外の業務などをする必要はないということです。
業務の遂行とはどういうことか?
契約書の内容に記載されている業務を遂行すれば
契約業務を果たしたということになります。
今度は塾の先生やスポーツなどのインストラクターで考えてみましょう。
生徒さんに勉強やスポーツを教えるという契約であるならば
業務そのものを行う事で契約は果たされたことになります。
①と同じく,やはり契約内容の業務さえ行えば
その後に何か責任を負ったり契約外の業務などをする
必要はないということです。
要するに
「成果物を納品する業務」なのか
「業務そのものを遂行」するのかという事に分けられるわけですね。
そして「業務」以外のことをする必要はないということです。
ここまでは
ということになります。
わりと簡単ですね?
ご理解いただけましたか?
フリーランス諸君!ここからが一番大事です!!
業務委託契約には主に
「業務を完成」させること
「業務を遂行」するということがあるのは分かりましたね?
先ほどの例でいう
デザイナーさんなのか先生なのかというイメージです。
「業務委託」は請負契約と委任契約の2種類ある
ここでようやく2種類の契約の話になるのですが、それぞれの形態の違いを理解している
人は残念ながら私の周りにはいません・・・
2種類の形態とは以下の通りです。
請負契約=業務を完成させる
委任契約=業務を遂行する
それぞれご説明しましょう
請負契約とは先ほどの例で言うデザイナーさんのような方向けです。
他にの職種としては建物の建築や土木工事、脚本の作成などがあります。
モノ作りの仕事全般といえるでしょう。
当然ながら、完成に至らない場合や不良品などを納品した場合には
契約違反になります。
委任契約とはインストラクターさんなどのような業種の方向けですね。
業務を遂行するのが目的の業種で、他には塾講師などのような方です。
ここで注意したいのは、契約違反に関する捉え方です。
当記事の肝と言っていいくらい大切な内容なので
ここはしっかり理解してほしいと思います。
受託者の請負契約違反の例
先ほどの例に挙げたホームページの作成で考えてみましょう。
あなたがホームページの作成依頼を受けたとしましょう。
- 自店や自社のホームページを作りたいとの依頼があった
- 作成にかかる費用や期間を双方の合意で決めた(もちろん報酬も含みます)
- 決められた期間内に完成させ納品する
- ホームページの運営開始
ざっくりこんな流れでしょうか。
上記の例でいうと,あなたの責任は3の
期間内に完成させ納品する
ことです。
これが業務請負契約でしたね?
繰り返しますが業務請負契約とは
業務の完成を目的として結ぶ契約です。
大工さんなら
「家を建てる」
という家の完成をもって業務契約が終了です。
ただし、完成さえさせればいいというわけではありません。
品質が悪かったり、不具合があればその責任も負うことになります。
契約期間内に業務が終了しなければこちらも責任を負います。
成果物に対して責任を持つということですね。
この契約違反に関する記述は、受託者(あなた)側の観点です。
では逆の立場での契約違反のパターンを考えた事はありますか?
この事についてはあまり知られていないのではないでしょうか。
委託者側にはこんな契約違反がある
ここで業務委託契約は雇用関係ではないというのを思い出して下さいね。
請負契約をしているのに
- 業務を行うスタッフの詳細な勤務条件を強要する
- 業務の進め方についての指示をされる
などのような「縛り」を持ちだすのは明らかな契約違反ですからね。
これを黙って見過ごすフリーランスがあまりにも多い!!
これを当たり前のようにやっている委託者が実に多い!!
なぜいつまでも他人事のようにしているのでしょうか?
なぜもっとお互いの立場を尊重し合わないのでしょうか?
受託者の委任契約違反の例
少し熱くなってしまいましたが続けます。
委任契約については「業務の行為の遂行」に責任を持つのですから
それが履行されなければ契約違反となります。
また、業務を行うにあたり、業種によっては時間や曜日、場所などの指定
はあるかと思いますが、それはある意味当たり前ですよね。
インストラクターの委託業務をするのに、場所や時間が適当では
生徒さんも困ってしまいます。
受託者さんもどうやって「業務の遂行」をしたらいいのか
分からなくなってしまいますよね?
そういう意味では具体的な指示がないと仕事になりません。
委託者側の困ったこんな契約違反
この委任契約にも委託者が明確な違反をしている場合が
多く見受けられますのでご注意を!!
スポーツインストラクターの例で挙げてみます。
- 担当する生徒の成果が思わしくない
- 生徒の数が減った
などのようなことがあった場合に
- 苦情処理や対応などを強要する
- 生徒を呼ぶためにチラシやホームページの制作をさせられる
その他諸々、委託者側の利益の追求に付き合わされてしまう・・・
このような事も当たり前のように平気でやってます・・・
私は請負契約の違反よりもタチが悪いと思っております。
なぜなら、契約業務以外のことをさせられるということは
受託者(あなた)の時間も労力も同時に奪う事になるからです。
そんな生易しいものではありませんからね?
委託者は自分だけの利益を出すために強要するので、
受託者であるあなたには1円たりとも利益はありません。
ここをよく分かっていないサービス業界にとても多い印象です。
まとめ
最初にも言いましたが、近年では働き方の多様化が広がり
テレワークやフリーランスの方も増えています。
しかし労働法に関しての知識や契約方法の違いを正しく理解している方は
本当に少ないです・・・
確かに理解していなくても仕事自体はできるかもしれませんが、
何故疑問に思わないのでしょうか!?
あなたの貴重な時間と労力は、そんなに軽いものですか?
他人のためにそんなにムダにできるものなのでしょうか?
仕事のやり方は多種多様になってきてはいますが、
時間や労力の使い方はもっと考えるべきだと思います。
せっかくフリーランスでやっているのです。
その時点であなたは社長なのですよ?
しっかりと自分を守り可能性を広げる意味でも、この記事が
参考になってくれたら嬉しいです。