以下は昨年「優駿エッセイ賞」とやらに応募した原稿である。読んでいただければお分かりの通り、ただ言いたいことだけ書き殴ったに過ぎなくて全くエッセイの形を成しておらず、当然のごとく一次で落選した。しかし、自分の考えを提言として形にしたことと曲がりなりにも天下のJRA様に送った事実が私にとって大切な意味を持ち、別に賞などハナから欲しかったわけではないし、取れるとも思っていなかった。そして、このブログへの掲載により、とりあえず世間様に公表という形で提言を証拠として残り、今回の原稿は完全に目的を果たすこととなる。

少し長いですが、よろしかったらご一読下さい。

 

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唐突だが、私はJRAのGⅠスケジュールに不満を持つ男。そんな私の改革論の柱は二本。『多様化促進』と『風物詩保護』だ。

ま、その辺は読んでもらえれば分かるのでさっそく本題へ進む。あと、私はもしかしたら多少口が悪いかもしれないが、そこのところもあまり気にせず、どうぞ。

 

【GⅠスケジュール 12の改良ポイント】

①フェブラリーステークスの開催地変更

「さあ、スタートしてしばらくは芝コースを横切ります」って、そんなデタラメなコースで真のダートのチャンピオンを決めるなっつうの。このレースは、同時期の京都ダート1800mに変更する。距離的にも〝ドバイへ繋がる道〟らしくなるでしょ?

 

②牝馬クラシック路線の距離変更

牡馬クラシックは2000m・2400m・3000mと徐々に距離が長くなるのに、牝馬は1600m・2400m・2000mって、どうみても並びがおかしいだろ?

桜花賞はそのまま阪神1600m、オークスは2000m (この時期の牝馬には妥当な距離変更)但し東京だと内枠外枠の有利不利がどうのこうのという声が上がりそうなので思い切って新潟でやっちゃう。そして三冠目の秋華賞を京都2400mとする。ちなみにエリザベス女王杯は京都2200mのまま。

 

③大阪杯レース名変更

理由:カッコ悪い。ダサい。GⅠっぽくない。ただただ、それだけです。

でも、別に大阪という土地柄や文化がちょっと… と言ってるわけではない(ちなみに筆者は幼少期、大阪府茨木市在住)そこで、大阪はそのままで『大阪中距離チャンピオンシップ』略して『OCCS』これでいきましょう。AJC杯的な感じでね。あえて〝ミドルディスタンス〟としない所がミソなのだ。

 

④ヴィクトリアマイルの名称&距離変更

初夏のGⅠ5連戦中にマイル戦が3つって芸が無さ過ぎ。今や斤量差の恩恵以前に文句なく牝馬が強くなったのだから「安田記念の他に牝馬のマイル女王作ってあげようよ」的な心配りはもはや無用なのだ。

新たな距離は東京1800m。秋の府中牝馬Sみたいにマイラーと中距離馬がデッドヒートを繰り広げるスリリリングな舞台を設定する。名称はマイル使えなくなるから… 困った時の『カップ』でいいんじゃない?『ヴィクトリアカップ』復活! ということで

(昔のは〝ヴィ〟ではなく〝ビ〟だったが)

 

⑤宝塚記念廃止、同日にジャパンカップ移動

ジャパンカップに関し「役目は終わった」「廃止すべき」との声を近年よく耳にする。実際、海外の強い馬を我らが日本馬が迎え撃つ血沸き胸躍る対決を観られなくなったのは若いファンにとって気の毒でならない。オリンピックやワールドカップがいつの世も熱狂を呼び起こし、その熱が世代を超え脈々と受け継がれていくのを見れば分かる通り、多くの人にとって国と国が戦う絵柄こそが最もシンプルで分かりやすく、かつ最もアドレナリンをたぎらせやすい構図なのだ。海外競馬のスケジュールとの兼ね合いを考えると非常に困難な状況ではあるが、あの高揚感を再現する可能性は何とか模索したいところ。

となると、手っ取り早い手段として思いつくのが開催時期の移行。年間カレンダーをパッと見れば、代わりはここしか無いというのがすぐ分かる。そう、宝塚記念ウィークだ。

ここにジャパンカップを移行し、宝塚記念は移し所が無いので残念ながら廃止。「風物詩を守ろう!」と最初に謳っておきながら申し訳ない限りだが、こればかりは致し方ないところ。当然ファン投票も無くなってしまうが海外勢含めたオールスター戦の様相は残したい。それに相応しいのはやっぱり程々感ある非根幹距離。場所はそのまま阪神、距離は2200mでいきましょう。こうしてアウトラインを残しておけば『宝塚記念』の亡霊もご納得し、無事成仏してくれるに違いない。

もう相当蒸し暑くなっている六月終わりに海外勢が来日してくれるかは微妙だが、欧米主要レースのローテーション谷間にスポッと入りそうな時期だし(かすりそうなのは、プリンスオブウェールズS・エクリプスS・愛ダービー・サンクルー大賞典・独ダービー、この辺りか)硬い芝の悪印象が国際的に固定してしまった東京よりは、雨が多い時期の阪神の方がお招きしやすい条件のはず。もちろん、日本勢もダービー馬から安田記念馬まで参戦可能なのだから、例年の消化試合ムードが一新され、盛り上がると思いますよ。

 

⑥毎日王冠をGⅠに昇格

こちらは名称そのまま、時期もこれまでと同じ東京開幕週。「待ってました!」とばかりに府中の秋到来を告げる風物詩なのだからレースのグレード以外は変えないのだ。

マイラーと中距離馬各々が「いけるんちゃう?」と欲に駆られ、強豪が集結すること必至。こういう中間距離はメンバー構成面白くなる可能性高いから、絶対ファンが喜ぶよ。

往々にして逃げ先行有利とされる開幕週はGⅠ開催を避ける傾向が顕著だが、世界中どこの競馬場でいつ開催しても枠・コースの内外や脚質による有利不利が無いフェアな条件など結局皆無に等しいのだから、いちいち気にしていられないのだ、そんなこと。

 

⑦菊花賞を古馬へも解放、ステイヤー冷遇にストップ!

昨年タイトルホルダーが子供扱いされたショックで多少は遠征熱が下がったようだが、

「ディープやオルフェの仇を!」とか「とりあえず凱旋門賞を1回は勝っておかねば」などと考えている関係者やファンはまだまだ多いはず。よく「欧州馬場を克服するにはパワーと道悪適性が必要」と耳にし、その点については私も概ね同感だが、実は最も重要不可欠な要素はスタミナではないか、と考えている。最後の最後に息の長さで劣り、トップを取り切れぬほろ苦いゴールシーンを繰り返した日本馬達の姿を振り返るにつけ、スピード化を推進する余り冷遇してきた感のあるステイヤーとその血統を擁護することこそ、凱旋門賞やキングジョージ等の欧州スーパーGⅠ席巻へ繋がる〝急がば廻れ〟策ではないか。そう考えているのだ。そこでまずは、ステイヤーの競走成績に更なる彩りを添えるチャンスを増やすべく、愛セントレジャー等を模したこの〝古馬開放〟方式を採用したい。   

この条件下でも3歳馬が三冠獲れば、過去の三冠馬より一層箔が付くというもの。逆に古馬となってから三冠達成しても、純粋な三冠馬とは差別化し『変則三冠馬』とか呼ばれるのかな。いずれにせよ、バリバリのステイヤーにとって希少だったGⅠ奪取機会が増えることとなる。もう少し早く実現していれば「メロディーレーンちゃんが3年連続菊花賞出走」なんてことになったかもしれないね。

 

⑧天皇賞・秋を2400mに変更

例年と同じく毎日王冠から中二週で2000mのGⅠやったら、あまりに間抜け過ぎ。そこで距離を変え、東京2400mで行う。そうすれば、1ヶ月後のジャパンカップが夏に移動しているわけだから、中長距離馬やステイヤー専門職がたっぷり間隔を開けて有馬記念に集結出来る、という寸法だ。

 

⑨ジャパンカップが消えた週に新ダートGⅠ

『チャンピオンズカップスプリント』設立

本当はマイルでやりたいのだが、前述したように府中ダートでは芝を横切るのがペケなので東京1400mで実施。これにより、ダート界でもスプリンター対マイラーの強豪対決を観られることとなる。スケジュール的にJBCからも連戦可能だしね。

で、翌週は例年通り中京ダート(但し、前週との差別化をなるべく図る為、距離は100m長くして1900m)にて『チャンピオンズカップクラシック』と名称を少し変えて開催。暮れの東京大賞典へ続くダート王道路線を継承していく。

 

⑩芝1400mGⅠは、阪神カップを昇格

例年スプリンター対マイラーという中間距離らしい好メンバー集結で、今や暮れのワクワク名物レースとなった阪神カップ。ならば〝スーパーGⅡ〟なんてキザなこと言ってないでGⅠにしちまえば多様化も一層進むって話。但し、この周辺の開催は少し弄る。

まず阪神カップは現行の有馬記念開催日、すなわちオーラス前の日曜へ移動。今のまま土曜にGⅠでも良いのだが、ここにはもう一つの暮れの風物詩、GⅠ中山大障害があるじゃあーりませんか。関東圏のみならず全国的に(出来れば国民的に)注目してもらいたい伝統の名物レースなのでね。この2つのGⅠは被らないように振り分けます。

 

⑪『有馬記念でグランドフィナーレ』復活!

ホープフルステークスがあるラスト1日だけの開催、これって当初から意味不明で「誰が考えたんだ?」と訝しんでいたのだが、このポツン1日開催をあえてそのまま生かし、有馬記念をその日(最近は12月28日が多い)にやっちまい、グランドフィナーレとする

(実際はグランプリ後に最終レースやるが)

まだ正月休み前で働いている人もいるだろうが、そんな方達には全国一斉に午後3時休憩を1時間とっていただく。すると、有馬記念と共にその長い午後休憩も、やがては日本の暮れの風物詩となるのだよ。これぞ正に

〝働き方改革〟ってね!

 

⑫ホープフルステークスはGⅡに

前項の影響で宙に浮いた感あるホープフルSはどうするかというと、GⅡに格下げし、有馬記念と同日の阪神メインで実施とする。

確かに勝ち馬にはクラシックホースが多いが、レース自体は例年今イチ盛り上がらず、2歳王者決定と言うより単なる出世レースの域を出ていない。これ妥当な策だと思う。

 

以上。読み返すと、何だか泡沫候補の選挙公報みたいだな。

いかがですか、JRA番組編成さん? お気に召したら、清き一票を。

 

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