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『現金給付10万円から解る貨幣の真実』(前編-1)』三橋貴明 AJER2020.5.26
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三橋TV第240回【緊縮財政と自己責任論 竹中ビジネスに貢献し続けた日本国民】
政府は25日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を継続していた東京など首都圏の1都3県と北海道でも31日までの期限を待たずに解除した。対策本部で決定後、官報で公示した。4月7日から実施していた緊急事態が約7週間ぶりに全面解除されたが、経済社会活動の再開は感染状況などを見極めながら段階的に実施する。(後略)』
『本当に多くの事業者の皆さんが、この瞬間にも経営上ぎりぎりの困難に直面しておられる中で、更なる時間を要することは死活問題である。そのことは痛いほど分かっております。それでも、希望は見えてきた。出口は視野に入っています。その出口に向かって、この険しい道のりを皆さんと共に乗り越えていく。事業と雇用は何としても守り抜いていく。その決意の下に、明後日、2次補正予算を決定いたします。先般の補正予算と合わせ、事業規模は200兆円を超えるものとなります。GDPの4割に上る空前絶後の規模、世界最大の対策によって、この100年に一度の危機から日本経済を守り抜きます。』
とはいえ、総理は会見で「事業規模」200兆円を越えると自画自賛しながら、新規国債発行額、真水の額については触れない。
あの~、明日「閣議決定」する第二次補正予算は、実際には「新規国債発行分」だけなのですが・・・。100兆円だ、200兆円だといったところで、ほとんどが「貸付枠」でございまして、政府の需要創出ではありません。
「民間企業、カネ貸してやるから、需要創れや」
というわけでございまして、「国家の店じまい」路線を継続しつつ、政府はまともな景気対策をやっていることを「見せかける」ために、民間の借入頼みの巨額な貸付枠(等)を衣として小さいエビにくっつけただけの、例の手法です。
要するに、政府は嘘をついているわけです。あるいは「正しい情報を発しない」わけですが、個人的に気になるのが、現在の安倍政権が、
「緊縮財政路線の放棄はできない(やりたくない)ため、第二次補正予算を絞り込み、そのためには緊急事態宣言を解除する必要があった」
のではないかという疑惑です。
つまりは、
「緊急事態宣言による経済活動の抑制、感染抑え込みをするためには、大規模新規国債発行(要は政府の貨幣発行)が不可欠だが、緊縮財政を変えないため、緊急事態宣言を解除し、予算についてはショボいエビに巨大な衣をつけた「事業規模数百兆円!」を発表し、誤魔かす」
という路線じゃないだろうなあ・・・・、と、疑っているわけでございます。
【三橋貴明の音声歴史コンテンツ 経世史論】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
皇統論「第十六回 仏教伝来」、歴史時事「第十六回 疫病の人類史」がリリースになりました。
何しろ、安倍総理は、
「閣議決定される補正予算は、新規国債発行分であるにも関わらず、記者会見で新規国債発行額には触れず、事業規模200兆円という数字は触れた」
わけでございます。
あ、これは、二次補正を相当に絞り込み、役にも立たない「事業規模」で誤魔化すつもりだな、と、受け止められても仕方がないでしょう。
問題なのは、安倍政権が「事業規模200兆円を超す、空前絶後の世界最大の対策」(中二病か・・・・)を「発表」したところで、新規国債が40兆円程度では、日本経済の落ち込みを食い止めるのは全く不可能という点です。
そして、これまでわたくしの所に入ってきている情報によると、二次補正の新規国債発行は10兆円程度(うそだろ・・・・)。多少、増えるかも知れませんが、一次補正25.7兆円と加え、40兆円前後の見込みなのです。
さらに、総理は、
「地方の実情に応じた事業者へのきめ細かな支援も可能となるよう、地方創生臨時交付金も2兆円増額いたします」
と、(事実上)地方交付税交付金の増額については「額」を表明しています。地方交付税の臨時交付金は、これは「新規国債発行」が必要です。
日本の地方交付税交付金は、小泉政権以降ひたすら削減され、ピークより5兆円以上も小さくなっています。というわけで、2兆円の「臨時増額」では不十分であるし、来年度以降は元々の地方放置路線(=地方交付税交付金削減)に戻るため「臨時」なんだろ。
という、根本的な話は今は脇に置いておいて、総理が臨時交付金について金額を明言したということは、すでに二次補正の新規国債発行の額は決定しているということになります。
一応、自民党の国会議員は本日も、第二次補正予算の議論をすることになっていますが、「ガス抜き」の可能性が濃厚なのです。
つまりは、すでに「不十分な第二次補正予算」の中身は決定しており、例により「すでに決まった結論」を自民党議員に受け入れさせる儀式として、いわゆる平場の議論を続けているのではないかという疑いです。
答えはまもなく明らかになりますが、いずれにせよ第二次補正予算が「日本国民を救うには、不十分過ぎる規模」になる可能性は高いです。
とはいえ、政府は「事業規模200兆円を超す、空前絶後の世界最大の対策」と、嘘の発表をしてしまっていますので、例により、
「これ以上の財政拡大はできない。何しろ、事業規模200兆円、空前絶後、世界最大の対策をすでにうっているじゃないか!」
というレトリックで、緊縮財政の強化に舵が切られる。
これが、過去の日本のパターンです。
許してはなりません。
安倍政権が例により、小さなエビに巨大な衣をつけ、大規模経済対策を「やっているふりをしている」という事実を、早急に、できるだけ多くの国民に知らせて下さい。さもなければ、緊急事態宣言も解除されましたし、第二次補正予算の閣議決定後から、早くも日本を亡ぼす緊縮財政路線の強化が始まります。
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